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続・222の奇跡


何も言えるわけ、ない……
なんていっていいのかさえわからない……

あたしは夢を見ているの?
それともこれは幻?
そうよね……きっとそう……
手を伸ばしたとたん消えて……

「…………」
真っ白にぼぉっとなった意識の奥で、何かが聴こえた気がした。
やさしくて、あたたかくて……
それでいて泣き出しそうなくらい、懐かしい……

「………カ」

え?

「………ョーカ」

だれ……?だれ?
わたしを呼んでいるの……?

「リョーカ!」

思わずはっとなって目をあけた。
光の中で今にも鼻がくっついてしまいそうな距離で、覗き込んでいるのは……。

「……驚かせるな……気を失っちまったのかと思ったぜ……」
わたしの鼻の頭をくすぐるように、彼の前髪が落ちている。
そう、彼の…
彼?

びくん、となったからだを彼のたくましい腕がしっかりと支えた。
視界はまだ滲んだまま。
思わずまた、瞼をとじる。彼の中から逃げ出せない恥ずかしさで一杯になった。

……夢、じゃない…….
あなたの名前を呼ぼうとしても、声がでない……

ふいに眩い世界が瞼の向こうで暗くなった。
その瞬間、頬に伝わる熱い息遣い……

「………っ」
「………泣いてンじゃねえ……」
彼の唇が、舌が…わたしの涙を……

夢中になって掴んだのは彼の腕。
……信じられない
……怖くて目をあけられないの……

荒い息が耳元ではじける。
あのひとの唇が、わたしをめちゃめちゃにするの…

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