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ないものねだりのその先に

つくづくわたしは自分に甘いと思う。
2020年の目標のひとつがnoteを月に4回更新する!だったのだけれど、お気づきの通り、今年2回目の投稿が本日なわけです。

まあ別にこういう文章は自分が書きたいときに書いたほうがいいよね。
月に4回薄い内容でなんでもいいから書こう!とするよりは、いまだ!というタイミングで書くほうがしっくりくるしわたしらしい気がする。
という、まあ言い訳なんだけれど(笑)
だから、今日、どうしても書きたいことがあったので、記録に残します。長いです。

最近、つくづくおもうことがあって。
それは、
「わたしはスペシャリスト(専門職のようなもの)にはなれない」
ということ。

小さな頃から結果を出すことを求められて、
正解のある問いが得意だった中学時代。

正解を導き出すことが苦手になって、
親に失望されることが怖かった高校時代。

正解のない問いに初めて出会って、
ひとの数だけ「当たり前」があることを知った大学時代。

敷かれたレールから飛び降りてみたものの
(レールの上を走り続けるだけの気力と体力がなかっただけというのが正しいけれど)
学歴もやりたいことも夢もなくて
あーーやっぱり自分には何もないなあと思うことが、あった。

当たり前はひとによって違うから、
わたしはわたしでいいのだと思えていても、
なお「無力感」のようなものは拭えなかった。

おとなになって自分の力で生活をして、
転職なんかしてみちゃって、
休みの日にイベントを主催してみたりして、
「将来は自分の場所を持ちたいんですよね」
と語っていても、
ずっとずっと自分の奥底には無力感があった。

最近その理由がなんとなくわかった。

わたしは、どれだけ憧れても、
どれだけやりたいと思っても、
スペシャリストにはなれないからだ。

デザイナーの友達がフリーランスになった。
彼女の中でいろいろな葛藤があって、
追いかけたい背中を探して会社に属するか悩んで
今はフリーランスとして、
自分の力で仕事を得て働いている。

平日別の仕事をしていて、
土日にカメラマンをしている友達がいる。
仕事で写真を撮った帰りに
わたしの主催イベントに来てくれてめちゃくちゃ素敵な写真を撮ってくれた。
記憶が新しいうちに、とすぐに編集を施して、
ほんとうにほんとうに素敵な写真をプレゼントしてくれた。

美容院嫌いなわたしが、
毎回楽しみに通う美容院がある。
「本を愛する人が機嫌よく次に向かえるように」
という素敵なコンセプトのもと、
ブースが全て本棚に仕切られていて、
これでもかというほど本がたくさん並んでいる。
髪を切ってもらう間は読書にどっぷり熱中させてくれて、
ふと視線をあげた瞬間に、
今わたしが読んでいる本について教えてくれる。

保護ねこを救うために
生活の全てをねこに捧げている友達がいる。
彼は「ねこを救う」ために自分ができる手段は「広告」だと思い、一見まったく違うような仕事をファーストキャリアに選んだ。
いつでも、なにをしていても、ひと目見るだけではまったく違うことをしているように見えても、
行動の先は必ずねこに繋がっている。

内定先を入社式の日に蹴って、
どうしても諦められなかった憧れの出版社で働く道を手にした友達がいる。
彼女は彼女の原点でもある大切なアルバイト先の本を編集して、いつもまっすぐ一生懸命読者の顔を思い浮かべながら愛を込めて仕事をしている。

「いい大学に行くことが全て」という価値観で
塗り固められた高校時代から、
偏差値じゃなく自分のやりたいことを貫いて
いつもまっすぐ自分の道を自分で切り拓いている友達がいる。
彼女はいま管理栄養士として目の前にある業務に向き合いながら、たまにわたしにも美味しくて栄養満点の優しいごはんを振る舞ってくれる。

学生時代にサロンモデルをしていた友達がいる。
いろいろな美容院、美容師さんをみてきた彼女は、
お世話になった美容師さんに少しでも何か還元できればと将来美容室を経営することを目指して、今は美容メーカーで朝から晩まで身を粉にして働いている。

彼ら彼女らに共通しているのは、
それぞれみんな自分で覚悟と意志を持って
自分の道を拓いていっているということ。
そして道を拓くために努力を惜しまないということ。

本当に好きなことなら、
きっと努力を努力と思わないんだと、おもう。
けれどわたしは好きな旅行、カメラ、コーヒー、読書を、深めていけるかと聞かれるとその自信はない。

47都道府県中43県まで制覇したところで、
2年が経過した。
残り4県に行けば「日本全国制覇しました!」
と言えるのだろうけど、
旅をする時間ができても結局そのとき会いたい人がいる場所を選んでしまう自分がいる。

写真を撮ることが好きで、一眼レフを首からさげてよく出かける。
先日インスタをフォローしている好きなフォトグラファーさんの写真教室があって、少し高かったけどえい!と応募して行ってみた。
参加しているひとたちはみんな写真用のインスタアカウントを持っていて、そこでは毎週末のたびにキラキラした写真が更新されていて、ただただ圧倒された。

コーヒーは最近少しずつ勉強し始めて、
エスプレッソの味の違いがわかるようになってきた。
スペシャルティコーヒーしか飲めない
わがままな舌になってしまったけれど、
ブラックコーヒーが飲めなかったあの頃よりは
ちょっとだけ成長しているとおもう。
だけどまだ、豆ごとによる味の違いや、焙煎や挽き方、煎れ方の細かな違いは、あやふやなところが多い。

本を読むことは好きだけれど、
どの趣味よりも"好き"ということに抵抗がある。
詳しい作家さんも多くないし、
刊行イベントやサイン会に行ったことは
ほとんどない。
読書会のようなイベントも然り。
なにより難しい本は1ページで限界を迎える。

だから、
自分の好きなことにのめり込めるひとに、
そうやって自分のフィールドでスペシャリストとして前へ前へ進めるひとに、
わたしは憧れるのだとおもう。

それができない自分が悔しいし
無力感にずっと苛まれてきたのだけど、
今日、ぱっとその霧が晴れる出来事があった。
(すみません、ここまでが前置きです笑)

「全国旅をしてでも行きたい街の本屋さん」
という、本屋さんを紹介する本がある。
どこで見つけたかは忘れたのだけど、
素敵だなあと思って買って、
旅行のたびに持ち歩いて、
行った本屋さんにマルをつけているお気に入りの本だ。

今日、本の美容室、「文学堂美容室retri」に行って、
色々な本屋さんやクリエイターさんが間借りをしているおもしろい本屋さん、「BOOKSHOP TRAVELLER」があるよと教えてもらった。
たまたま近くにあったので
帰りにフラッと寄ってみると、
「全国旅をしてでも行きたい街の本屋さん」
の著者の方がやっているお店だった。

そんなことある!?と思いながら
ワクワクお話をさせてもらって、
会話のなかでぽろっと

「わたし、本は好きだけど詳しくないんですよね」

と伝えると、

「僕もそうですよ。
ここに置いてくれているひとの方が絶対に詳しい。
でも、本に関わるひとのことが好きで、そういうひとを応援したくてやっているんです」

そう言われて、全身に衝撃が走った。

そう、わたしもそうなんです、本が好きな人とか、本屋さんとか、そういうひとの価値観とか、それが好きで、本も好きだけど、そういうことの方がもっと好きで。

そうやって話しながら、全部そうなのだと思った。

旅行が好きなのは、旅先で新しいひとやもの、
その街がもつ空気に出会うのが好きだから。
そして「◎◎に行ったことがあります!」と言える場所が増えることによって、いろいろな土地の出身のひとと繋がれるから。

カメラが好きなのは、楽しいと感じる瞬間そのものを切り取って残したいと思うから。
あなたはこんな表情をするんだよって、
こんな笑顔なんだよって、
伝えたいから。

コーヒーが好きなのは、
その一杯をきっかけに相手とコミュニケーションがとれるから。
美味しいですね、でもいいし、
仕事から解放される、ほっと一息な瞬間でもいいし、
味ももちろん美味しいのだけれど、
それ以上にその空間そのものに意味があると思っているから。

結局、"ひと"なんだと思う。
こうやって書き出してみたら当たり前で、
ずっと前からわかっていたはずなのに、
なんで今更っておもうことばかりなのに。

好きなことをやっている誰かや、
やりたいともがく誰かの背中を、
本気で応援すること、
ひととひとを繋げること、
結局わたしはそうやってスペシャリスト同士の隙間を走り回って、
手を引っ張って繋ぐことしかできない。

でもきっと、
スペシャリストのひとにはそれができないから。
お互い様なんだと思う。

スペシャリストになれない自分に
ずっとジレンマを感じていた。
だけど、なりたいと願って一歩踏み出してみた自分の勇気をちゃんと見てあげられていなかった。

大学生までの自分だったら、
人見知りで知らない人がいる空間は苦手で、ゲストハウスにひとりで泊まるなんて無理だったかもしれない。

わたしは素人のくせにと、写真教室なんて行きたくても踏み出せなかったかもしれない。
紹介された本屋さんに行ったとしても、お店の人に話しかけたり、話を聴いたり、できなかったかもしれない。

そうやって一歩進んだから、
やっぱりこの道を深めることにわたしは向いていないと気付けたし、
深めるひとたちの声を聴きたいとおもえたし、
リスペクトができるのだと思いました。

そしてひととひとを繋げることや
誰かの背中を応援することを
わたしは頑張ろうと思わなくても普段無意識に行なっている。
そういう意味でいうと、
わたしはコミュニティマネージャーというスペシャリストにはなれるのかもしれないな。
それが、ないものねだりのその先に今のわたしが見つけた答えです。

こんなに長い文章を、
最後まで読んでくれてありがとう。
今日はよく眠れそうです。

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