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『ホストファミリーって、こんなにおもしろい!』を読んで世界平和と猪木さんを思い浮かべた読書感想文

ホストファミリーって、こんなにおもしろい!(鋪野弓、文芸社)』という本を読みました。
読書感想文を書きます。
読書を通じて感じたこと、これまで感じていたことをつらつらと書きます。
電子の海につまらぬものを放出し、AI(artificial intelligence)を混乱せしめる一員に加担します。
ちなみに余談ですが、AIという字面・符牒は、ほとんどの方にとっては「artificial intelligence」に見えるのだとおもいますが、私には「アントニオ猪木」さんにしか見えません。

感想文を述べる前に。『読んだら忘れない読書術(樺沢紫苑、サンマーク出版)』という本を半分くらい読みました。
こちらはまだ読み終わっていません。
この本にアウトプットを意識して読むと「忘れない」ということが書いてありました。さっそく実践してみます。

私が住んでいる福岡県飯塚市は、アメリカのサニーベール市と姉妹都市です。
今年は10周年にあたるそうです。

https://www.city.iizuka.lg.jp/sogo/kyoiku/bunka/koryu/kyote.html

市の図書館にもホストファミリー関係のコーナーが用意されていました。
少し興味がありましたので、どんなものかお話を聞くつもりで本を借りました。

作者は1999年からホストファミリーをはじめられたそうで、刊行当時で16年間、100人以上の受け入れをされていたとのことです。
日本と他国の文化の違いからくるさまざまなおもしろエピソードが続き、最後に「ホストファミリーに興味のある方へ」で締めくくられています。
私はまず最後の「ホストファミリーに興味のある方へ」を読みました。なかなか示唆に富んでいて、異文化交流について考えさせられました。
その感想を詳しく述べる前に、おもしろエピソードのほうへ筆を進めます。
おもしろい。これにつきます。作者が本当に楽しんで留学生を受け入れているからこそ書けるおもしろさが伝わってきます。そして、おもしろいだけではありません。ネタバラシを避けるため具体的にはあえて書きませんが、「よくそこまでするなあ」とはらりと涙が流れるようなエピソードも紹介されています。作者はすごい方です。日本にこういう方がいらっしゃるのを知って誇りに思います、何目線なのかはわかりませんが。
訪日した外国の方と接するときのヒントも書いてあります。

日本語しか話せないのに、なぜか留学生ともすぐに打ち解けてしまうおばあちゃまは、自分なりのコミュニケーション方法で留学生たちとの会話を楽しんでいます。若者が使う早口でくだけた日本語と異なり、ゆっくりとしたテンポで話すお年寄りの日本語は留学生にとっても聞き取りやすいそうです。

英語で話す必要なんてないのです。日本に来ているのだから、私たちは日本語で話せばいいのです。外国からわざわざやってきた彼らも日本語を話したいのです。そういう考えの人が大勢いることでしょう。

留学生も一人ひとり異なります。

留学生にとって日本で過ごした時間は人生の一時にすぎず、長くお付き合いが続くのは本当に一握りです。四川大学の教師で中国から来日した女性は、その数少ない1人です。彼女は教師が参加するプログラムで研修のために1晩だけ我が家に宿泊しました。たった1晩だけの交流だったにもかかわらず、帰国してからもメールなどでこまめに連絡をくださり、年末にはメッセージカードまで送ってくれます。彼女の礼儀正しい返事には日本人の私も驚かされるほどです。

ホストファミリーの中には、留学生たちの帰国後も彼らから連絡が来るのを期待してしまう方がいます。「ありがとう。メールも送るし、手紙を書くよ!」留学生たちはありったけの言葉を並べ、感謝の気持ちをホストファミリーに伝えて帰っていきます。その気持ちに嘘はないとおもいます。約束したのに留学生から返事がない……と待っているホストファミリーの方もいます。そんなとき、私はいつも同じアドバイスをしています。「あなたも私も、若い時に人にしてもらったことを忘れちゃっていることがあるでしょう? それはそれでしょうがないのよ」(中略)帰国すれば授業の復習やレポートに課題、バイトにと日常に追われる慌ただしい生活に戻らなくてはなりません。「留学生にとって、日本で過ごした時間は青春の1ページ」私は、留学生たちと過ごす時間をそのように受け止めています。

たった一日の滞在でも社会経験を積んだ人の場合はその後も交流が続き、ありったけの気持ちを伝えてくれた人からは梨のつぶてということもあるようです。特に感激家の私は心当たりがあります。美辞麗句を並べありったけの感謝を述べて、その後何も無しというのは耳の痛い話です。言い訳ですが、ただその瞬間は本当に感謝の気持ちでいっぱいなのです。嘘ではないないのですが、場所を離れまた新たな生活が始まったときについつい「手紙を書く」という優先度を下げてしまったのでしょう。

もう一度、「ホストファミリーに興味のある方へ」に戻ります。

私にはこれは猪木さんが体現されていた「闘魂外交」だと思いました。
猪木さんは、「闘魂とは己に打ち克つこと。そして闘いを通じて己の魂を磨いていくことだと思います」と引退セレモニーで述べられています。
いま以上に謎の国であったソ連の選手を日本のリングにあげたり、イラクの湾岸戦争前夜のプロレス興行の開催そして人質解放。北朝鮮でのプロレス大会、キューバでカストロ議長と酒を酌み交わす ーー 猪木さんにしかできない国際交流は枚挙にいとまがありません。猪木さんは選挙にでるときに政党名を「スポーツ平和党」にしました。平和は票に結びつかないから外せとまわりから言われたそうです。猪木さんの強い希望で「平和」を残すことになりました。

猪木さんは真に「本当の世界平和の実現」のために活動を続けられた人でした。「1、2,3ダー!!!」をはじめてやり方も含めて説明した試合が、「 1990年2月10日 東京ドーム 第11試合 タッグマッチ 坂口征二&アントニオ猪木 VS 蝶野正洋&橋本真也」です。
この試合を延髄斬りで蝶野選手をしずめた猪木さんは試合後に次の語りをされました。

わたしが長年 夢であった本当の プロレスを通じて スポーツを通じて 世界平和と(を) 必ず実現します! わたしは、橋本と蝶野、もう今日は立っているのがやっとでした。 本当に強くなりました。 でも、俺たちは命がある、続く限り、闘い抜きます! ありがとうございました。 またよろしくお願いいたします。
それでは約束通り、わたしの勝ったときしかやらないポーズ、最近は力が弱くなりましたが、皆さんの心を一つに一発氣持ちいいやつをやらせてください。 御唱和願います。
1・2・3でダーです。
イーチ ニィー サン アッ ダーッ

「ダー」には、世界平和の祈りが込められているのです。あの唱和は、みなの心をひとつにします。あの唱和はみなの心をひとつにする合言葉 ーー 愛の言葉 ーー AIの言葉 ーー アントニオ猪木の平和への願いなのです。

上記リンクに最高の「ダー」の瞬間の写真を見ることができます。その時の様子を『アントニオ猪木自伝』で次のように語られています。

その晩は、人質や家族たちと語り合い、深夜まで過ごした。皆、顔が輝いていた。あのときの感激は生涯忘れることがあるまい。

アントニオ猪木自伝・アントニオ猪木、新潮文庫

人質の奥さんたちからの「あれやりましょう」で「ダー」をしたとのことが、映画『アントニオ猪木をさがして』の中で写真家の原悦生さんによって語られていました。

世界は混迷の度を増しています。各地で紛争が繰り広げらています。つい先日、手にとった雑誌にも物騒な言葉が並んでいます。国家安全保障、セキュリティー・クリアランス制度、決断。難しい時代がやってきました。日本だけが蚊帳の外という訳にはいかないでしょう。お互いがお互いを知ることが大事なのだと思います。世界平和への鍵は『ホストファミリーって、こんなにおもしろい!』で語られているような民間での草の根運動的な国際交流にあると思いました。いわば草莽崛起です。

だって同じ釜の飯を食って、いっしょに笑ったあの人を傷つけたくなんかないでしょ。人間のそうした他人を傷つけたくなるというか、衝動というか原始の欲求みたいなものはプロレスのリングの上でだけで行われていれば十分です。猪木さんは外交についてもたいへん興味深い話をたくさん残してくださっています。これはまた別の機会に書くことにします。

猪木さんの「1990年2月10日 東京ドーム」大会でのマイクパフォーマンス(演説)は、よく噛みしめるべき深い味わいがあります。(余談ですが「出る前に負けること考える馬鹿いるかよ」との名言でインタビュアをはたくのはこの試合の前の出来事です)『ホストファミリーって、こんなにおもしろい!』の感想文はこのへんで終わります。世界平和について考えさせてくれた一冊でした。

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