見出し画像

江戸前握り@成田空港・朝8時 フランスの週刊フードニュース 2022.09.14

今週のひとこと

日本での3週間の滞在はあっという間でした。久々のエールフランス航空を利用して、羽田ではなく、成田の発着です。羽田ですと確かに交通は便利なのですが、成田には馴染みのレストランがある。パリへ戻る前に、日本に後ろ髪を引かれながら、トンカツか鮨をつまみ、飛行機に乗り込むことを習慣にしていました。ということで、今回は久々の成田が楽しみに。ところが、パリへ戻る便は9時30発だったので、さすがに食べてからは乗れないかと諦めていましたが、便の出発時刻が10時になったという朗報。また、私たちのような客らを気遣ってか、狙ってか、鮨屋だけは、朝8時からオープン。オープンと同時に、待っていましたとばかり、お客が店内に入り、私も着席。今回も日本滞在を無事に終えて、ほっと一息ついて、自分を労うとともに、パリでの生活を鼓舞していただけるひと時をいただきました。

9月頭の日曜日にパリへ到着。新学期の波に飲み込まれて始まった月曜日。その夜に、世界中のレストランのランキング1000店をアルゴリズムによって決定するという「La Liste」のイベントがあって、プレス発表から伺いました。今回初めて、世界60カ国の700以上のパティスリーをリストとして紹介するという案内があり、ピエール・エルメ氏も登壇して、ガストロノミー界におけるパティスリーの重要性が高まっていることを強調(パティスリーのランキングはしませんが)。新しいアプリには、200カ国において、周辺のレストランやパティスリーを紹介するという機能を搭載しています。

アラン・デュカス・グループ傘下の海鮮レストラン「RECH」も入居しているパリ7区の「ラテン・アメリカ美術館」が会場でした。美しい緑溢れる庭があって、パティシエさんたちが試食のために自作を披露するスタンドも立ち並びました。デュカス氏をはじめ、フランスの主要なシェフたちも招聘されており、久々の再会を果たした同業者やシェフたちへの挨拶に時間も忘れ、もうそろそろ早めに退散しようと思いきや、気づいたのは、なんと携帯を所持していないこと。一度盗まれかかったことはありましたが、紛失という失態は初めて。翌日に、電話はさっそく止めて、警察には遺失物届をしつつ、などなど、慌てたものの、結局、なくした場所である美術館で届けがあったそう。美術館側で、iPhoneのチャージをしてくれていたおかげで、居場所を突き止めることができ、一件落着だったのですが、このたった24時間の間に、めったにない体験ができて、その場で手を差し伸べてくださった方々への感謝の気持ち、および、自身の身のふりを反省する時間もいただいたと思っています。

しかしながら「La Liste」のアプリケーションも携帯というツールがあってこそ。エールフランスの搭乗のときも、無人のスタンドが幅を広げていましたし、常にオンラインでないと、不便な世の中であることを、携帯を紛失したことでさらに痛感しました。と同時にオンラインだけに任せられないのは、生の人間の感覚や感性、それに愛だと思います。

文武両道。知識だけの蓄積ではなく、体で知る、学ぶ、体験するという、生身の経験を主眼にして、今期はまいりたいと思います。自分に恥ずかしくない時を、一つでも築いていくために。


今週のトピックスは今週のひとことの後に掲載しています。夏休み明け、皆様いかがお過ごしですか? 掲載ペースを少しずつ取り戻してまいります。政治から現場まで、フランスの食に関わる人々の動向から、近未来を眺めることができると、常に感じています。食を通した次の時代を考える方々へ、毎週フランスの食事情に触れることのできるトピックスを選んで掲載しています。どうぞご参考にされてください。今週のトピックス【A】「パリで最も美しいテラス」コンクール。【B】「シャングリラ・ホテル」に就任した新進気鋭バーテンダー。【C】もとブロガーで、パリのミシュラン2つ星シェフが2軒目オープン。【D】2023年ミシュランガイド開催地はアルザス。

ここから先は

2,556字
食関係者にとどまらない多くの方々の豊かな発想の源となるような、最新の食ニュースをフランスから抜粋してお届けします。

フランスを中心にした旬でコアな食関連のニュースを、週刊でお届けします。有名シェフやホテル・レストラン・食品業界、流行のフードスタイル、フラ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?