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色を

 今年の2月くらいに初めて国立のcorenona(コレノナ)に行った。
偶然入った店内の雰囲気に『全て大好きだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』とわたしの全細胞たちが叫んだ。こんな雰囲気、フランスにでも行かないと感じられないと思っていた。

3月はcorenonaに行きたくて国立に行った。
店主の女性はシャカシャカとカウンターで爪を研いでいた。『こういうところも、海外っぽくて良いなあ』と思いつつ、いちげんさんの身のわたしは、緊張しながら絵を眺めていた。シャカシャカ音は止まらなく、結構力強かった。見ると爪磨きではなく、古い絵の汚れをヤスリで落としていたのだった。

ちょっとほっとし、店主の有里さんに話しかけると、いつまでも話したくなる方だった。若くチャーミングな女性が古い日本画を有名無名問わず自分の好みでセレクトし、ひとりでお店をやっている。店内のリフォームも自分とお仲間の方とでやったことを聞いた。

90年くらい前に描かれた板絵を購入した。
チューリップの絵は、はじめのひとつは一生懸命描いて、あとのは段々と適当に描いている感じがして、自分みたいな性格の人が描いたんだなあと思う。思ったより花が多くて飽きてしまったのか、時間が足りなくなったのか気持ちがわかる。
お店にいると、自分の内側に深い広がりを感じた。

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3回目に行った時に、絵を習いたいことを有里さんに相談するとまずは好きな画材を買って描いてみたらどうですかと言ってくれた。

世界堂で初めてゆっくりと画材を見ると、色のグラデーションを見ているだけでまた細胞たちが興奮してきた。名前のわからない色と色の間のような色が桐の箱に入る物凄く高価な画材を購入してしまった。
初心者なのに、また形から入ってしまったと思ったけれど、箱を開け色を見ているだけで幸福なきもちになる。
箱はロフトに置き、手頃な絵具で息子と一緒に絵を描いた。息子は絵具を直に紙にしぼりだし、迷いがない。そして黒を使ったり、おおっと思う。

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ロフトの壁はリフォーム会社に頼むのは辞め、ヤマザクラという色のペンキをオンラインで購入し塗った。本物の山桜を見たことがないことに気づく。来年出られる世界に戻っていたら見てみたい。

corenonaのサイトやショップカードのイラストを描いている小野さんの絵や文章には共通する時間の流れがあって惹かれ、更新を待ちわびている自分がいる。

二人の女性に感じる逞しさに勝手に励まされ、久しぶりにnoteを書こうと思った。


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