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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】春の食養生には「菜の花」を!

3月に入って一気にあたたかくなりましたね。
梅もそろそろ見ごろが過ぎ、桜の開花が待ち遠しくなりますが、この時期、一面黄色に咲き誇る、菜の花のお花見もきれいで心がなごみます。
筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』が所在する千葉市内からは、電車で約一時間ほど行くと、房州地方を中心に一面黄色に染まった菜の花畑が見ることができます。
千葉県のローカル鉄道、「小湊鉄道」と「いすみ鉄道」は、鉄道ファン、撮り鉄ファンの間でも人気で、車窓からも菜の花畑の絶景を楽しむことができます。

今回は、そんな「菜の花」パワー、そのヒミツをご紹介していきます。

以前に花粉症の記事『【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】花粉症と鍼灸https://note.com/ayajazari/n/ndaea8e90b543) 』を紹介しましたが、「菜の花」は、食材として摂取することで栄養学的には花粉症対策にも効果的だという説があることから、食養生としてはおすすめです。
詳しくは『2.栄養学としての効能』をお読みください。

なお、『4.菜の花 の簡単レシピ』では、食用菜の花を使った、この時期におすすめの『菜の花のからし和え』をとりあげています。

では、最後までお楽しみください!!

1.菜の花の由来

「菜の花」は元々、アブラナ科の越年草 油菜 (アブラナ)の花を指します。原種は西アジアから北ヨーロッパにかけて広く分布する麦畑の雑草ですが、中国に伝わり花茎や葉茎を食用とする栽培種に発達しました。油を採るために種子が利用されたことから「油菜」と呼ばれるようになったといわれています。
「油菜」の花茎と蕾、柔らかい葉茎は代表的な春野菜で、これを一般的に「菜花」「菜の花」と呼んでいますが、近年ではヨーロッパを原産とするセイヨウアブラナの柔らかい茎葉も「菜花」と呼ばれて流通しています。
また、食用、採油用、観賞用にはそれぞれに適した品種が開発されています。

2.栄養学としての効能

「菜の花」は、ビタミン類やミネラル、食物繊維を多く含む緑黄色野菜です。
特にビタミンCの含有量は野菜の中でもトップクラスです。
そのほか、β-カロテン、ビタミンB2、ビタミンEなど抗酸化作用を持つビタミン類も豊富で、花粉症やアトピー性皮膚炎、生活習慣病などの要因と考えられている活性酸素の働きを抑える作用があります。
また、コラーゲンの合成を助ける作用もあり、女性にはうれしい美肌効果も期待できます。
さらに、カリウムやカルシウムも多く含まれていて高血圧や骨粗しょう症の予防にも期待できます。
そのほか多く含まれる栄養素として、葉酸や鉄分は貧血の予防、食物繊維は便秘の解消や生活習慣病の予防に効果が期待できます。
アブラナ科の植物特有の辛み成分が変化してできるイソチオシアネートも抗酸化作用が強く、近年の研究では抗がん作用が期待できることが確認されています。

調理法にもよりますが、菜花は1食で50g程度を食べることができ、1食あたりの栄養素の量で考えるとかなり優秀な野菜です。

調理法や食材の組み合わせにより効率よく栄養素を摂取できますので、調理のポイントをご紹介します!

①下茹では短時間で!:
菜の花にはえぐみがあるので調理の時に下茹でをします。
茹で過ぎるとビタミンCなど水溶性のビタミンが流失してしまうのに加え、香りや食感も落ちてしまうので注意しましょう。

②油脂分を加えて:
β-カロテンは脂溶性なので油で炒めたり、マヨネーズで和えるなど、油脂分と一緒に食べると体内での吸収率が上がります。

③カルシウムが豊富な食材と組み合わせて:
ビタミンCにはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。
カルシウムを多く含む乳製品や、小魚などと一緒に食べると骨粗しょう症予防の効果が期待できます。

④たんぱく質と一緒に:
ビタミンCにはコラーゲンの生成を助ける働きもあるので、たんぱく質を含む肉や魚、卵、大豆製品などと一緒に食べると美肌効果が期待できます。

3.東洋医学的な効能

東洋医学的には、「菜の花」は以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 辛・甘、平
【関連する臓腑経絡】 肺・肝・脾経

①清熱
身体の余分な熱を冷ますとともに、体内に溜まった湿(身体にたまった余分な水分)を取り除きます。
慢性胆のう炎、胃、および十二指腸潰瘍に効果的です。

②消腫
腫れ(はれ)、むくみを解消します。

上記の効能により、冬の間に溜まった老廃物をデトックスするだけでなく、肌トラブルにも効果が期待できます。

4.「菜の花」の簡単レシピ

菜の花の伝統的な食べ方に『菜の花のからし和え』があります。
菜の花には苦み成分が含まれていて、春野菜独特の味わいですが、この苦み成分が大腸と肺の働きを抑制するため、薬膳では胃腸薬としても使われる「からし」で和えます。
下茹でで茹ですぎると食感も栄養も失われてしまうので短時間で仕上げましょう。

【作り方】
①菜の花は水で洗い、つぼみと柔らかいところ、茎を切り分けます。
②沸騰している湯に塩を少々入れ、茎からゆでます。
③柔らかいところやつぼみはゆですぎないようにします。
④すぐに水にとってひやし、ざるにあげて水を切ります。
⑤ボールやどんぶりなどに溶きがらし(チューブでよい)をめんつゆと合わせます。
⑥水をしぼった菜の花と合わせます。

菜の花の香りと風味が持味なので、買ったらすぐに調理してください。
食べる直前に和えたほうが、味も良く、色もきれいにできあがります。
また、時間が経つと水分が出て水っぽくなるので、早めに食べましょう。
和え衣にごま、落花生、わさびなどを加えたり、マヨネーズやドレッシングでもおいしくいただけます。

そのほか、インターネット上には、菜の花を使ったたくさんのレシピが出回っています。
これからの時期はあさりやホタルイカと合わせても楽しめます。

いかがでしたでしょうか?
『春の食養生には「菜の花」を!』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』

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