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ニトリとイケアの事業戦略を解剖してみた!

こんにちは!アヤナです^^

先週は『アマゾンと楽天のEコマース事業戦略解剖』Noteを投稿しましたね!

多くの方に読んでいただいたようです!ありがとうございます。

第2弾は、『ニトリとイケアの事業戦略解剖』Noteです。

日本の家具メーカといえば?思い浮かぶのは、ニトリやイケアだと思います。私の家の中の家具/雑貨は、大体ニトリかイケアか無印良品です。

家族でイケアのモールに行くことが何回かあります。緊急事態宣言明けも久しぶりに行ったのですが、やっぱりなんかイケアでの購入体験はワクワクする!その過程も家具や雑貨のデザインも私はイケアが1番お気に入りかなと、、!最近原宿駅の目の前にも店舗を出していて、友達と原宿でランチした時に行ってみました。


そんな時、NewsPickで家具メーカーの業績についての記事を目にしたのですが、「実はイケアは数年前から不調で日本市場ではニトリ一強」であることを初めて知りました。なんかショックだった。笑

そんなこともあって、今日はニトリとイケアについてです!

今回は以下の点について述べていきます。

1 ニトリとイケアの店舗/サービス展開の状況

ニトリとイケアは日本の家具・ホームファニッシング市場で1位と3位です。2位は島忠。

しかし、1位と2位・3位の差はとても開いています。ニトリとイケアの通算決算を載せます。

イケアは世界市場だと売上4兆の圧倒的な存在感を持つブランドですが、日本だとニトリの1/7程度です。

イケアは2006年に日本の1号店を出しました。現在は10店舗です。
新たな価値観や購入体験を届けるイケアに注目は集まり順調に郊外に巨大な店舗を展開していきますが、2014年から売上が停滞し、2017年からはオンラインストアを作ったことで売上は多少伸びたものの営業利益は赤字という状態です。

コロナ禍でもニトリは33期連続増益増収という素晴らしい結果を残しています。ニトリは1967年に北海道で創業。1993年に本州に第1号店を出し、今では国内541もの店舗を持っています。

2 ニトリとイケアのビジネスモデル。経営戦略。

ニトリとイケアは同じ業界の会社ですが、ビジネスモデルや事業戦略といった点では大きく違います。

まず『ニトリ』

*ビジネスモデル:SPAモデル
SPAとは、「specialty stores of private label apparel」の略で、主にアパレルメーカーが企画・デザインから物流、販売までを自社内で行うことを指し、GAPやユニクロ、無印が導入していることで有名です。

上記の過程を全て自社で行っています。製造の部分では自社工場と受託もあるようですが自社で開発・管理することを徹底しコスト削減を行っています。

*家具/ホームファニッシングの生産において
ニトリは常に需要のあるベーシックなものを生産しています。
低価格でデザイン性のある家具を作り、生産は90%以上、海外(特に途上国、新興国)です。ニトリは、機能性も従事するが、安さと機能性だったら安さを重視しているとの情報もありました。

*数字からわかること
イケアとニトリの業績からわかることもあります。
下の表ではイケアは海外も含めた業績です。

イケアは売上に対する売上原価が68.3%であるのに対して、ニトリは44.8%です。24%もの差が生まれています。
つまり二トリは粗利率が6割近くあります。いかに開発から販売までの過程でコストカットしているかがわかります。その点で経営的に基盤が強い。

*リアルとネットの融合
イケアはリアルとニットの融合、いわゆるO2O戦略も進めています。家具メーカーでも早い2004年からECショップを始めており、今ではアプリで買い物リストをリアルのショッピング中に作り、その場で持ち帰るか輸送するかを簡単に選択できるようなサービスもあるようです。

『イケア』の方はどうでしょう。

ニトリとの違いを説明するのが早そうです。
一番の違いは、
・自社生産工場を持たない。パートナー企業・工場生産を受託している。
・販売においてDIY、セルフサービス方式をとる。
この2点です。

*家具/ホームファニッシングの生産において
→とにかく低コストでおしゃれなデザインの商品を生産しています。

イケアが拘るのは以下の点。
 ①家具の値段から決めて、その範囲で最大限のパフォーマンスをする。
 ②基本的ローカライズしない:全世界、共通のデザイン。取扱説明書も英語(一部、日本に合わせた商品開発も行っている模様)
 ③ローコストの梱包(フラットパック)。最小限にコンパクトに薄くすることで、輸送効率・陳列効率の向上を図る。
 ④セルフサービス/DIY推進:基本組み立ても自分自身。(組み立てる・輸送サービスもある。)
 ⑤店舗と倉庫を一体化させることで、場所のコスト削減。

*数字からわかること
上記のように、イケアは販管費の削減に力を入れていることがわかります。
人員、場所、資源のコストに取り組んでいます。

先ほど載せた表から、販管費がイケアは売上の27.6%なのに対してニトリは38.4%であることがわかります。イケアが販管費を抑えることに注力していますね。

*リアルとネットの融合
イケアも近年急速に進めてきました。しかしECショップを始めたのは2017年とかなり遅かったようです。まだ認知度やユーザーは少ないようですが、原宿の店舗では商品のバーコートを読み取りECショップにつながるシステムなどを開発しています。

3 ニトリとイケアのコンセプト・ターゲティングの違い

大元の経営戦略に違いがありましたが、事業戦略的なとこにも違いがあるようです。

表にまとめました。ターゲット層からデザイン性まで違いがあります。

イケアは今年の6月に原宿に店舗を出しました。都市型の店舗ですが、今年の冬には渋谷にもオープンさせる予定です。若い世代の一人暮らし層などにもアプローチしたいようです。

4 イケアの改善点と今後力を入れるべきことは?(考察)

さて、3までの内容を踏まえて、4『イケアの改善点と改善策』についてです。

さて、イケアの大きな改善点は売上が伸びない事だと思います。
ニトリや無印など競合が存在する中、リピート顧客や特に新規顧客が増えていない現状があると考えました。イケアは店舗を展開し始めてテレビやSNSで取り上げられた時に、その世界観や商品のデザイン、購入体験に価値を感じた熱心なファン顧客がリピートをしてくれているだけ。のようなイメージです。

改善点についてリピート戦略と新規顧客獲得戦略の点から。

・リピート戦略
①ターゲット(若いファミリー層)にとっての利便性に欠ける点がある。&そこを補助するECサービスの遅れ
・暮らし方の変化。都市に住まいが集中していることや、車の保持率の低下。
・自分で組み立てなきゃいけない

・新規顧客獲得戦略
②ニトリに比べて顧客層の幅が狭い。高齢の方には利用しにくいサービスだから。
・立地
・セルフサービス重視

③イケアの世界観やデザインに共感する優良顧客のリピートは望めるが、新規顧客導入のハードルが高い。
・立地の問題
・セルフサービス重視

ニトリと比べた時、イケアに行くという理由を作れていない
・郊外の顧客体験価値では十分に訴求できないのでは。
・セルフサービスやDIYシステムが面倒くさいと潜在顧客は感じている、そのハードルを乗る超える要素がない。
・イケアの家具やホームファッシニングのUSPがPRできていない。

さて、改善策の方です。こちらもリピートと新規に分けます。

前提として、ターゲットは若者/中年層(20〜40代)の一人暮らし、ファミリーに絞ります。顧客を増やしたいなら、シニア層も取りに行けば?と思いましたが、既存にイケアのコンセプトや商品のデザインを考えると若者をターゲトに集中した方が良さそうです。年収はニトリと同じ感覚。

①既存顧客(イケアの世界観が好きで、デザインも機能も満足している客)のリピートを上昇させる
・SNS(Yotubeやインスタグラム)を活用してお部屋のデザインの提案、整理整頓のためのデザインを提案しつつ顧客との接点を増やす。
・都市に店舗を展開することで来店数を増やし接点を増やす
・ECショップのクオリティを上げて、リアルとネットの融合を目指す。
→手ぶらdeショッピング的なシステム開発、組み立て方の説明動画
・既存顧客もベットやソファ、ダイニングテーブルを買おうと思った時に、日本人に合う機能性を持つニトリを選ぶことが多いようだ。この辺りは多少日本に合わせたデザイン、機能、性質に合わせるべきなのではないか。

②新規顧客の獲得*PR
・カタログを雑誌やデジタルでダウンロードしなきゃいけない形は古い!SNS(Yotubeやインスタグラム)を活用してお部屋のデザインの提案、整理整頓のためのデザインを提案しつつ商品の認知度を高める!
・インスタのフォロワーは95万人くらい。ニトリも100万万人程度なのでそんなに差は開いていない。
・ニトリの『お、ねだん以上』というようなわかりやすく頭に残りやすいキャッチフレーズがイケアにも必要なのではないか。
・イケアのUSPはオシャレなとコスパを備えた家具や・ホームファッシニングに加えて、店舗での体験もUSPになるが、
前者の方をより若者に刺さる形でPRする。ニトリは機能性がありどの世代も刺さるシンプルなデザインを押しているので、そこでの差別化をしっかりRする。
・イケアのサステイナブルな世界観に共感をしてもらえるようにPR

*店舗(都市の)
・都市型店舗の開発をすることで、認知度の向上。
→新規顧客の流入を増やすために、店舗での買い物のハードルを下げる。店舗は商品の展示、ショールームで部屋のデザインの提供をし買いたいものを決め、大きい家具は基本配送サービスや組み立てサービスを利用してもらう。セルフサービス<利便性を都市の店舗では追求する。
・ECショップのクオリティを上げて、リアルとネットの融合を目指す。
→原宿IKEAのアプリがイケアのアプリと別にあるからガッタして使いやすくした方が良い
→手ぶらdeショッピング的なシステム開発

長くなってしまいまいしたが、改善点と改善策まで述べました。
イケアは都市への進出を今進めているようですが、単に都市に店舗を出すだけでは何も変わらない。もっと差別化を図った戦略が必要だと考えます。

イケアの雰囲気や世界観はすごく好みなので、応援したいです。w
渋谷の店舗を完成したら行ってみようと思います!

以上、今回は『ニトリとイケアの戦略解剖』でした!

<参考記事・資料>