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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】 あらたな大学入試とキャリア教育はつながっている

先週末は大学入学共通テストでしたね。
3年めとなる、センター試験に変わる新しいテスト。
自分が受験した当時と比較すると、
出題傾向が大きく変わったなぁと思います。

ということで今回は、新しい大学入試の改革の背景と、
キャリア教育との関係について考えてみたいと思います。

●あらたな大学入試は知識の活用を問うている●

新しい大学入学共通テストは、
知識・技能を問うだけでなく、
思考力・判断力が問われる問題が出題されています。
複数の文章や会話を組み合わせたり、
グラフ・資料の読み取りが多いのは、そのためです。
さらに、科目によっては、
実社会に密着した身近かな題材を扱うものも
増えてきています。
これは、
単に知識そのものの習得・暗記だけでなく、
知識がどのように社会・世界とつながっているのか、
「使える知識」として活用できるかが問われている、
ということです。
問われているのは、知識・技能だけでなく、
「どう学ぶか」=学び方も含まれてきているのです。

●キャリア教育は「仕事」だけじゃない●

一方で、キャリア教育。
以前の記事でも書いたのですが、
そもそもキャリア教育とは
「仕事」「働く」だけが学びの対象ではありません。
自分の人生を自らの力で切り拓いていくために
必要なスキルや態度を身につけるのがキャリア教育。
そのプロセスには「学ぶ」という要素が不可欠です。
人生を切り拓くために何を学ぶのか、
それはなぜなのか自分自身と向き合うこと、
これが基礎的・汎用的能力の「自己理解・自己管理能力」ですし、
「なぜ学ぶのか」と向き合ううプロセスでは、
自分自身がどのように社会と関わり参画するのかを模索する
「人間関係形成・社会形成能力」が関わってきます。
予測不可能な未来の中で人生を歩むためには
「課題対応能力」が必要ですし、
これらを統合しながら自分の人生を描くのが
「キャリアプランニング能力」。
自分の未来を考えながら「学ぶこと」と向き合う機会となるのが
まさに大学入試などの進路を考える時期になります。

●キーワードは「探究」●

この、大学入試とキャリア教育を具体的につなぐのが
高校であらたに設置された「総合的な探究の時間」。
共通テストでも素材として取り上げらているような
SDGsなど身近な社会の課題を題材としながら、
自ら課題を設定し、解決のための情報収集や企画を行い、
自分なりの答えを導き出していく学習です。
これが大学入試とキャリア教育の接点になるというのは、
次のような学びのプロセスがあるからだと考えています。

・課題設定においては、
 自身の問題意識や興味関心と向き合うことが必要になる。
・課題解決においては
 さまざまな知識が必要であり、
 学校の学びと社会のつながりが見えてくる。

探究型学習のプロセスには
キャリア教育も包摂されており、
「なぜ大学なのか」「そこで何を学ぶのか」
という学ぶ意義も含まれてきます。

本来、大学は「研究する機関」であると考えると、
研究するに足る知識・スキル・意欲を問うのが大学入試。
もはや知識の暗記だけでは太刀打ちできない、
というのが、新しい大学入試なのだと思います。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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