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【読書レポ】罪の声

初版は2016年の「罪の声」。
確か3年くらい前に、新聞の書評で絶賛されていたのを目にして以来、気になっていた本でした。
昭和の怪事件「グリコ事件」をモチーフにしており、事件の時使われていたテープの声の主が小さい頃の自分だと知ってしまった俊也と、年末の新聞企画でグリコ事件を取り上げるのでおもしろエピソードを書けと急にむちゃぶりされた新聞記者(文化部)の阿久津。
二人の主人公が、両方向から事件の真相を探る様子から、だんだんと迷宮入りしていた怪事件の真相があぶりだされるというお話です。

私は、独立エピソードがやがて絡み合って解につながるという構成の本が大好きで、この本も点と点が結びついいていくさまがお見事でした。
しかし、この本の「真相」は犯人を見つけ出し、その心境を聞き出すということものではありません。
大きな事件の背景に、なすすべもなく巻き込まれてしまった人。そういう存在を小説の中だけででもすくってあげたいという作者のやさしさがみえる作品でした。

読み終わった後に表紙の絵をみると、この絵は「あの瞬間」の様子を描いたものなのかな、と思います。
阿久津が文化部の記者という設定だったのもよかったですね。
途中まで文化部の記者がここまでするの??となってるのですが。阿久津が文化部だったからこそ、広い視点をもって取材できたのかなあと思えます。

そして、そして…なんとこの小説が満を持して映画化!https://tsuminokoe.jp/

なんで今頃!? とも思えますが、だんだん責めていく阿久津の様子や上質なスーツを扱うテーラーの俊也を映画でみれることを楽しみにしてます!

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