アメリカのアジア料理事情:中華・日・タイが圧倒的シェア
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前回の記事で、メキシコ料理がアメリカ各地の食文化に浸透している背景についてお話ししました。今回は、アメリカのアジア料理事情についてお話ししたいと思います。
中華・日・タイが7割超え
米ピュー研究所の調査によると、アメリカ全土で、アジア料理を提供するレストランはなんと12%に上ります。これは、アメリカの人口の7%を占めるアジア系アメリカ人よりも高い割合です。
アメリカのアジア料理レストランのうち、約70%は「中華料理」、「日本料理」または「タイ料理」を提供しています。これらの料理は、アメリカのアジア系人口の33%を占めています。
中華料理:アメリカのアジア料理レストランの39%が中華料理を提供しています。中華料理はアメリカで長い歴史を持っており、アメリカ人の食卓に深く根付いています。
日本料理:寿司がアメリカに初めて登場したのはわずか50年ほど前ですが、現在では日本料理、特に寿司はアメリカ全土で広く楽しまれています。最近ではラーメンも人気です。日本料理レストランはアメリカのアジア料理レストランの28%を占め、中華料理に次いで2番目に多いアジア料理です。
タイ料理:アメリカで3番目に多いアジア料理はタイ料理です。タイ料理レストランは11%を占めていますが、タイ系アメリカ人はアメリカのアジア系人口のわずか2%にすぎません。タイ政府は長年にわたり、世界中のタイレストランを増やすことを外交の一環として支援しており、その影響が大きいと考えられます。
インド料理とフィリピン料理は少なめ
インド料理とフィリピン料理は、アメリカのアジア系人口の約40%を占めていますが、レストランの数は少なめです。インド料理レストランは7%、フィリピン料理レストランは1%にすぎません。これは、認知度の低さや、日本食やタイ食のように積極的な政府支援やマーケティング活動が行われていないことなどが原因と考えられます。
地域による偏り
アメリカのアジア系アメリカ人と同じように、アジア料理レストランも特定の州に集中しています。アメリカのアジア系人口の55%は、カリフォルニア州、ニューヨーク州、テキサス州、ニュージャージー州、ワシントン州の5つの州に居住しています。そして、アメリカのアジア料理レストランの約45%もこの5つの州に集中しています。
ハワイ、カリフォルニア、ワシントン、ネバダ、ニューヨークなど、アジア系アメリカ人が多い州では、15%以上のレストランがアジア料理を提供しています。一方、モンタナ、ノースダコタ、サウスダコタ、ウェストバージニアなどアジア系アメリカ人の人口が少ない州では、アジア料理レストランは全体の6%にすぎません。
多様なアジア料理の広がり
アメリカ全土の73%の郡には、少なくとも1つのアジア料理レストランが存在します。しかし、特定のアジア料理の分布は大きく異なります。
中華料理は全50州と70%の郡で見つけることができ、日本食(45%)とタイ料理(33%)も多くの州と郡に根付いています。その一方で、ベトナム料理とインド料理を提供するレストランは約5分の1の郡に、フィリピン料理、パキスタン料理、モンゴル料理、ビルマ料理を提供するレストランは10%未満の郡にしか存在しません。
フュージョン(多国籍)料理も人気
アメリカのアジア料理レストランの9%は、複数のアジア料理を提供しています。これらのレストランのうち、約70%は「中華料理と日本料理」の組み合わせです。中華料理とタイ料理(18%)、日本料理とタイ料理(15%)、日本料理と韓国料理(10%)なども人気があります。
まとめ
アメリカのアジア料理市場は、中華料理、日本料理、タイ料理が圧倒的なシェアを占めていますが、近年は他のアジア料理も注目を集めています。政府や民間による支援、各国の食文化の普及活動などを通じて、今後さらに多様で本場の味に近いアジア料理がアメリカ全土で楽しめるようになることを願っています。