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【文フリ出品までの記録6】文フリ大阪トライアル出店+挿絵に悪戦苦闘

京都文フリまであと半年。

note記事の更新が遅れがちなのは、元ネタとなる作業があまり進んでいないから…困った。


2024年9月8日文学フリマ大阪


停滞しがちな私とは違って、おなじサークルの面々はエネルギッシュな人が多く、京都まで待つことはない! 9月の大阪にも出店しよう!と準備を進めている。すごい。

サークルの例会で、いくつかサンプルを見せてもらった。

ひとつは建築(など)の写真集。構図に特徴があって、見ていると、写真の向こう側に吸い込まれていきそうになる。視線とともに、写真の中を移動しているような気持ちにもなる。

もうひとつは小さな絵本。一枚に物語がギュッと詰まっているような絵で、見せてもらったとき、ますむらひろしの『銀河鉄道の夜』を見たときのような没入感を感じた。実物が楽しみ。

他、保護猫エッセイ、処女小説、道ばた考現学、ローカル銘菓の本など、ジャンルはバラバラだけど、内容を聞いてみると、どれもゆっくりページをめくりたくなる本、という点で共通しているように思う。

ページといえば、本(冊子体)じゃないものもある。詩のポストカードや、自家製ハーブの草木染めポストカードも出品される。どちらも、ポストカードの上に文字がのるまでの時間に思いをはせながら、ゆっくりと眺めたいものになりそう。

自分のことは棚に上げて、文学フリマ大阪楽しそうだな…と思った。

時間のある方は、ぜひ大阪のブースへ足を運んでほしいです。

文学フリマ大阪
2024年9月8日(日)12〜17時
@天満橋OMMビル
2F A・B・Cホール
出展ブース:下鴨ロンド
ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記
場所:せ-46

ここ1ヶ月取り組んでいたこと


力こぶをこめて紹介したものの、自分は文フリ大阪には参加できない。粛々と半年後の京都に向けて準備するのみ。

ここ1ヶ月ほどは、挿絵の準備をしていた。

繰り返しになるが私は「約100年前の雑誌に載っていた外国語小説を、掲載時の雰囲気を再現した形で翻訳・紹介する」ことをめざしている。

当時の紙面

見ての通り、当時の紙面には挿絵がふんだんに掲載されていて、この雰囲気を再現するのに、挿絵は外せない。

しかも、私が扱おうとしている小説は、挿絵の果たしている役割がとても大きい。本文中で挿絵の存在が言及されるところがあるのだ。

・・・我々は、画家K・ロトフとともにコロコラムスクにたどり着き、そこのホテル〈リャジスク〉に滞在して、驚くべきこの町の全体の見取り図までとったのである。・・・ 見取り図からもわかる通り、栄えあるコロコラムスクの町は、ゆるやかに流れるズブルヤ河の左岸に悠然と広がっている。・・・

『コロコラムスク市生活の尋常ならざる話』「町とその周辺」より一部抜粋

…と書かれた文章の横に、実際の見取り図が掲載されている。

「驚くべきこの町の見取り図」

この見取り図の芸が細かくて、小説のエピソードや登場人物がきちんと盛り込まれた形になっている。「ウォーリーを探せ」的な楽しさもある、眺めて楽しい絵なのだ。

ぜひともこの見取り図をじっくり見てもらえるように、なるたけ美しく再現したいと思っている。

思ってはいるが、問題はその方法で、1ヶ月ほど手こずることになった…

挿絵を美しく甦らせるには


当時の雑誌の多くは電子化されていて、挿絵も電子化されたものが入手できる。

ただ、解像度が低かったり、紙面の黄ばみや汚れがあったりして、そのままでは使えない。

解像度については、サークルのアドバイザーZkmkさんから「なるべく高い解像度でオリジナル画像をつくっておきましょう」と教わっていた。

オリジナルのイラスト画像は解像度を高めに保存しておくとよい。
印刷所入稿時には300〜350dpiの画像解像度を求められることが多いが、それより大きく、400〜600dpiくらいで。
解像度を高く保存しておくと、自分でいかようにも使えるし、紙面デザインをするときには400dpiくらいで取り込んで、あとから調整していくこともできる。

Zkmkさんのアドバイスをもとに筆者が取ったノート

理屈はよくわかるが、やり方がわからない。

「そのオリジナル画像、どうやって作ったらいいですかね… 元の画像はあるんですが、粗くて、しかも黄ばんでいます。PhotoshopやIllustratorは難しそうで…アナログでいい方法ありませんか」と図々しいことを言う私に、Zkmkさんは、

挿絵を拡大印刷して、描線をトレーシングして、スキャンして取り込んだらどうですか

と言ってくださった。なるほど。それならできそうだ。費用も安く済む。

というわけで、100円ショップでトレーシングペーパー(A4)を買ってきて、手始めに挿絵をひとつ選び、トレースしてみることにした。

白黒印刷し、上からトレーシングペーパーを被せて固定する。

そして慎重に、慎重に、線をトレースする。

(ペンはSAKURA MICRON PIGMA 03を使用)

しかし、ひとつの挿絵をトレースし終わるまでに「これは無理じゃないか」と感じた。

トレースしているはずなのに、何か違うものができあがっているのがわかった。

慎重に線を引いても、いや、慎重に線を引くからこそ、原画の線の勢いが消えてしまう。そして、似て非なるものができあがる。

拡大印刷しているわけだから、取り込んだ後に縮小してしまえば、線の稚拙さは目立たなくなるかも?とも考えた。

しかし、仮に1枚がそのように上手くいったとして、残りの10数枚も同じようなレベルでトレースできるだろうか?

1枚目の図柄には、線の少ないものを選んでいる。それでこうなのだから、もっと複雑な他の絵柄はどうなる… 

根気のない私は早々にギブアップした。

(負け惜しみを言えば、自分でトレースしてみることで、原画の素晴らしさを再認識できたのはよかった。伸びやかで勢いのある線を、素人の線で潰してはいけない)

デジタル作戦に路線変更


アナログ作戦が挫折した以上、尻込みしていたデジタルツールを試すしかない。

腹をくくってPhotoshopを入れる。(過去、「レイヤー」などの概念を理解できずに挫折した経験があるので、なるべくなら避けたかった…)

ネット検索で「イラストの線だけを取り込む方法」なんかを調べ、あとはもう実践あるのみ。

右上が原画、左下がPhotoshopで黄ばみをとった画像

しかし実際にやってみると、ネットに載っている方法では、うまく取り込めない挿絵がいくつかあった。多色刷りの挿絵なんかがそうだ。あとは、解像度が低すぎて、背景と線の一部が溶け合っている挿絵なんかも難しい。

それに加えて、前の挿絵が上手く取り込めたからといって、同じ設定で次の挿絵を処理しても、きれいに抽出できない場合のほうが多かった。原画の解像度も、色合いも、それぞれ違うからだ。

一枚ごとに繊細な調整が必要だったが、専門知識もない。手あたり次第にスケールバーを動かす、という乱暴な方法しかとれない。まさに暗中模索。

アナログ作戦がほぼ失敗した今、デジタル作戦で挫折するわけにはいかないが、挫折しそうだった。

Photoshopの無料お試し7日間が終わる!それまでにできるところまでやりたい!というのがほとんど唯一のモチベーションだった。恥ずかしながら。

しかしできれば動機はなんだって良いのであって、最終的にはまさかのケチ根性が推進力となって、最低限の挿絵は取り込みができたのだった。Adobeの無料お試し制度に感謝したい。

これで、雑誌掲載時の挿絵を使って、紙面を作ることができそうだ。

(なお、挿絵の掲載については、版権に関して大学の先生にも相談した上で、自分で決めた。相談をしたとはいえ、すべての責任は自分にある)

…と安心したのも束の間、アマチュア翻訳の葛藤にふたたび襲われることになった。次回へ続く。


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