【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】PBLは実社会と教科の学びをつなげる体験になる
PBL(Project-based-learningもしくはPloblem-based-learning)
については、過去にも書いたことがあったのですが・・・
→例えばこちら
https://note.com/axfactory/n/n0f1a58fe509f
昨年からPBLのカリキュラム構築の研修を開催していて、
企業人・社会人の知識とスキルを活かせる学びなんだなと
あらためて、その機能の見直しをしようとしています。
新学習指導要領の中でも
「社会・世界と学びのつながりを実感しながら」
といったような文言がよく見られるのですが、
ここだけは、学校の先生だけでは実現できない、
先生と企業人・社会人が「一緒につくる」必要があって、
そこにPBLという手法が有効なのかな・・・と。
今回はPBLという手法の特徴・効果について、
あらためて考えてみたいと思います。
●企業活動そのものを体験できる
これまでも言われていた「特徴」です。
PBLのよくある形としては、
企業からもらった課題(テーマ)に取り組むものや、
地域の特徴を活かした商品開発、
学校や地域のPR活動など。
新事業開発、新商品開発、広報PRなどは、
すべて企業の中で実際に行われている活動。
(ベースにはマーケティングの知識とスキルがあります。)
そのプロセスの中では、学校外のいろいろな人と
関わるシーンも出てきます。
こうした活動をそのまま体験することができるため、
働くこと・職業の疑似体験になったり、
職業理解につながったり・・・という、
学校を軸にしてできるキャリア教育にもなります。
●探究学習の「枠組み」を身につけることができる
特に高校では「総合的な探究の時間」になるため、
「探究って何するの?」「PBLと何が違う?」という疑問も
聞かれるようになりました。
すごく大雑把に整理するとしたら・・・
・探究:自ら課題を見出し、解決のための試行錯誤を繰り返す
・PBL:与えられた課題に対し、解決のために試行錯誤を繰り返す
という整理ができるかなと思います。
PBLは企業活動そのものの体験である、と考えると、
特に新事業・新商品開発は、探究学習にとても近いものがあります。
そのため、PBLは、自ら課題を設定する探究学習の「前提」として、
「情報収集を行い」「整理・分析し」「解決のアイデアを考え(仮説構築)」
「実現可能性を検討する(仮説検証)」といった、
探究活動の「枠組み」を身につけることができるのではないでしょうか。
PBLから探究への段階的なカリキュラムを組むことも
効果的かもしれません。
●発表を自己満足にしない仕掛けづくりができる
学習活動の最後には「プレゼンテーション」を
なんとなく組み込んでしまうのですが、
特に実際に企業が関わるようなPBLは、
「調べた結果、こんなことがわかりました」
という学習発表では意味がありません。
商品開発であれば、その商品のお客様は誰か、
買ってもらえるようにするためには何を伝えるのか、
企業がクライアントだとすればどうやって説得するのか、
・・・といったような「相手目線でのコミュニケーション」が必要。
プレゼンテーションのやり方や目的も、全く違ってきます。
発表の場を、自分の言いたいことを言う場にするのではなく、
他者からの評価、学校外の企業や地域からの評価、
消費者目線での評価、など、
いろいろな人に関わってもらうことで、
「相手目線で発表する」に視点を切り替えることができるはずです。
(もちろん、そこには、関わる大人の覚悟も必要。
「高校生なのにすごいね」なんてコメントは要らないですからね。)
そしてこうした学びを実現していくには、
企業人・社会人にとっては当たり前かもしれない
マーケティング的な知識やスキルが
そのまま授業になったりするのです。
ここをうまくつないでいくのも、
キャリア教育コーディネーターの仕事なのだと思っています。
松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。
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https://note.mu/axfactory/m/m4a777303bd10
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