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不器用な父は世界一かっこいい

私のお父さんは寡黙な人だと思う。
カタブツとは違うし、冗談も言うのだけど、
ベラベラ喋ったりしないし、割と静かな人だ。

お父さんは私が中学生だった頃、
殆ど会話をしなかったのに
私が大好きなあいのりを毎週欠かさずに
必ず録画してくれていて、

お父さんの誕生日に
お母さんとSEIYUで買った
2枚800円くらいのパンツをゴムが伸びてもなお、
安全ピンで留めて履いていた。

「そんなに伸びたパンツもう履くのやめなよ」
と言っても、
「なんでだ?穴があいた訳じゃないしまだ履ける」
と言ってずっと履いていた。

お父さんは凄く器用で、
ハンダゴテで細かい作業もするし、
家のドライヤーが壊れても直すし、
私が小さい頃はダンボールで小さいお家まで作ってくれた。
(テントくらいの大きさの。)

私は小さい頃、親は何でも出来ると思っていて、
自分じゃ上手くできなかった三つ編みを、
手先が器用で何でもできるお父さんに頼んだ。

でも出来上がったのは
高さも形も太さもいびつな
ブッサイクな三つ編みで、

お父さんにも苦手な事はあるんだなって
この時学んだと思う。

うちは贅沢禁止な家だったから、
友達が着ていたメゾピアノとかエンジェルブルーとか、
そんな服は雲の上のブランドで、
私は大抵お下がりを着ていた。

だから親に「あれ買って」なんてほぼ言えたことがなかったけど、
お父さんとコンビニに行った時に、
キラキラの鍵付き交換ノートが売られていて、
学校で交換ノートが流行っていたのもあって、
私はどうしてもどうしてもそれが欲しくて、

お父さんに恐る恐る「これ買って...?」と言ったとき、

普段値引きシールに食いつくお父さんは、
値段も見ずにカゴに入れて買ってくれた。

そう、お父さんは普段、
値引きシールの貼られたお惣菜を見ては、
「お!安くなってる~買おうかな~」
と言って永遠悩む。絶対に贅沢はしない。
「水出しっぱなしにするな」
「電気つけっぱなしにするな」が口癖だった。

そんなお父さんが、お姉ちゃんの進学費用で
ウン100万かかる費用を姉とお母さんが
「奨学金借りるか、、」と相談していた時、

「俺が一括で払う」
と言って、全て一括で終わらせた。

お父さんは料理が全然出来なくて、鍋すら作れない。
私が小学生の頃お母さんの仕事がすごく忙しくて、
残業で帰りが遅い日は決まってお父さんと
ほか弁かスーパーのお惣菜を眺めた。

料理が全くできない父なのだけど、
カレーだけにはこだわりをもっていて、
私がカレーを作ると横から入ってきて
いらんアドバイスを色々言ってくる。

そんなこだわりを持った父のカレーは
スパイスがどうとかいうこだわりではなく、
市販のルーだけで作る至って普通のカレーなんだけど、
なぜか野菜の火の通り加減とかトロみ具合が絶妙で、
お父さんが作るカレーは世界一旨い。

特別な家庭ではないし、
どこにでもある普通の一般家庭の父だけど、
私のお父さんは世界一かっこいい。

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