お告げ ティッシュ| ショートショート
その青年は何事も自分で決めることがひどく苦手だった。
ある日、隣国との争いに村から数名の若者を兵に出さなければならなくなった。若衆の集いでは、ある者は名を揚げたいと志願し、またある者は村に留まる意志を示したが、青年だけは、みなの発言をただ眺めるばかり。最後の最後まで口を開かぬまま、とうとう出兵することが決まってしまった。これを聞くと父は呆れ返り、母と祖母は嘆いた。
青年には、自らしたいことが見当たらないのだった。
戦場へむかう途中も青年は、分かれ道で左右どちらに進もうか