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【ホタルイカと春菊炒め】春菊と母とわたし

【春菊の香り】

「私、春菊嫌い。

臭いからこんなもの入れないで!」

母に言った。


あれは中学生くらいだったかな。


家族で楽しい食卓。

今夜はすき焼き。

「やったね!」
わくわく心が躍る。

美味しいお肉をたまごにつけて食べると
とろーりとろけるお味。

あぁ幸せ。

特別な感じがして、
すっごく嬉しい日。


でも、そこに存在する異分子。

それが春菊。


よけて食べればいいと

母は言った。


でも、よけたと思っても
お肉からまだ香りがする。

せっかくのすき焼きが台無しだと思った。


「臭いんだけど!!」
私は言った。



母は怒るでもなく

ただ

春菊の料理は
私の前には出なくなった。


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そして今。

義母と実父が畑で野菜を作っている。


しばらく青野菜が取れない時期がある。

そこを耐えた私に青野菜がついに届いた。


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やっと来てくれたね。

待ち望んだものがついに届いた。

本当に嬉しい。


おや・・・?

その中に当たり前のように並んでいたもの。

それは、春菊だった。


春菊というと旬は11~3月。

冬のお野菜。

鍋に入っているイメージ。

春に花を咲かせるから春菊だという。



父の畑には、
春なのに小さな春菊が生えていた。

「サラダ春菊」
といって、大きくするのではなく、
小さなうちに食べるものらしい。

この間父がそう言っていたこと思いだす。



私の中の春菊の苦い思い出。


鼻を刺す春菊の香りのように、
今度は胸にツンとくる。


結婚してから買ったことはない。

どこかで避けていた春菊。


だけど 自然に

「食べてみよう」

そう思った。


【ホタルイカと春菊炒め】

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ホタルイカ
春菊
しめじ

を炒めるだけ。

最近はまっている「醤油こうじ炒め」で。

醤油こうじ単品だと固くてうまくなじまない。
みりん、酒を加えてのばしてから使う。

コクと深みが出るので、なんでも美味しくなる。

手順は簡単。

にんにくをこっそり忍ばせて、
しめじを炒める。

ホタルイカと春菊を入れさっと炒める。

最後に醤油こうじたれをざっとからめる。

できた。


春の食材「ホタルイカ」に
まさかの冬のお野菜「春菊」のコラボ。

なんか
国際結婚しちゃいました
みたいな気分。


そしてできあがった料理を食べる。

内心ドキドキしながら・・・



「あれ、おいしい・・・」


あれだけ嫌がっていた香り。

でも自然と感じた。

「春菊の香りとはこんなに美味しかったの?」


春菊との長年の確執から
ついに解き放たれた瞬間。


もともと春菊の香りには、
胃の働きを活発にする作用が。

ストレスをやわらげ、
肝の働きも助けてくれるありがたいお野菜。


体に必要なものは美味しく感じる。

昔は必要なかったものが
今は必要になっているのかもしれない。



山菜なども
「大人になると食べられるようになる」
というけれど

春菊もまたしかり。



大分遅くなりましたが、
私 オトナになりました。


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そして母。

昨日は母の日。

今は持病持ちの母には会いに行けないので
LINEでメッセージ。


*


こんなご時世ですのでお顔を見に行けないのですが
本日は母の日です。

日頃の感謝をお伝えいたします。


数々の病気を抱えながらも、
長年がんばってこられました。

優しくて、
人のことを優先するようなお姿に
いつも感謝しています。

おかげさまで孫もおばあちゃんが
大好きな子どもになりました。


私はまだあなたのように無償の愛というところまで
たどり着いていないのですが、
少しずつでも母として学んでいきたいと思います。


どうしても周りのことばかり優先されるところは
あるでしょうが、ご自分の人生です。
たくさん楽しんでください。


落ち着きましたらまた旅行にも行きましょう。
それまではお体に気を付けてお過ごしください。


それではまた。

*


あと何回感謝の気持ちを伝えられるかな。



綺麗道(きれいどう)

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