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金属について

金属は何でできているのか?

木工作品に真鍮の粉や錫の粉、鉄などを一緒に使ったりしているので
その素材についてもう少し深掘りして知っておこうと思う。

<記事内素材一覧>
・真鍮
・鉄
・錫
・銀
・銅
・アルミニウム
・ステンレス
・金

真鍮

最も身近なものは5円玉である。
真鍮は銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金である。
それぞれの割合や与える熱によって色が変わるため、あらゆる色が存在する。
亜鉛の含有量によって
丹銅(亜鉛5~20%未満)
七三黄銅(亜鉛30%)
六四黄銅(亜鉛40%)と呼ばれる。
亜鉛の含有量が少ないと赤味が強く軟らかく、
亜鉛の含有量の多いと金色に近く硬いという特徴がある。

英語表記ではbrass(ブラス)。
サックスやトランペットという管楽器に使われており、
金管楽器のみの楽団を”ブラスバンド”という。

真鍮の経年変化

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手垢や参加によるもの、磨けば元に戻る

参考:https://sot-web.com/column/brass/



工作素材としての鉄は主に鉄鋼と呼ばれる。
鉄鋼は鉄を主成分とした材料の総称として使われるが、
正確には鉄と炭素(2%以下)の素材をいう。

鉄鋼素材の鉄に加える成分は、炭素(C)が主成分で、
シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)が補助的な役割で入っており、
この5元素を鉄鋼の五大元素という。鉄鋼素材はこの五大元素が成分のほとんどを占めている。

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黒川鉄

鉄を1000℃ほどの高温で成形すると、温度が下がるときに表面が酸化して被膜がつくられる。この被膜を黒皮という。黒皮は自然に発生するものなので、色の濃淡、手触りなど一定ではない。

鉄の経年変化

鉄活1

いわゆる錆、やすれば元通り

参考:https://www.kousakukikai.tech/metalmaterial/
https://85inc.jp/kurokawa/


古くは紀元前2500年頃から、主に飲食器として文明の発展とともに盛んに行われるようになった錫製品。
地域や時代によっても少しずつ作りかたや素材の構成は違うが、概ね錫90%以上が含まれる錫合金が用いられている。
純錫は柔らかすぎて器の寿命が極端に短いため、必ず他の金属を加えて合金化、硬くして耐久性を持たせている。
(錫に限らず多くの金属は「疲労」と言って力を加えることによって組織が崩壊していく。崩壊を防ぐためには動かないことが重要。)

世界各地で用いられてきたピューター合金(別名ブリタニアメタル)は91%の錫に、アンチモン7〜8%、銅2%となっている。硬く加工性が良いことが特徴だが、変色しやすい欠点もある。そんな中、近代の日本の錫器は錫の含有量が高く97%以上含まれていて、色が変わりにくい特徴がある。美しい色をしていますが、ピューター合金に比べると柔らかく傷つきやすい素材でもある。

※錫についての経年変化画像を探したが見当たらなかった、本当にあまり変化がないようだ

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能作さんの有名なカゴ。グネグネして面白かった。
能作さんの製品ではないが、錫でグネグネさせて使う器を使ったことがあり、どのぐらいグネグネするのに耐えられるのか実験したことがあったが、やはり直角に折り曲げたり、折り紙みたいに使うのを繰り返すと破れるみたいな感じで壊れてしまう。落としても割れたりしないし、素材も優しいから子供がアレルギーを持っていなければ錫製品も子供用としてもう少し出てもいい気がしている。

参考:https://www.seikado.jp/pewter


銀も上記同様に銀単体だと柔らかすぎるため、正確には92.5%以上純銀が入っていれば製品として銀製品と言えるようになっている。

銀もいくつかの種類があり、それぞれ用途も違います。

1000(銀100%)、950(銀95%)、925(銀92.5%)、
900(銀90%)、800(銀80%)。

アクセサリーなどではこの中で、1000は純銀、950はブリタニアまたは五分落ち、925はスターリングシルバー、900はコインシルバーなどと呼ばれている。

日本の硬貨、500円玉はニッケル黄銅(銅 72%、亜鉛 20%、ニッケル8%)、100円玉と50円玉は白銅(銅 75%、ニッケル 25%)で作られており、
銀は含まれていない。

銀の経年変化

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いぶし銀
しばらく着けずに置いていたらシルバーが黒くなっていた・・・。

これは酸化(サビ)ではなく、硫化という反応が起こっている。
硫化とは硫黄成分に反応して銀が黒く変色することで、
空気中の硫黄成分や、汗、温泉の成分(硫黄成分が無い温泉は反応しません)
に反応して変化すること。

また、紙の種類によっては銀を黒くするモノやゴム製品などにも硫黄成分が含まれているためシルバーの近くに置いておくと変化する可能性がある。


銅と言うと金銀銅というイメージからちょっと高価なものという印象があるかもしれませんが、製造業においては重要な加工素材である。

現在、金属資源として大量に使われている銅素材ですが、実は太古の時代から利用されていて、人類が最初に使い始めた金属と言われている。

青銅器時代と呼ばれる時代がある通り、銅は青銅器や和同開珎などの貴重品から武器や農具といった一般的に使われる道具まで、昔から大変よく使われていた金属なのであった。

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写真は開花堂さんの茶筒の経年変化であるが、情報の参考にした日本銅センターの経年変化にはこの後に緑青という変化がある、ニューヨークの「自由の女神像」みたいな。
緑青変化はとても美しいので漆でも青銅塗りという、青銅に見えるような塗り方がある。また自作で銅を緑青にしたいと思い、銅を短期間で緑青まで持っていくことを調べたことがあったが(資料先は忘れました。。)、塩化アンモニウム水溶液(10%)を毎日定期的に噴霧して雨風の当たらない外に置いておくというものだった気がする。彫刻家の人がそれで作品を作っていたような、、確か2週間くらいでほんのり緑青になっていた。
個人的な実験で木に膠で銅粉をつけて雨風にさらしてベランダに放っておく(自由の女神作り)というのを2ヶ月前から行なっているが、現在はほぼただのボロボロの木になっている。

参考:https://mitsu-ri.net/articles/copper
http://www.jcda.or.jp/qa/tabid/94/Default.aspx


アルミニウム

アルミニウムとは金属の一種で、身近なものといえば1円玉が挙げられる。他にも、飲料水の缶、アルミサッシ、自動車・飛行機の部品など。
アルミニウムだけ含まれているものを「純アルミ」と呼び、銅・亜鉛・マグネシウム・ニッケルなど、その他の元素が添加されると「アルミニウム合金」となる。

アルミニウムの特性

”錆びにくい”
空気中で酸化皮膜を生成するため、耐食性が強い金属です。表面処理の方法によっても、さらに耐食性を高めることができます。

”無毒”
無臭・無毒なため、人に害を与えたり、土壌を傷めたりすることもありません。そのため、食品や医薬品の包装としても利用されています。

”加工しやすい”
融点が低いため鋳造しやすく、成形しやすいため、複雑な形状のものも作ることができます。

”低温に強い”
極低温下でも、素材の強さを発揮することができます。

参考:http://www.ishikawatrunk.co.jp/alumiseitrunk-tsuuhan-yusouyou.html


ステンレス

ステンレスは英語でstainless steelと言い、直訳すればステンレス鋼となり、これが日本での正式名称となる。stainlessとは「さびない」と言う意味である。厳密には「さびにくい」という意味も含まれる。

ステンレスは鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金で、他の材料に比較すると使用量が急激に伸び、その生産量をみると現在国民一人当たり熱間圧延材ベースで30kg程度使用されるようになっている。

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中川木工芸さんのかっこいい木桶のタガは錆びないステンレス製。
木と金属は相性がやはりいいと思う。

参考:http://www.jssa.gr.jp/contents/about_stainless/


金(ゴールド)とは元素記号Au、原子番号79の金属である。
Auはラテン語の「光るもの」aurumに、
英名のゴールド(Gold)はサンスクリット語の「輝く」にちなんだと言われている。

この輝きの秘密は金が光の中の青だけを吸収し、
その他の色は反射する、といった特性に由来する。

金は最も薄く伸ばせる金属で、1グラムで約3000メートルもの長さの金糸や、さらに極薄にした金箔を加工することも可能である。

耐酸化性が高いため他の金属に比べ錆びづらく経年による退色・腐食が極めて少ないため、「不変の輝き」を持つこともまた大きな特性である。

また、金そのものは非常にやわらかく傷ついたり変形しやすいため、金の融解性を活かし金パラジウムや銀、銅などの割り金(わりがね)を配合して合金にする。

そうすることで普段使いに適した硬さに調整することが可能。

この割り金の種類によって本来の金色とは異なる色相を持たせることもできる。

ホワイトゴールドやイエローゴールド、ピンクゴールドなどが有名である。

この三つのカラーが三連となったリングで有名なのがカルティエのトリニティや

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ブルガリのトゥボガスシリーズ

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などだが、金そのものの輝きとはまた一味違った美しさを備える。

なお、金の用途はリングやネックレス、イヤリングなどのジュエリーに留まらず、貨幣やインゴット(バー、延べ棒)など資産として、また、導電・熱性を活かした半導体ワイヤーなど工業用として、と幅広いケースで使用されている。

これらは金の持つ不変性と融解性ゆえ、熱で溶かせば全てがまた別の金となる、つまり半永久的にリサイクルが可能。

金については歴史・資産的価値など様々掘り下げたいところであるが、下記参考リンクにものすごくわかりやすくまとめてあるため、ここの工芸ジャンルの記事ではこの程度にとどめておこうと思う。ご興味のある方は下記のリンクから!

参考:https://greeber.jp/story/story16


番外

金属アレルギーの起こりやすい金属

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ということで銀、アルミはアレルギーをほぼ起こさない金属である。

参考:https://www.rakuten.ne.jp/gold/2pcs/html/contents/zatugaku.html

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