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11万人の人間と18頭の馬

私は賭け事をしないタイプだ。
好き嫌いと言うよりは性に合わない気がする。

昨年日本ダービーに行くきっかけがあり、そんな自分が競馬の世界に魅了されてしまった。
以来年に一回、この日だけは賭け事をする日と決めている。

魅力の一つとして、瞬間的熱狂を味わうことができることを挙げておかなければならない。
サッカーは90分楽しめるが、日本ダービーの観戦時間は2分〜3分だ。
その短い時間を生で見たいと、11万人の人間が東京競馬場に集結する。
さらにこれは賭け事。馬や騎手を応援するのは普通のスポーツ観戦と同じだが、その結果がお財布にも響いてくるとなればなおさら熱が入る。
そういった入り組んだ人間らしいドロドロしたエネルギーが2〜3分に集結し、放出される。
これ以上のエネルギーを感じられる場所はそうないはずだ。

さらに競馬からはジャイアントキリングのにおいがプンプンするものである。
オッズと呼ばれる数字で、事前に出馬する馬の注目具合がわかる仕組みとなっている。
オッズの数が小さければ小さいほど注目馬であるが、当選した際は購入額×オッズ倍が配当金となるため、うまみは少ない。
とても面白い仕組みだ。

昨年に続き今年も、大番狂わせが生じた。
18頭中注目度12番目だった馬が、なんと優勝してしまったのである。
馬も騎手もそれはそれは爽快であっただろう。
全ての下馬評を否定してしまったのである。

合わせてこれは賭けている人間にも言える。
一般的には注目度の高い馬に賭けるのが失敗したくない人間の心理だ。
そこをあえて、リスクを冒し12番目の馬を選んだのである。
会場のほとんどの人ががっかりした表情をしていた中で嬉しさを爆発させ、宇宙旅行にでも出かけたくなったに違いない。

私は当選し、億万長者になった。
なぜなら私はジャイアントキラーなのだ。

というブログにするつもりだったが、長いものに巻かれ守りに入ってしまったため、その夢は叶わなかった。

なぜ私がそんな目にあったのか。
賭け事は私の性に合わないのである。

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