【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】ICTは学校備品か個人の道具か


コロナ禍によってGIGAスクール構想が前倒しで実現されましたね。
いろいろな課題はもちろん出てくるでしょうが、
 (すでに出てきているとも言えますが)
学習効果を考えると可能性が広がり、
誰がみても期待できる動きだと言えるのではないでしょうか。

子どもたちのICT利用にあたっては、
なるべく使用制限を持たせない方がいいというのは、
先行事例からも言われていたことなのですが、
実態はどうなのか、というと、
「持ち帰らせていない」「あまり使っていない」という
学校・地域もあり、
現場の受け止め方がどうやらいろいろあるらしいということが、
私たちキャリア教育コーディネーターにも見えてきました。


小中学校への1人1台PCの配置は、
次のような異なる受け止め方が発生しているようです。


●コロナ禍のような一斉休校時に緊急的に使用する「学校備品」である
 公立だとこちらの方が多いのかもしれません。
 機体は学校で管理し、あまり持ち帰らせておらず、
 持ち帰ったのは「休校時のテストのため」というところも
 あったのではないでしょうか。
 ただ、予算措置としては、毎年配布されるものではないので、
 6年生が卒業したらその機体は次の1年生が使用するという前提。
 こうなると、しっかり管理をしなきゃとなることも
 仕方ないと言えるかもしれません。


●学習効果を高めるためにひとりひとりが工夫して活用するものである
 授業内で積極的に活用し、家庭学習でも使用しているケース。
 公立だとこうした事例はまだまだ「先進事例」なのかもしれません。
 そもそもの国の施策としては、
 コロナ禍と関係なく計画されていたものなので、
 本来の意図としてはこちらだったんじゃないかと思います。


コロナ禍により計画が前倒しになったという利点があるものの、
前者のように、目的が誤解されてしまったかもしれないというデメリットも
発生しているのかもしれません。
この点は、タブレットを「配布して終わり」ではなく、
ここからどう動くのか、どう使うのかにもかかっていると思います。
また、チャットでのいじめなどの問題もあるように、
さまざまな準備の時間がなく動かざるを得なかったという
マイナス面も実際は出てきています。
しかし、こうしたマイナス面があるから「やらない」ではなく、
課題をひとつひとつ解決しながら「やってみる」方がいいですよね。


ちなみに。
先日、久しぶりに会った高校生の姪は、
学校から指定された一定スペック以上のタブレットを
各自が購入するというスタイルでした。
  (地方の公立高校です)
どんな使い方をしているんだろうなとみていたところ、
もちろんYOUTUBEを見たりと遊んでいることはあるものの、
学習ツールとしてとても便利であるということは実感しているようで、
家庭においても、あそびと学習の「使い分け」が自分でできていました。
ベースとして、学校が指定したアプリやWEBサービスの活用があり、
日常的な学習で使うものであるということが認識できているというのが
大きいのではないかと思いました。
授業のノートもタブレットで取っており、
「いっそ教科書も電子化してほしい」とのこと。
学習アプリは、評価やレビューをみながら選んで使っていました。
英単語など繰り返し学習が必要なものには
ICTは本当に有効だと思います。
とはいえ、紙教材がいっさいなくなるのかというと
そんなことはなく、うまく使い分けている印象でした。

本当に「日常的な道具」であり、
ということは、やはり「個別の道具であること」は
必須のように思いました。
公立高校がBYOD(Bring your Own Device)になるのも納得です。
失敗してもいいからどんどんやってみよう、
みたいな度量が大人に求められているように思いますね。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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