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人生を豊かにする学びのテーマの選び方

以前、コーチングを学び始めて以降、深めてきたことを学びの地図として公開していた。

一見あちこちに散らばるように見える学びがどのような位置関係にあるか、自分はどんな道をあゆんできて、どんな方向に向かおうとしているか、当時約7年分の学びを整理してとても役立ったので自分の取り組みをこんなふうに見つめる視点もあるよ」ということを共有したいと思った。

ありがたいことにそれを見てわたしのあゆみに関心を持ってくださった方もいて、整理と公開をして良かったなと思っているのだが、数年前に公開を辞めた。(どこかのnoteの記事に公開しているかもしれないが、どの記事だったか忘れてしまった)

その後の学びと実践を経て地図が変化していることも大きいが、コーチが学びホッピングを続ける状況が過剰になってしまっているのではないかと感じるところがあるからだ。

あたらしい学びを続けることは大切だ。
国際コーチング連盟の定めるコア・コンピテンシーでもプロのコーチとして自己研鑽を続けることが奨励されているし、他の心理職や専門職などでも同様だろう。

何より、「職業人として」を超えて、学び続けることは人生を豊かにしてくれると感じる。

ここで言う「豊かな人生」とは、

自分自身の内にある花開こうとする可能性に水をやり、心の奥深くが満たされるような感覚に気づきながら生きること

を指す。

一方で、「学び続けなきゃ」という焦りや「周りが学んでいるから」という外的なモチベーションから始める学びは、学びを終えても、「まだまだ足りない」といつまでも満足しないだろう。

「競争を勝ち抜くために学ぶ」
「足りない自分を埋めるために学ぶ」
は、貴重な時間とお金を消費し、自分を消耗させるサイクルに人を招き入れる。

ユングが人間の変容について述べた文章の中にこんな箇所がある。

少し長くなるが、大切なことだと感じるので、省略せずに紹介したい。

拡大は外からの付加によっても、つまり外から新しい生き生きとした内容が流れ込んで、同化されることによっても、起こりうる。このようにして人格の本質的な成長が経験されることもある。このためにわれわれは人格の拡大が外からのみやってくるものと仮定しがちであり、それを根拠として、人格というものは可能なかぎり多くのものを外から取り入れることによって成立するという偏見を持ちがちである。しかしわれわれがこの処方に従って、あらゆる成長が外からのみ来るものと考えれば考えるほど、ますます内面的には乏しくなる。それゆえもし偉大な考えが外からわれわれを掴んだとしたら、むしろわれわれはわれわれの中の何かがその考えを迎えいれ、それに応じたからこそ、その考えがわれわれを掴んだと理解すべきである。豊かであるとは、心が何にでも対応できる状態にあることであって、狩の獲物を溜め込むことではない。外から入ってきたものであれ、内から浮かび上がってきたものであれ、すべて自分のものになるのは、まさしくわれわれが外や内で出会った内容の大きさに見合うだけの内面の広さを持っているときだけである。人格の本来の意味での成長とは、内的源泉から湧き上がってくる拡大を意識化するということである。

C.G.ユング著『個性化とマンダラ』より

自分の内的な感覚に気づくのは、情報の洪水の中にいる現代社会では難しいし、内的な感覚に気づいたとしてもそれを信じるのはもっと難しい。誰かが良いと言っているものを選んだり、誰かにアドバイスをもらって決める方が簡単だ。

しかしそれではいつまで経っても「外からやってくるものを起点とした学び」の中に留まることになるだろう。

学びのテーマそのものに優劣や人生を豊かにする決め手があるわけではない。
重要なのは「どんな風にテーマを選ぶか」なのだ。

では、どんな風に選んだらいいか。

コーチになって以降、毎年3つから5つほど特定のテーマを深める講座に参加することを13年間続けてきてたくさんの反省もある中で実感している「人生を豊かにする学びのテーマの選び方」のポイントを3つ挙げると

①今の自分が直面していること・今までの自分の考えの延長線では解決できないことを起点とする
②すぐに何かの役に立つという期待を手放す
③偶然の出会いや直観を大切にする

ということが浮かぶ。

これまで学んできたテーマとの出会いについてはこれまでいろいろな場所で書いてきし、長くなるのでここでは割愛するが、これらとは逆に

①今の自分にとって切実ではないけれど、周りの人が学んでいるから学んでみようと思ったこと
②すぐに何かに役立てようという期待をしていること
③焦りや欠乏の気持ちから情報を取りにいったこと

は、残念ながら深く向き合って取り組むことができなかったと感じる。

繰り返しになるが、大事なのは「テーマを選ぼうとする自分が自分の中の内なる源泉とつながっているか」だと思う。


今年は大きく2つの学びに取り組んでいるが、そのうち一つは、数ヶ月のあいだに複数のクライアントさんが共通するテーマを体験したことが始まりだった。

そのときの自分として可能な限り誠実にともにいたつもりだが、「もっとできることはあっただろうか」と考え続けた。
今後自分もクライアントさんたちも人生の午後を迎えていくにあたりきっと多く直面するテーマになるだろうと思い深めることにした。

テーマが向こうからやってくる。
自分の人生にも大きく関わっている。
関わる人の後押しにもなる。

それは自分が呼ばれているテーマなのだと思う。

そのテーマは一旦「外から学ぶ」段階は終えて、今は自分がさらに関心がある角度から、他の領域と結びつけたり比較をしながら深めている。自分が深めたいことど真ん中の取り組みは今のところ見つけられていないので、自分で深めるしかないが、これまでの学びや実践、経験の全てを土台にできるテーマだという感覚があり、深めていてとても楽しい。

これについては必要な人に役立ててもらえるよう少しずつ情報の整理と公開をしていきたいが、何よりクライアントさんが必要とするときに、そっと大事なことを心に持って隣にいられる自分でありたいと思う。

もう一つのテーマは、自分の生活を直接大きく揺らがすという形でやってきた。これまでの学びや視点を総動員しても太刀打ちできず、逆に知らないことは教えてもらわないとそんな視点があるということに気づくことさえできないのだと思い知った。

今の環境が学びと実践に最適で、人生の中でどこかに置き忘れてきた大切な荷物を取りに行く感覚があり、同時に、最近やってきていたキーワードとのつながりも感じ、いろいろなタイミングがありすんなり学びを始めることができた。

日々の暮らしの中で試行錯誤をしているが、こちらもやはりとても楽しい。

一つ目のテーマに取り組む大きな後押しになるだろうという感覚もあるが、急がずに、まずは自分でしっかりと取り組んでいったら、自然と溢れ出るものがあるだろうと思う。


結果やその先に手に入るものではなく、学びのプロセスそのものを楽しむことができるというのも、まさに「人生を豊かにする」テーマの特徴かもしれない。

もう一つ、今年学びというか実践を始めたことがあるけれど、それは夏の暑さの中ではおやすみをしていた。奥深くて、いつも取り組むと流星群のように気づきやひらめきが飛び込んでくるが、深すぎて言葉にしきれない。
自分の中では激アツだが、同じ熱さで語れるのはきっと本当に実践している人だけだろうなと思ったりする。涼しくなったら再開できるはずなので、これについても綴っていきたいし、何なら仲間がいたら熱く語り合いたい。


「テーマの選び方」ということで綴ってきたが、選び方と同じくらい、学び方も大事だと感じる。

便宜上一旦「学び方」と書いているが、人によってはこれまでやってきた「学び方」からは180度見直す必要があるかもしれない。

それがどういうことか。
先ほど引用したユングの言葉の中ではこの箇所との関わりが深いのではないかと思う。

外から入ってきたものであれ、内から浮かび上がってきたものであれ、すべて自分のものになるのは、まさしくわれわれが外や内で出会った内容の大きさに見合うだけの内面の広さを持っているときだけである。

C.G.ユング著『個性化とマンダラ』より

学びによって内面の広さは広がる。

ではその手前の、学ぶときの段階ではどのように内面の広さを担保することができるだろうか。

そんなことを次回は綴ってみたい。




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