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経営者のための海釣りセミナー

なんだこのタイトルは。
まるで釣りバカ日誌のスーさんと濱ちゃんではないか。

GWあたりから、約20年ぶりの海釣りが再燃した。
先日も3時間ほど行ってきたのだが、小さなアッジが2匹ほど釣れ、
ビーーーールの良いつまみになった。

なんとなく釣りというものは経営戦略と通ずるものがある。

まずは場所選びである。
これは商圏をどのように設定するかという問題だ。
十分な資金が調達できれば、日本中どこでも行ける。
そして船を購入し、最新の魚群探知機を付け、
その道のプロなどを釣れて非常に豪勢な船出ができるであろう。
しかし、そんなリソースに恵まれた企業はほとんどない。
大抵は知恵を絞って工夫しながら試行錯誤をしていくのである。

次に釣具の選定に移る。
これはどのようなターゲットを想定するかという問題だ。
竿やリールといったアイテムにより、
投げ釣りなのか、サビキ釣りなのか、穴釣りなのかスタイルがきまり、
スタイルによって釣れる魚種が変わってくるのだ。
もう一点、私が重要だと思っているのは針の大きさだ。
針の大きさ=魚の口の最大サイズなので、小物狙いなのか、大物狙いなのかが
ここで確定される。

潮の流れも読んでおこう。
これは業界動向や株価の変動に似たものだ。
基本的に潮は満ち引きするが、潮が動くときに魚も動くと言われている。
普段は見ることもないであろう潮見表もこの時だけはお供ダッチである。

情報収拾も非常に重要だ。
現代はITの時代なので、いつでもどこでもリッチな情報にアクセスできる。
しかしネットの情報のみに鵜呑みにされてはいけない。
現地に出向き、競合他社であるライバルのバケツの中を入念にリサーチするのだ。
現地のその場の空気というものがある。
机上の情報だけではどうにもならないこともあるのだ。

それだけ万全の準備をしたとしても、海というものは奥深い。
何もないような港であっても、海底というものは変化に富んでいるものだ。
地形の変化が見られる部分には魚も多い。
実際に海に行くとわかるが、見えるのはただの水面である。
海底の様子は想像するしかない。
今までの経験や勘を駆使して戦っていかないといけないわけである。

周りの釣り人は間違いなく競合他社であるが、
時に情報交換をする必要も出てくる。
特に地元のおじさんは、そのパジャマみたいな風貌に似合わず、
この港の形状を知り尽くしている大変な有識者である。
こう行った有識者の意見を無下にしてはいけない。
ポリシーを持って釣りに挑む姿勢は大切だが、
その業界(釣り場)には独自の特徴があるってもんである。

見事にアッジを釣り上げ、勝利のビッシュを味わうには、
たくさんの選択が必要であり、
今まで培ってきた経験と勘が必要であり、
時に有識者の門を叩くことも必要なのだ。

そして経営同様、釣りには忍耐力が必要である。
全く動かないウキをずっと見つめ、少し動いたと思ったら風だったとか、
本当に小さな変化に一喜一憂し、
あれが悪いからこうしてみようとPDCAを回していく。
忍耐力が足りずにPDCAのスピードが速すぎてもダメだ。
前述の通り、海は絶えず変化しているので、変えない方が良いことだってある。

そんなことを考えながら岸壁に立っていた私は、
間違いなく変態的そしてセンクス的な唯一のフィッシャーであったのである。

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