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ほぼ毎週、同じ人に電話をかけ続けてみたら、見えるようになった景色

タイトルだけ見ると、なんというか、あんまり今の時代っぽくない温度感(?)かもしれないですが…

営業としての自分の糧になっている、過去のエピソードを書いてみようと思います。

今日、会社の営業チームで数字と向き合ったり、この先の事業のことを考えるMTGをしていたら
産休・育休で眠っていた細胞がやっと目覚め始めたのか(笑)煙が出そうなほど脳みそフル回転で、突然いろんなことを思い出しまして。ちっとも眠れそうになく、夜中に筆をとるに至りました。

上司からの無茶振り

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前職の会社に新卒入社し、代理店向き合いの広告営業部隊に配属された私。

就活の段階で特に広告業界を志望していた訳ではなかったので、業界知識がほとんどなく、はじめは
「レップ?代理店??営業???メディア担当??????」と、自分が向き合うお相手の立場を理解するのにも必死だったなあ。

新卒はまず、先輩の案件の進行管理やチーム全体の原価処理など、サポート業務を徹底的にやり込んでから営業デビューするのが筋だったのですが、私のチームは人が足りず、割と早めに担当を持たせてもらえることに。

同期より先にデビュー!と内心嬉しかった私。しかし受け持つことになったのは、過去に大きな受注実績のない 中小の代理店数社。先輩から引き継ぐことも特にないような、薄いお付き合いのところばかり。うーん。


一体何から始めればよいのやら、と途方に暮れていたら
当時の上司が言いました。


「とりあえずさ、毎週電話してみなよ」

…ん?何について?というか、案件もないのに毎週電話ってそんなのうざすぎないですか??

「かける理由なんて自分で作るんだよ。てか恋愛と一緒でさ、電話かかって来てうざい相手になったら終わりじゃん。毎週電話が来てもうざくない関係性になれたら、色々相談してくれるようになったり、引き出せるんじゃないの」

…は、はあ…
(なんかちょっと体育会系っぽいけど、でも言ってることはごもっともな気がする…けど…)

「ね、とりあえずやろ、頑張って(ニコッ)」

……


そして始まった「毎週電話チャレンジ」


お相手の1人は、父くらいの年齢差があるおじさま担当者のKさん。
確度高い引き合いなし。社内の引き継ぎ事項もなし。

とりあえず、自社メディアの最新情報などを武器に「最近どうですか」の電話から始めてみるも
やってみると…とても気さくでいい方だったのですが、具体の案件がないためやはり話が続かず、若干気まずい感じで終了。これはまずい。1週で終わってしまう。笑

なんとかKさんの心を掴む方法はないかと悩み、思いついたのが…

「ワールドカップ作戦」

当時、サッカーワールドカップが開催されていて、世の中は応援ムード一色。
Kさんもきっと観ているだろうと思い、毎回の電話をその話題で始めてみることに…

「昨日の日本代表戦、ご覧になりました?」
「次の相手国の**って選手、なんかすごい人らしいですね」
「どこが優勝すると思います?!」

サッカーには全く詳しくないので、毎日のニュースからの付け焼き刃な知識たちでしたが…笑


「ワールドカップ作戦」の成功


これがなんとまあ功を奏し、Kさんとの距離をぐっと縮めてくれるきっかけになってくれたんです。

私が調べてきたことに「そんなことも知ってるの!」と驚いてくれたり
あちらからの電話でも「昨日観た?」と話題を振ってくれるようになったり。
今思えば、娘ほどの年齢の私がなんだか一生懸命やっていることに対する、親心のような優しさだったのかもしれません。


もちろんワールドカップはアイスブレイク的な役割で、
本題としてはKさんの業務に役立つような最新の情報や、他社実績などをほんの少しでも毎回お伝えするようにして
売上はなくとも、徹底的にgiveすることを心がけていました。


すると気づけば「あっすいません、特に用はないんですけど(笑)」みたいな電話も許される、フレンドリーな関係性になっていて。

一度そうなってからは、コミュニケーションが本当に楽になりました。お互いにだったと思います。

相変わらず大きい案件の引き合いはないままで、「全然売上作れてなくてごめんね」と言われることもしばしばでしたが、新しい情報や相談ごとがあればいつでも連絡を取り合っていました。

時が経ち、私も大きい案件を抱えるようになったり、チームに後輩や新しいメンバーが入って担当の見直しがあっても、Kさんの代理店はこの関係性ありきで、担当を続けさせてもらっていました。



そして、初めての電話から、2年ほど経ったある日。

ついにKさん経由で、タイアップ広告の受注が決まったのです……
それも社内で奇跡と言われるほど、今まで販促施策中心で、頑なに広告予算がつかなかったブランドからの受注でした。

「やっと、川島さんに、恩返しができるよ!」ともらった電話は、一生忘れないと思います。


毎週電話で得た、お守りヒント


ここまでを読んでもし、営業って過酷とか、大変そう、体育会系… などと感じる方がいたら、あくまでも何年か前の個人の体験談ですし、その辺はそんなに気にしないでいただきたい…

私自身 広告営業として8年目に突入した今でも電話をかけまくっているのか、というと全くそんなことはありませんし。笑

ただ、この成功体験から得たヒントは、結構いろんなことに応用できる本質だと思っていて、私の営業人生をずっと支えてくれています。


・どうせやるなら、仲良くなった方が、圧倒的に楽

これは対外的な営業活動だけでなく、組織内での調整などもそう。結局、どんなに大きい組織だって、中身は人間だから。
それを体感してから、前職では先輩後輩や他部署の人とランチしたり飲みに行ったりする機会もぐっと増やして(それまではどちらかというと面倒なことだと思っていた)、そこから更に仕事が楽しくなった記憶があります。

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転職してからはそういう機会が多いわけではないけれど、その人と過ごしている限られた時間にどういう風に距離を縮められるか、は常に考えている気がします。

そのおかげなのか、今では日本のいろんな場所に、私を娘とか妹とか言ってくれる優しい方々がいてくれるようになりました。笑

先日インタビューしてもらった東京女子キャリアさんのnoteでも取り上げてくださってる「『お世話になっております』的な定型文を使わないでやりとりする」とかも、地味に意識している方法の一つかもしれないなあ。


・役に立つ人になる

取引先とは常にパートナー関係でいたいので、変にへりくだったりへこへこする必要は全くないと思っていて、ただ圧倒的に 役に立つ存在ではありたいなと意識しています。
Kさんに与えられる情報を蓄えておくために必死になっていたあの頃のおかげで、日頃から情報収集する癖がついたし、アンテナも少しずつ磨かれてきた気が。

そして今の会社に来てからは、毎週の定例会議でナレッジシェアの時間を設けることを提案して、皆でずっと続けています。社内でもちゃんと、頑張ってる仲間の役に立ち続けていたいから。


「毎週電話しなよ」と笑顔で無茶振りしてくれた当時の上司は、多分今の私と同じくらいの年齢だったはず。
ありがとう、あなたのおかげで楽しく営業という仕事が続けられています。

真意はわからぬままだけど、きっと私の性格なんかも鑑みて、そういうやり方がいいんじゃないかって思って言ってくれたんだろうなあ。
私も誰かのためにそんなことができるように、頑張ろう。


とりあえず、おやすみなさい。笑

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