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AWAZUKU HOUSE 物語  (住む人募集中!)

家族と暮らす住居はとても大切なものです。賃貸住宅を選ぶ際、賃料、間取りや広さ、駅からの距離といった情報はもちろん大事ですが、それだけで決めてしまっていいのでしょうか。その土地の歴史や環境、それを造ったオーナーや建築家がどういう人たちで、どんな想いを抱き、そして住まいとして形にしていったのかを知ることも、実は重要だったりするのではないでしょうか。

このnoteは、新しい住まいを探す人に、不動産情報サイトやチラシなどには出てこない、オーナーと建築家のそうした想いまでも出来るだけ具体的に伝え、それに共感していただけるきっかけをつくるための試みです。愛知県の片隅の小さな4棟の家ですが、建物としての特徴にとどまらず、オーナーや建築家の想いも一緒にお伝えしたいと思います。

4棟の家の名は「AWAZUKU HOUSE」。

AWAZUKU HOUSEの物語にようこそ。

1)はじめに

AWAZUKU HOUSEの物語の始まりは、2017年夏にさかのぼります。自分が生まれ育った実家の土地に賃貸住宅を建てたいと考えたオーナーは、複数の住宅メーカーに相談しましたが、そこで勧められた標準化された家にまったく魅力を感じられませんでした。敷地を最大限に有効活用し、採算性が最重要という考えに違和感を覚えたからです。

建てるなら自分が住みたいと思えるような家にしたい。そう考えて、栗原さんという建築家に相談したところから、このプロジェクトは具体的に動き出します。そのあたりの経緯については追ってお伝えするとして、まずは、この家の特徴について。


2)立地

■周囲の環境
AWAZUKU HOUSEは、日本の中央部にある愛知県の、そのまた真ん中のあたりの山と海とが隣接する地域にあります。


愛知県は西側の尾張地方と東側の三河地方に大きく分かれ、さらに三河地方は西三河と東三河に分かれます。西三河の中心は徳川家康が生まれた岡崎市、東三河の中心は豊橋市です。ただ近年は、自動車産業の発展により、西三河の豊田市や刈谷市が成長しています。AWAZUKU HOUSEのある幸田町の人口は約4.2万人。自動車関連企業への通勤者も増えており、人口はこの10年間で13%も増加しています。「全国市町村 強い街ランキング 2019年版」(東洋経済新報社調べ)で全国16位となっており、豊かな町といえます。

AWAZUKU HOUSEから車で10分程度にある三河湾は、知多半島と渥美半島に挟まれた静かな内海(国定公園に指定されています)。南側を海に面し温暖なこのあたりは、かつては漁港や風光明媚な温泉地がたくさんありましたが、近年はマリンリゾートとして開発が進んでいます。2001年まで世界的ヨットレース「アメリカズカップ」に挑戦する日本チームの練習基地が置かれ、今でもヨットレースが盛んです。

海岸沿いには、歴史ある蒲郡クラシックホテルや複合型リゾートのラグーナテンボス、中高一貫でリーダーを育てる海陽学園などもあります。

AWAZUKU HOUSEは、かつてお城があった(櫓下、裏門、苅谷門といった地名が残る)里山と、蛇行する川とお寺に挟まれた自然が豊かな場所にあります(下の画像は隣接するオーナー両親宅の2階から里山を臨む風景です)。

里山

この周辺には縄文時代からの遺跡が多数あり、また小高い山や丘の上にはいくつもの古墳があります。古くから人間が居住しやすい環境だったのでしょう。


■交通アクセス
AWAZUKU HOUSEは、三河湾に近い西三河と東三河の境目の交通の要衝にあります。主要道路(国道248号線と県道383号線)の交差地点にも近いので、自動車の移動に便利です。名古屋市中心部まで、自動車(高速利用)で約55分程度です。

最寄駅は徒歩13分のJR東海道本線三ヶ根駅。そこから、下りでは刈谷駅まで24分、名古屋駅まで49分、新大阪駅まで1時間42分。上りでは豊橋駅まで21分、東京駅まで1時間52分で行くことができます。


3)設計

■敷地全体(配置と外構)
・総敷地面積:830平米(273坪)/1棟あたり平均敷地面積:208平米(63坪)下は敷地全体の配置図。上左、上右、下左、下右の棟をそれぞれF1棟〜F4棟と呼びます。

敷地

当初住宅メーカーからは、二階建ての建物を5棟建てることを勧められましたが、あえて平屋を4棟としました。

4棟が接する中央部には、敷地内路地と芝生と樹木が植えられた小さな緑地があります。路地は中央部が深くなるように掘りこまれています。雨天時は庇からの雨水がこの路地に落ちて、路地が水路の役割を果たすことになり、中央部から排水されるようになっています。路地の東側の突端部は井戸に接しています。路地や緑地周辺には、ベンチが設置されています。

路地とベンチ

以下の立体模型で敷地全体をイメージしてみてください。各棟の屋根は片流れで、それぞれ異なる方向に傾斜しているため、8枚の屋根でリズムを刻むようです。

配置図


■建物デザイン
・1棟あたり床面積:63.75平米(+ロフト11.7平米)
各棟は、2つの箱がずれて連結するいわゆる雁行型となっています。雁行型にすることで外壁の面積が広くなり、そのため窓も大きく取ることができます。

画像5

小さい箱は屋根も低くなっており、その箱にはキッチン、浴室、トイレが収まっています。大きい箱には玄関、リビング、寝室が収まっており、寝室の上にはロフトがあります。ロフトの上の屋根が最も高く、全棟ロフトの窓から南西側の里山を望むことができます。


■室内
4棟は日照や接道の違いから、少しずつ配置は異なりますが、基本的には同じ間取りになっています(以下はF1棟平面図)。

F1平面図

以降は代表として、F1棟の室内を説明します。

画像7

玄関扉を開けると、L字型になった広いリビングがあります。正面の壁の内側は寝室で、その上は梯子で上がるロフトです(下のCGは、L字の角からの視界)。

リビング

下はキッチン奥からリビング側を見たところです(実際の設備とは異なります)。

キッチッン

さらに理解しやすいように、建物の中を移動するCG動画を作成しましたのでご覧ください。(制作:studio velocity一級建築士事務所)

4)こだわりのポイント

ここまででAWAZUKU HOUSEの概要をご説明しました。以降はやや細かいですが、オーナーや建築家が特にこだわった点について紹介していきます。

■人にやさしい平屋
平屋はどこにいても家族の気配を感じやすく、動線も水平移動だけで段差もないので安心です。お掃除ロボットで全部カバーできますし、お掃除も楽です。

また重たい二階がないため、構造が安定し地震や台風にも強い。高さの制限を受けにくいため、天井を高くとることもできます。その割に外から見ても威圧感は少なく周囲の景観に溶け込みやすいのです。

4棟すべてが平屋なので、空が大きく見えます。その利点を活かすためにも、電線やケーブルが敷地内の上空を通らないように、すべて地下に埋めました。

■開口部を広くとり、より開放的に
景観を楽しめ、光や風をできるだけ取り込めるように、開口部を出来るだけ多くとりました。窓は全て透明な二重サッシです。普通、玄関は内側が外から見えないように別素材にするのですが、あえて透明ガラスにしました。その横の大きな掃き出し窓と合わせて、とても開放的な家になりました。(戸建住宅の外壁に占める窓の割合は平均25%程度ですが、AWAZUKU HOUSEは45%)留守時などの玄関の目隠し用に、出入りに邪魔にならないタイプのカーテンを造り付けました。それ以外の窓のカーテンはお好みで(建築家の推奨あり)。

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■部材や塗装もできるだけ天然素材に
建設資材には塩ビシートなどの化学系素材はできるだけ使用せず、木材を最大限に使用、しかも予算の許す限り無垢材にこだわりました。

無垢材の魅力は、自然な木目や風合いの美しさ、自ら水分を吸収・放出する調湿性、木そのものの香りの良さです。無垢材の中でも杉は、柔らかくて温かみがあるのが特徴です。

・床(フローリング):杉無垢材
・柱:杉無垢材
・梁:米松無垢材
・天井板:ひの化粧構造用板
・外壁:杉無垢羽目板
・内壁:ファルカタ合板
・屋根:ガルバリウム鋼板

なお、表面に出る外壁や柱、梁などの木材(内壁は除く)には塗装を施します。傷や汚れ防止と着色のためです。着色といっても派手に色をつけるのではなく、木材だからこそ生じる色の癖やばらつきを調和させるためです。その際も化学系の塗料は使わず、植物性ワックスからできた自然塗料のオスモカラーを使用しています。

調和が目的ですから微妙な色合いが求められます。最も調和するように、使用部分によって微妙に色の配合を変えています。適当な色合いが出るまで、色の組み合わせを変え、何度も実験を繰り返しました。

床の塗料としては、一般的なフローリングに使われる化学系のウレタン塗料の方が傷への対策という点では強力で、塗り替えの必要性もありません。しかし、健康的な生活という観点からあえて自然塗料を選びました。傷対策のため、フローリングについては一年に一回程度、ワックスがけをお願いしたいと思います。

住民みんなのための井戸
昔使っていた井戸があり、水質検査もパスしたので復活させました。いつ起きてもおかしくない自然災害時に、水を絶やすことのない自前の井戸があることは安心です。普段から住民の皆さんに使っていただき、「井戸端会議」ができたら楽しいと思います。

■隣接する畑(菜園)を開放
西側の道路を挟んだ向かいにオーナーの両親の畑があります。今は主にオーナーの母が自家用の野菜を作っていますが、希望者には一画を無料でお貸しすることも可能です。母は農業のプロではありませんが、少しはアドバイスをもらえるかもしれません。

■古材で製作したベンチ
4棟の敷地は、オーナーの実家の離れの古屋があった場所です。直前まで建っていた古屋を解体した時に際、残しておいた梁や柱でベンチを製作しました。各棟の壁に1〜2基を据え付け、敷地中央部の緑地に5基を設置。屋外での一服、住民同士の交流などに使っていただけるとうれしいです。

■雨樋はつけない
4棟で8枚の片流れの屋根がありますが、軒に雨樋はできるだけつけないことにしました。樋が詰まると掃除が大変です。雨樋がない方が屋根がすっきりと見えます。

もちろん雨水対策は必要です。敷地内路地兼水路に面した5枚の屋根ではそこに雨水を落とし、面してない2枚の屋根(下図の上側2赤線)の軒下地面にネトロンパイプを埋め、そこから雨水を排水溝に流し込みます。パイプの上は砂利敷に。よくお寺の軒下に敷かれたたくさんの小石を見かけますが、それと同じです。なお、1枚の屋根だけ、軒下(下図の青線)が駐車場にかかりパイプが敷けないので樋をつけました。

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軒から流れ落ちる雨を、部屋の中から眺めるのも風情があると思います。

■キッチン設備はシンプルかつ機能的に
キッチンの使い方はそれこそ千差万別なので、決定するまで多くの方に意見を求めました。そして決める基準は、シンプルさと機能性、そして健康・安全としました。

キッチン図面

当初は、一般的な流し台と扉のついた吊戸棚の組み合わせのつもりでしたが、吊戸棚は奥まで手が届かないことが多いのでやめ、代わりに流し台の上方に扉のない棚板を付け、その下に水切りを兼ねたステンレス見切り棚板を取り付けました。収納場所は多くはないので、コンロの上方にはフライパンなどを掛けることのできるバーを付けました。

グリルをつけるかどうかも迷いました。最近はグリルを使わない家庭も増えていると聞きますが、できるだけ素材から調理する健康的な生活ができるよう、あえてグリルはつけることにしました。また、コンロの熱源は電気ではなくガスに。電気は自然災害時などで停電して使えなくなる可能性もあるからです。都市ガスも大地震の際は使えなくなるリスクがありますが、当地は幸いプロパンガスなのでガスの方が比較的リスクが低いと考えました。

■棟ごとにカスタマイズした洗濯物干し
たかが洗濯物干し。ですが相当考え抜きました。小さな庭もあるので、そこに物干し台を置けばいいと思うかもしれません。最近は乾燥機だけで物干しを使用しない家庭もあります。各家庭が思い思いの場所で洗濯物を干すと、あまり見栄えのいいものではありません。そこで、使用しないとき・使用しない人は簡単に取り外せる、隠せる物干しを各棟に造り付けにしました。

ただし、棟ごとに日当たりや道路(公道)との位置関係、建物の形状などが変わるため、物干しを設置する場所や設置の仕方はそれぞれ異なります。

設置方法は3通り。1)シンプルなロープ方式、2)物干し竿を通す折りたたみ式の器具を壁に設置する壁付け方式、3)軒の両端に設置された2つのソケットにそれぞれポールを差し込んで、ポールの最下部にある輪に竿を通す軒天ポール方式です。

各棟ごとにこの3つの中から最適な方式を選びました。設置場所、設置方法はそのために作成した図面でご紹介します。

・F1棟:ロープ方式&壁付け方式
日当たりの点では庭が最適な場所ですが、天井が高すぎて軒天ポール方式は使用不可。そこで、壁付け方式としましたが、長さが1.8mしか取れません。ロープ方式も併用することにしました。

物干し1

・F2棟:軒天ポール方式&ロープ方式
こちらも庭が最適な場所ですが、やはり天井が高すぎ軒天ポールは使用できず、さらに壁付け方式も構造上不可。やむをえず、別の場所で軒天ポール方式(2.8m)を採用。ただ、せっかく日当たりのいい庭があるので、庭にロープ方式も併用することにしました。

物干し2

・F3棟:軒天ポール方式
日当たりのいい南西側に軒天ポール方式(2.8m)が設置できました。

物干し3

・F4棟:軒天ポール方式
やはり日当たりのいい南東側に軒天ポール方式(2.8m)が設置できました。

物干し4


5)AWAZUKU HOUSEができるまで

■オーナーの想い
オーナーは東京在住で、愛知県の実家には両親が健在です。実家の敷地のうち、約70坪に両親が住む二階建ての家がありますが、残りのスペースは古い平屋が隅に建つだけであとは更地でした。夏になると雑草が生い茂って手入れも大変。今後この敷地をどうしていくかが課題でした。

そこで2017年の夏、ここに賃貸住宅を建てることにしました。当初は住宅メーカーの提案も受けましたが、それに満足できず、自力で進めることにしたのです。

検討するにあたって、オーナーは以下のようなことを実現したいと考えました。

①コミュニティが自然発生するような場
地震や台風などの自然災害時に、最も頼りになるのはご近所同士の助け合い。これからますます大切になるでしょう。そこで、プライバシー最優先の都会マンション型ではなく、つながり重視で一体感を持った住宅を開発したいと考えました。

建物の外観だけでなく暮らしぶりも調和していること、そして住民同士の交流が自然発生するような場になるようにとの思いがあります。

②自然を取り込む
自然がまだ残っている土地なので、厚い壁などで覆って自然に対抗するのではなく、日光や風などを室内に取り込んで、自然を感じられるようにしたいと思いました。

また、建物自体も自然素材を基本とし、室内にいながらも自然に囲まれているような実感がある建物を目指しました。

③のびのびとゆったり過ごせるスケール感
周囲に主張し過ぎず、環境に溶け込めみやすい建物。のびのびしてゆったりできるようなスケール感を大事にしたいと思いました。

④土地の歴史を残す
この土地はオーナーにとって、子供時代を過ごした大切な場所です。今回、姿は大幅に変わりますが、所々、何らかの形で記憶の断片を残したいと思いました。

■建築家との出会い
オーナはそんな想いを実現してくれるような建築家を探しました。地元在住の建築家が望ましいのですが、あいにく知り合いはいません。そんな頃、書店でたまたま建築専門誌「新建築」2017年8月号(集合住宅特集)が目に入りました。その中に、実家からそう遠くないところの建築事務所の作品が掲載されていました。それが、studio velocity一級建築事務所(代表:栗原健太郎)でした。

■建築家が感じ、考えたこと (一問一答)
建築家の役割は、オーナーの想いを実現させるべく、様々な制約の元で設計・監理を担当することです。ほぼ2年半に及ぶこの建設プロジェクトの過程で、どのようにオーナーの想いを受けとめ、形にしていったのか、建築家自身の想いなどを質問してみました。

Q 初めて建設予定地に来たとき、どのような印象を抱きましたか?
A 市街地から少し離れた、お寺や田畑、カーブする小道や小川、生垣が印象的な、自然豊かな落ち着いた場所でした。自然豊かな地域なので、(建物や区分だけを貸すよりも)、土地付きで「環境を貸す」のが合っているのではないかと思いました。

Q 施主の要望がいろいろ出たと思いますが、どのように解釈しましたか?
A 一般的にはアパートやマンションの建設に向かうだろうところ、豊かな地域性を反映したゆとりのある暮らしがつくりたいとのことで、場所の立地・伝統文化・地域性などを複合的に考えていらっしゃったのがすぐに感じ取れました。おそらく、生まれ育った土地に対する敬意と改変とが、併存した思いだったのではないかと思います。ここでしか実現できない生活にしたい、それは地域と繋がることの先にしかないだろうと思いました。

Q 設計する上で、こだわった点は?
A
周りの環境で特にいいなと思ったのが、「きれいな裏山」「カーブする小道や小川」「生垣がつくる道の風景」「敷地に残っていた古井戸」などでした。それらをどのように敷地内の生活の豊かさに結び付けられるか、を考えていました。

全ての棟がロフト階を持っており、そのフロアの窓からは裏山が見えるようにしています。そのために、敷地内の棟同士がロフト階の視線を邪魔し合わないように、棟の高さや位置や屋根方向が決まっています。

古井戸の使用水やそれぞれの屋根の雨水は、敷地内を張り廻る「水路」によって排水されます。近くを流れる小川と古井戸の地下水を関連付けたかったのです。古井戸は有事の際、断水時の応急水でもあります。

敷地を囲っていた生垣は撤去後に隣の畑に移植してあり、最後に敷地内のそれぞれの場所に再移植されます。生垣は動線を促し、各棟のプライバシー確保に役立てています。

Q どのように住んでもらいたいですか?
A
住まわれるそれぞれの家庭ごとの違った物語がありますので、思い思いに過ごしていただきたいです。古材利用のベンチや古井戸をぜひ使ってください!

各家庭が固有のスペースを持ちながらも、敷地内を共有して相互扶助的に暮らしていけたらすばらしいと思っています。

Q 20年後のAWAZUKU HOUSEは、どのようになっていると妄想しますか?
A 夫婦で住んだ家庭に新たな家族が誕生して、中学生になっているころ。AWAZUKU HOUSEを原風景として巣立っていくころ。

Q 建築家の立場で、AWAZUKU HOUSEを一言で表現するとしたら?
A 自然にいろいろな人の人生の下地になっていく、「空気や土のような存在」になっていたらすばらしいです。

栗原健太郎 (studio velocity一級建築士事務所)
石上純也建築設計事務所を経て、2006年当事務所を設立。
名古屋市立大学 芸術工学部建築都市デザイン学科 非常勤講師(2016年~)
第29回すまいる愛知住宅賞 愛知県知事賞・愛知県森林協会長賞
第25回愛知まちなみ建築賞 受賞
2 0 1 6 JIA(日本建築家協会) 新人賞
日本建築学会 作品選集 新人賞
日本本建築家協会 東海住宅建築賞 優秀賞


6)おわりに

このプロジェクトは、2017年11月にオーナーが栗原さんにメールを送った時から始まりました。工事の着工は2019年5月半ば。敷地の境界の確定、土地の分筆、古屋の解体、金融機関や役所との交渉など、当初は想像もしなかった作業が発生し、次々に問題解決を迫られました。

施工をお願いしたのは名古屋の誠和建設。工事着工後は設計・監理を担当するstudio velocity、誠和建設、そしてオーナーの三者が頻繁にコミュニケーションをとりながら進めていきました。オーナーも多い時で月2回ほど、東京から日帰りで現場での打合せに参加しました。大変ではありましたが、当初の想いが次第に形になって現れるさまを見るのは楽しい体験でした。

これまではオーナーや建築家の想いを実現するための家でしたが、完成した後は、そこに住んでくださる方々が主役となる「住まい」となります。借りてくださる住人の方々同士、またそこにオーナーや近くに住む家族も加わって、新しい物語が描ければと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


7)お知らせ

◆AWAZUKU HOUSEが完成するまでのプロセスを、さらに詳しく知りたい方は、オーナーによるnote連載「建築家とつくる実家の貸家プロジェクト」(2018年8月連載開始、現在も継続中)をお読み下さい。Making videoならぬMaking blogです。

◆「物件ファン」さんが掲載してくださいました。写真満載なので、是非こちらもご覧ください。

8月1日(土)に、オープンハウスを開催することになりました。是非、おいでください。

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       Awazuku house開発チーム














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