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夢と幸福のはなし-凶器は壊れた黒の叫び

「ねぇ、マナちゃん。夢と幸福が矛盾したとき、どちらを追いかけるべきなの?」

理想のために傷つくことができますか。
理想に向かって走ることで 傷ついてぼろぼろになる大切な人を見て、あなたならどうやって手を差し伸べますか。
彼女の理想を壊すことも、傷つき続ける彼女を見守ることも、どっちも耐えられない。
だけどたぶん正確には、道はこのどちらかしかない。

私は選べなくて、最終的には自分を壊してしまうだろうと思った。
この物語に触れると、苦しむ姿が美しいとか、健気な姿が美しいとか、そんな風に軽率に感じてしまっていた自分に心底吐き気がする。きもちわるい。
切なさを”哀”として美化することも憚られる話。
美しいのだけど美しいと思ってはいけないような そんなものでこの物語を汚してはいけないような。
誰もが自分の幸せと大切な人の幸せを切望しているだけなのに、だれも幸せになれない、そんなお話でした。

私が自分のことを家族に話せないのも、私の夢は私の母や父の幸せには繋がらないから。
どうしても私は傷つかずに進めないから。
夢と幸福、大切なのはどちらですか?

「僕は幸せになりたいわけじゃない。でも不幸にはなりたくない」



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