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縁の下の力もちんぬ

私は音楽評論家ではない。
楽器もやらない。
しかし音楽を聴くことはとても好きなのである。

Apple Musicなるサブスクリプションがリリースされた時、
これは鬼に金棒だとその喜びに下半身も金棒になったものだ。
好きな時に、好きなだけ、好きな音楽を聴くことができるのだ。

音楽を語る時に欠かせないのはアーティストそして楽曲である。
ある年のグラミー賞を見ていた時、衝撃のアーティストに出会ってしまった。
そのおばちゃん、失礼。
そのアーティスト「Alababa Shakes」である。

これはロックだろうか?ブルースなのだろうか?
細かいことはよくわからないのだが、
とんでもなくカッコいいおばちゃんがあわられたものだと昇天した。

パフォーマンスもパワフルだ。
声・顔面・動き、どれを取っても超一流なのだ。
歌っているというよりはメッセージを伝えているようにも見える。

しかしそれよりもこれよりも
お気づきだろうか。
私が一番気になってしまったのはその「録音」なのである。

良いスピーカーなどで聞かなくても、
音の生々しさが容易に伝わってくる。

ジャパネットたかたで言えば、
ほら、見てください!
ふっくらしていて、1粒1粒のお米が立ってるでしょう!
どうですかみなさん!
みたいな感じなのである。

にしても、録音次第でこんなに音が違うものなのであろうか。
昔ならまだしも、現代の技術は凄まじいものだ。
みんな同じように真似すれば、世界中の音楽がより素敵になるだろう。

実は昔も同じようなことを思ったことがあった。
宇多田ヒカルが日本デビューし、
7回目のベルで受話器を取った君について歌った時だ。
CDの音源は他のジェイポップとは明らかに違っていた。
その当時は、アメリカは日本の2倍電圧があるからだと教えられた。
宇多田ヒカルはミュージックステイッションに出る際も、
自前のマイクを使っていた。
SHURE性のマイクだったと思う。
その後はNHKの紅白歌合戦も同じマイクを
使うようになったと記憶している。

それだけ録音というものは大事なのだとわかるストーリーだ。

話をAlababa Shakesに戻す。
調べてみるとこの音源はショーン・エヴェレットと名乗る人物が
エンジニアとミキシングを手がけている。

Sound&Colorは彼の代表作となり、現在では一躍有名人となり、
たくさんのアーティストの録音に携わっている。

彼がこの作品で意識したのは、ヒップホップだったという。
電子音で構成されるヒップホップに比べると、
生音で構成するロックバンドのサウンドはどうしても貧弱になる。
音圧という点で圧倒的に不利になってしまい、
現在の音楽の主流派ヒップホップ的な、電子音楽にある。

彼は可能な限りヒップホップと同じレベルの音を
バンドサウンドで実現することをコンセプトにし
このような楽曲が出来上がった。
結果は大成功。グラミー賞まで獲得した。

アーティスト自身の魅力や楽曲の良さは当然大切なことだ。
録音というものはその良さをどのように引き立ててあげるかという点で
とても大事な役割だということを学んだ。
影の下の力もちんぬなのである。

その技術が鋭利に尖りきった時、
私みたいな音楽トーシローが聞いても明確にわかりやすい音となって、
感動や昇天を与えてくれる。

つまりそれはアババアバラマなのである。


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