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うたおう、奏でよう、きみの音を聴かせて ①

みなさん、こんにちは。
むらせあやです。みんなからはあやめと呼ばれています。

東京・千葉で中南米の楽曲を中心に、しずかな情熱に満ちたあいのうたをうたっています。こんなかんじです。(所要時間:約2分)

noteでは、自分の創造性を信頼するためにわたしが辿った過程を記していこうと思っています。音楽にまつわる圧倒的ななにかを持たざると知りつつも、素直に自分と向き合い日々表現を育むなかで見つけたゆたかさの記録。

遡ること2年前の2018年。マンハッタン・トランスファーのメンバーであるシェリル・ベンディーンが来日した。その折、日本のジャスシンガー向けに公開レッスンが行われるとのことで、聴講する機会があったの。

この公開レッスンは、受講生が1曲選び、なぜこの曲を選んだのか、自分の人生とどんな接点があるのか、などのストーリーを語った上でパフォーマンスを披露する、というスタイルのものだった。

実際にうたった受講生のなかで、個人的に胸を打たれたのがヴォーカリストの土屋絢子(ツチヤアヤコ)さんのうたごえだった。

オーガニックで心地いい声!

土屋絢子(ツチヤアヤコ)
岐阜県瑞浪市出身。幼少よりピアノ・合唱で音楽に触れ、地元高校の音楽科を卒業。国立音楽大学音楽学部声楽学科で声楽を学んだのち、ジャズボーカリストへの思いを胸に、ジャズの先生について学ぶことに。

2009年5月より首都圏を中心にライブ活動を開始。ジャズ、ポップス、クラシックと、ジャンルレスな活動は魅力のひとつ。不安定で不確かな人間という存在が、それでも挑みつづける完璧さを、うたに通じて表現している。

曲のタイトルはもはや忘れたけど(だいたい音楽聴くときはいつもそうだ)、彼女の自己開示がいちばん心のやわらかな部分を露わにしていたと感じたし、曲と声とがぴったり一体化していた。

うたうとき喉がちょっと苦しそうだったけど、扱っていたテーマが彼女にとってとても大切なものだったので、からだが反応したのだろうなと感じた。

ご本人は技術的なクオリティを気にしたかもしれない。何せオーディエンスの大半がプロとして活躍しているシンガーだったし。でもわたしは、ともすれば厳しいジャッジメントの場になりかねないあの空間で、

技術的なコントロールを手放して、自分の気持ちを素直に表現した彼女のうた声にただただ感じ入った。

すごくうれしかった。

そのときお声かけしてフェイスブックでつながったものの、結局ライブにも行かずに……2020年まで月日は走馬灯のように過ぎ去ってしまいます。出たw おれの超マイペース。

そして時はコロナ自粛期間の4月。

いちばんみんなが精神的にセンシティブな状況だった時期。星野源さんが「うちで踊ろう」を発表してくれた頃ね。

ある日、絢子さんが弾き語りの曲を動画でシェアしてくれたの。
タイトルは「奏で」。

**はじめは一人で抱えていたんだ
「ここで篭っているのも、悪くはない」
ほんとは不安で叫びたいけれど
大切な人だって同じはずなの

そのうち誰かが声をかけてきて
窓を開けた遠くで拍手送るよ
寂しさもここに居ていいから
君の 音を聴かせて

歌おう 奏でよう
春の陽を浴びて
祈ろう この胸を暖めてあげてね
もう一度僕らは出会えるはずだよ
来年の桜を一緒に見よう

ハートがとてもじんわりして。静かな気持ちで彼女の響きに身を委ねた。
何回も何回も繰り返し聴いた。

いつか誰かと、また歌えますように。
そしてあなたの歌が、音が
私は聴きたいって願いを込めて
曲を作りました。

メッセージにはこう寄せられていて、そしてピアノ伴奏の動画まで用意されていた。絢子さんはネット越しの見えない誰かを、あるいは大切な音楽仲間を思って、手紙を入れた瓶を大海に放る気分でおそらく投稿したのだろう。

振り返るとなんとも勝手な想像だ。わたしはこの時期、すこし気持ちが沈んでいたので、もしかすると感傷的な発想しか持てなかっただけかもしれないけれど、なんだか小瓶のお手紙を拾い上げたような気持ちがしたのだった。

それから、ときどき思い出したようにyoutubeを開いては「奏で」を口ずさんでいた。誰かに聴かせるためでもなく。うたうとね、ふっと気づいていなかった、そこはかとない不安を自分の内側に見つけたりして。

そのたびに自分にやさしくしよう、って思えたんだよ。

時を同じくして、わたしはボイストレーニングをオンラインで受けていたのだが「オンラインだとどうしても細かな部分は感じづらいから、今回は日本語で何かうたってみる? 」と大好きなトレーナーのマイさんに提案された。

あ、それだったら「奏で」をうたってみたいと思ったの。

マイさんはさ、曲と唄い手の関係をものすごく繊細に感じ取る、謎な超能力があってね。この曲をうたってるときに、

「この胸を暖めてあげてね」って、ほんとうに彩ちゃんの胸を、じぶんの声で暖めてみて。

みたいなことを言って、わたしをだいたい毎回泣かせるんだよね。うたうことは同時に深い癒しになる。ということをいつもいつも経験させてくれる。そしてこの経験がわたしの音楽表現の礎となっている。

すこし長くなりそうだから続きます。

絢子さんの「奏で」聴いてね♡
話はそれからだ。
らぶ。

土屋絢子
◆オフィシャルサイト
https://fleetinghappiness18.wixsite.com/ayako-tsuchiya
◆フェイスブック
https://www.facebook.com/ayako.tsuchiya.vo
Live music by Pf:佐藤まさみ B:土谷周平 D:公手徹太郎


読んでくださって嬉しいです。 ありがとー❤️