見出し画像

真実がどれであれこわい話、朝5時の「ママ…」

いろんな意味でこわい話をします。


先日、私は「ママ…」と呼ぶ声で、朝5時に目を覚ました。

隣で寝ているママを起こすような、控えめな声量の可愛らしい声だ。でも、冬の朝5時に子どもに起こされるのは、その日いちにちを憂いてしまうような、こわいことでもある。

二度寝を促そう…と、隣の息子を見る。が。

なんと仰向けで爆睡していた。
息子は、あとついでに夫も、仰向けでぴくりとも動かず、すやすやぴーしている。

その間にも、ママ…という声は聞こえ続けている。

えっ…じゃあこれだれの声???


まさか私の霊感が開花したのだろうか。
私はおばけに対し中立な立場を貫いているつもり。まったく見えないし感じないけれど、存在は否定しない。
それが急に、こんなにはっきり聞こえちゃう??
私のなけなしの母性が、かわいい子どもの幽霊を引き寄せちゃった?

寝起きの頭で一応検討はしたものの、その可能性は低いだろう。

なぜか。
わがやの賃貸マンションは子どもが多い。
お隣さんは両方とも息子より小さいお子さんがいる。

考えられるなかで1番可能性が高いのは、お隣さんのお子さんがお隣さんのママを呼ぶ声が、私に聞こえたということである。

なーんだ、じゃあ安心して私は寝たらいいね。


…とはならない。

だって、本当に小さい声がはっきり聞こえたのだ。枕元でママを優しく起こす声。壁を挟んですぐ向こうに枕が並んでいるかのようだった。
実際、間取りはたぶんそうなっている。

今まで、お隣さんの小さい話し声が聞こえたことはない。防音はしっかりしているこのマンション。夜中に声が聞こえたのは、ワールドカップで日本が得点を決めたときの「うおーーーー!」だけ。

でも、それはお隣さんが普段静かなだけだとしたら?
うちから声が聞こえないからといって、うちの声がよそに聞こえていないとは限らない。

夜、こんな小さい声が本当は聞こえるのだとしたら、毎晩大騒ぎしながら寝かしつけしているわがやの声は、一体全体どう聞こえてしまうのだ!?

6畳の部屋にわんわん反響する息子の大音量の叫び声。
それに負けじと「もう寝るよ、静かにして!!!」と叫ぶ私。
ベッドで飛び跳ねきゃあきゃあはしゃぐ息子。
踏まれて「いてっ!!」と叫ぶ私。
それからそれから…

恐ろしい。
考えたくない。

もう考えたくないので、いったんこの説から離れよう。


声は私の勘違い、空耳という説もある。

息子が赤ちゃんの頃、寝ようとしてるのにリビングからゲームの音が聞こえてきて1時間以上眠れず、イライラして夫に「ゲームの音量下げて」と寝室からLINEしたことがあった。

寝室の扉をちょっとだけ開けた夫が言ったのは、「俺ゲームやってないよ」

ああこわいこわい。

あの頃は慢性寝不足のストレスマックス、まあ幻聴くらい聞こえてもおかしくないよね、と思える。
今はそのときほど心身ともに追い詰められているとは思えない。
それでも幻聴が聞こえて私の目が覚めたとしたら、それはそれで自覚がない分かなりやばい。あな、恐ろし。


この話の真相は闇のなか。
神のみぞ知る。
あの日一度聞こえただけで、その後音沙汰はなし。

正直、ほかの説が恐ろしすぎて、どうかかわいい子どもの幽霊であってくれと思う。

ひとり暮らしは幽霊がこわくてしなかった私。
そんな私が幽霊を望む。人間は変わるもんだ。

それでは。

いただいたサポートは、だいすきなnoteの街に還元させます。