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ITエンジニアがスキトラする際に意識したほうが上手くいくと感じたこと

こんにちは。職業「戸倉彩」です。

現代のITエンジニアにとって、スキルトランスファー/技能伝達など (以下、スキトラ) は欠かせないプロセスの一つとなっていますが、実際に取り組んでみたものの、うまくいかず時間がかかっている、期待通りに進まない、と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ITエンジニアが新しいメンバーやお客様先の技術者の方々に技術や知識を伝える際、単にマニュアルを作成して渡すだけではなく、相手にしっかりと理解してもらうための工夫が求められます。本noteでは、自分の経験から学んだスキトラする側の視点で、効果的なスキトラを実現するために意識すべきポイントについて考察します。


1. 相手の理解度を把握する

スキトラを成功させるためには、まず相手の現状の知識レベルや技術的なバックグラウンドを適切に把握することが重要です。例えば、相手がその分野において不慣れであれば、基本的な概念から丁寧に説明する必要があります。一方、すでにある程度の知識や経験がある場合は、専門的な内容や応用技術に焦点を当てた説明が求められます。このように、相手の理解度に応じて説明の内容や方法を調整することで、効果的な技能伝達が可能となります。事前に相手に対して質問を投げかけたり、アンケート、ディスカッションなどを行うことで、理解度を確認しておくと良いでしょう。

2. 具体的な実例を用いる

スキトラでは、理論や概念だけを説明するのではなく、具体的な実例や実際のプロジェクトでの経験を交えることが非常に効果的です。例えば、コードの書き方や設計パターンを伝える際には、過去に直面した問題やその解決方法を具体的に示すことで、相手に「実際にどう使えるのか」をイメージしてもらいやすくなります。また、単に「この方法が正しい」と伝えるのではなく、「この方法を使うと、こういう結果が得られる」という結果やメリットを示すことで、理解が深まるだけでなく、相手のモチベーションも高めることができます。実践的な事例を通じて伝えることで、相手は学んだスキルをすぐに現場で活用できるようになり、スキルトラの効果がより一層高まります。

3. 双方向のコミュニケーション

スキトラを成功させるためには、情報を一方的に伝えるだけではなく、双方向のコミュニケーションを意識することが重要です。相手が疑問を持ったときに気軽に質問できる環境を作ることで、理解を深める機会が増えます。また、相手の反応を観察し、理解が進んでいるかを確認しながら進めることも大切です。例えば、説明の合間に「ここまでで何か質問はありますか?」や「この部分はどう思いますか?」といった問いかけを行うことで、相手が積極的に参加しやすい雰囲気を作り出すことができます。さらに、相手のフィードバックを取り入れることで、説明の仕方や内容を柔軟に調整し、その場に最適な伝達方法を見つけることができます。双方向のコミュニケーションを大切にすることで、スキトラが単なる知識の伝達にとどまらず、相手の成長を支える有意義なプロセスとなります。

4. 全体感を伝えた上で段階的にスキルを伝える

スキトラの効果を最大化するためには、最初にスキルや知識の全体感を伝えた上で、段階的に伝えるアプローチが非常に有効です。この方法により、学習者は全体像を理解しながら自分がどこにいるのかを把握しやすくなります。
基礎的な知識やスキルからスタートした場合は、徐々に応用的な内容へと進めることで、相手に無理なく理解を深めさせることができます。一度に多くの情報を詰め込むと、相手が混乱したり、重要なポイントを見落としたりするリスクがあります。例えば、新しいプログラミング言語を教える場合、まずは基本的な文法や構文を説明し、それに続いて簡単なコード例を通じて実践的なスキルを身につけてもらうといった段階的な進め方が効果的です。また、各ステップで相手がしっかり理解しているかを確認し、必要に応じて補足説明を行うことで、確実に知識が定着します。このように、戦略的なアプローチは、相手は自信を持って新しいスキルを習得でき、最終的には複雑な課題にも対応できるようになります。

5. 相手からフィードバックを求める

スキトラの過程で、相手の理解度を確認し、プロセスを改善するためにフィードバックを求めることは非常に重要です。相手がどれだけ内容を理解しているか、どの部分でつまずいているかを把握することで、説明の方法やペースを適切に調整することができます。たとえば、スキルの伝達が一段落したタイミングで、「ここまでの説明で不明点や疑問点はありましたか?」と尋ねることで、相手が理解できていない部分を明らかにすることができます。質問が出てこなかった場合には、「今回説明した内容をご自身の言葉でまとめてみてください」「この内容について、実際の状況でどのように応用できそうですか?」などの問いかけをしてみるのもお勧めです。
また、フィードバックを通じて相手の進捗を確認し、補足的なトレーニングや資料を提供するなど、必要に応じたサポートを行うことも効果的です。フィードバックは単に相手の理解度を測るためだけでなく、教える側にとっても、どのような教え方が効果的であるかを学ぶ機会となります。


まとめ

スキトラは、ITエンジニアの成長や知識の共有において極めて重要なプロセスです。効果的なスキトラを実現するためには、相手の理解度を把握し、具体的な事例を用い、双方向のコミュニケーションを大切にすることが不可欠です。また、段階的にスキルを伝え、適切なフィードバックを得ることで、相手の成長をしっかりとサポートすることができます。これらのポイントを意識することで、スキトラは単なる知識の移転にとどまらず、チームやプロジェクト全体のスキル向上や、ITエンジニアリング文化の強化にも繋がることでしょう。

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