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眠り姫の鱗 / Sleeping beauty scale(2024)

譜面ベースの音楽は、譜面さえあれば演奏によって遠い未来にも生きた状態で音楽として再生し得る。そんな風に永久に生きる事ができる作品を作るのは、作曲する人間として夢の一つです。

この作品はモーリス・ラヴェルのおとぎ話や妖精を題材にする作品からモチーフを引用しました。聞き覚えのある響きを出発点とし、引用したいくつかのモチーフを素材としつつ、自由に展開していきます。構成は子供の頃に見ていた魔法少女アニメの変身シーンになぞらえました。

制作過程で、引用したモチーフは、今までも私の音楽の一部として共にあった「鱗」のようなもので、それを逆立てて確かめているような感覚になりました。たとえ形が変わっていても、私たちが発したり見聞きしたものは影響を及ぼし合い、存在している。音楽を紡ぐことは、意識せずとも常に何かの二次創作なのだと思います。このように「原作の演奏」以外のかたちでも音楽が生き永らえる可能性があることは、自分にとって希望になります。

最後には鱗が剥がれ落ち、キラキラと空間に散らばっている。この鱗はまた誰かの心の耳に残ることができるだろうか。



第9回両国アートフェスティバル2024
芸術監督|山根明季子
テーマ|二次創作

【Program 3】 2024年8月10日、11日
会場|両国門天ホール
ピアノ|大瀧拓哉、藤田朗子
トーク|辻田絢菜、灰街令、梅本佑利、大瀧拓哉、藤田朗子、山根明季子
http://www.monten.jp/

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