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大物との対話

ミスターセンクスは過去最大級の魚をゲッチュしてしまった。
その名もショゴ。
カンパチの子供である。

密になり得ないほど広い
いつもの防波堤で竿を出す。

竿といえばミートスティックであるが
センクスのミートスティックでは
10センチほどしか沖に出ないことは自覚しているので
そこは釣り用の竿に役割を譲ったのである。

小さなサバやアジがポツポツと釣れ始め
今夜はフライに麦酒だぜー
なんて妄想していたその刹那
釣竿がビクンビクンと昇天したのである。
その際にセンクスのミートスティックも
ビクンビクンしたことはいうても言うまでもない。

体感したことがないビクンビクンに動揺しながらも
何とかかんとか釣り上げたショコタンである。

近くにいた釣りキチ三平的な男の子に
こいつは誰だ!
どうやって食えばいいんだ!
と訊問を繰り返した結果
ショゴという魚でうまいと
三瓶のおばあちゃんらしき人が教えてくれた。

なるほど
この大物を食らってやろうと決断し
釣りキチ三平君に締めてもらう。

その場でエラ付近にナイフを突き立て
血抜きをすることで鮮度を保つことができる。
釣りキチ三平君はマーダーと化し
その血抜きを見ていると
吸血鬼なのではないかとも思えてくる。

Google先生に聞くと
ショゴは刺身で食うのが絶品だと。

釣った魚を刺身にするなんてことは
魚屋さんか居酒屋の大将がすることだと思いつつも
ITツールを駆使することで情報を仕入れながら
なんとかかんとか捌き切ったのである。

魚を触ってはスマホを触り
また魚を触ってはスマホを触り
繰り返したことでスマホが生魚臭になったことも
これまたいうても言うまでもない。

色々なバージンを奪われながら食卓に並んだ
ショゴの刺身は悶絶するほど旨かった。

スーパーなどで気軽に購入できる刺身だが
自らで調達し・運び・調理してみると
そのありがたみが伝わってくる。

時には原点にもどり
色々と苦労し
そのありがたみを知ることも大事だと
そう思ったロストバージンセンクスであった。


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