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【大人のクイーン】マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン謎解き【ラスト・フレーズの意味とは?】

パイの謎について、大人向け考察です。

この記事はお子様が読んでも大丈夫なように配慮しています。

はじめに

以前、マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーンという、クイーンの傑作を12回にわたって和訳しました。


その時に、ラストフレーズが謎を残して終わりました。


今回は、その謎について、ちょっと進展があったのでご報告です。


レディ・ガガ

レディー・ガガさんの曲を懐かしんで聞いているこの頃です。昔の曲もいまだにカッコいい。


レディ・ガガさんの歌には、ポーカーフェイスや、パパラッチなど、意味のわからない単語がたびたび出てきます。

私はガガ語と呼びます。


ポーカーフェイスではマフィン、パパラッチはチェリーパイなど。

チェリチェリ・ブンブンなども初期に何回か出てきました。


ガガ・ファンならもうおなじみの言葉です。

意味は女性の隠語だそうです。


パイには、もともと一般的にそういう意味があるそうです。

特にチェリーには、バージンのような意味があるそうです。


分析開始

これをもって解説をします。

"The March Of The Black Queen"
Written by Freddie Mercury

(the last verse)

Walking true to style
She's vulgar 'buse and vile
Fie-fo the Black Queen tattoos all her pies

She boils and she bakes
and she never dots her "I's"
(She's our leader)

スタイルに忠実に歩く
彼女は下品で残虐で性悪です
ファイ・フォー、黒の女王は自身のすべてのパイに入れ墨をします

彼女は沸騰して焼く
そして彼女は決して彼女の"I"をドットしません
(彼女は私たちの先導者です)


パイが隠語だとすると、最初のパイ(複数形)の意味はよく分かりません。

Fie-fo the Black Queen tattoos all her pies

(ファイ・フォー、彼女は彼女のすべてのパイたちに入れ墨をする)

彼女の駒(家来や民)には、すべて黒く染める、忠誠の証を刻印するという意味だとしました。つまり、彼女の所有物という意味。


続く詩では、

She boils and she bakes
and she never dots her "I's"

入れ墨だけでなく、煮て、焼いて、と調理します。

「そして」、という順接の後に(逆説ではない)、

彼女の「I」に決してドットしない、ときます。


彼女のアイを、「パイ」とする。

最初の「彼女のパイズ」は、彼女の所有する人々のパイであり、

この"I's"は、彼女自身のパイであるとする。

かなりこねくり回した、婉曲な表現ということになる。


入れ墨は、彫るイメージだが、一般的には肌に、針などで穴をあけて、そこにインクを入れること。

つまり、動詞のtattoosとdotsは対応している。

そして最後のdotsは、隠語のパイにかかる。


つまり、パイに穴をあける(neverがついて、「あけない」)とは?

(ちなみにパイをオーブンで焼くときは、ナイフやフォークなどで空気穴をあける)


これが意味をするのは、現女王であるエリザベスⅡ世と同じ名前を持つ、エリザベスⅠ世。

別名、バージン・クイーンと呼ばれる。

別に本当のバージンという意味ではなく、王(キングking)と結婚しなかったということ。

ファイ・フォーのところでも話したが、シェークスピアを庇護した人物でもある(16世紀)。

因みにのちにビクトリア女王に庇護されたのは、「アリス」原作のルイス・キャロル(19世紀)。


つまり、この女王のモデルは、エリザベスⅠ世ではないか。

スペインのフェリペ2世の求婚を拒み、キングを持たずに、自身が統治した。


また、彼女自身も、先代のブラッディー・メアリー(フェリペ2世の妻)ほどではないが、戦いに挑んで国を守った。

血のつながったスコットランド女王のメアリー・スチュアートをxxしたり、血みどろな逸話も多い。

そもそも、出生も血なまぐさいともいえる。

先代の異母兄弟で、ヘンリー8世とアン・ブーリンの子である。しかも死後は、かたきのようにメアリー・スチュアートの子が即位し、スチュアート朝に変わる。

これは日本でいう戦国時代のようなものか。

宗教的にも、先代の時はスペイン系のカトリックを庇護し、異教徒を迫害したのでブラッディーと言われたが、エリザベスの時代にはイギリス国教会を立ち上げ、カトリックやピューリタンを迫害したり、いろいろと大混乱。

きっと人々は、信仰は従うだけだっただろう。

一部の熱心な信者だけが被害を受けているという悲しい歴史が流れている。


レディガガさんも「ブラッディ・メアリー」という古典調の曲を「ボーン・ディス・ウェイ(彼女の代表曲のタイトルと同じ)」のアルバムに入れています。まるでこの曲のような、古典とEDM(electric dance music)の融合です。好きです。


話を元に戻すと、

この曲の女王のイメージはエリザベスⅠ世がモチーフかもしれないこと。

そして、アリスのハート(ハーツ)の女王の姿にも重なる。


そして、アルバムも、デビューアルバムが「クイーン」、そしてこの収録アルバムが2作目の「クイーンⅡ」。

これは、現在の女王を表すかもしれない。


そして、「彼女は我々の指導者」だと、歌詞カードにはないが、最後の最後につぶやかれ、「ラララ~」と栄光を称えるようにフェードアウトしていく。

(次に続くのは、次の曲「ファニー・ハウ・ラブ・イズ」の序曲としている。)


これは、フレディは、移民だが、心は全くのイギリス人であり、彼女こそが、我が国の統治者である、忠誠を誓う、と暗に宣言しているようなものである(彼の宗教には反するかもしれないが)。


それを宣言したと言えば、ただ、自分が自筆するときにアルファベットの"i(アイ)"の点を打つところに点をうたないで丸にしているから、自分がバンドのリーダーだ、もしくは自分は女性(she)である、と暗に示しているという説よりはよさそうだ。

大体、この自筆スタイルも、最後は消えてなくなる。(彼は完璧主義者なので、意味のあることはやり通すと思われる。「Freddie」のサインの「i」には点がしてある)

勿論、「iにドットしない」という、もともとの「完璧にやり通す(neverがついて、気にしないという意味)」、という意味でもない。


本当は「i」の綴りは小文字だが、大文字にしてダブル・クオーテーション(")で囲む意味も何かあると思う。


しかし、さすがに、歴史上の人物とは言え「女王の・・・」とは恐れ多くて言えない。


だから、こねくり回した表現なのかも。


and she never…であって、butじゃないのもカモフラージュかも。


もともと、dotにそう言う意味があるとは、訳詩をするときに調べてどこかで聞いていたが、パイにそういう意味があるというのは、結びつかなかった。


ガガ様に逆に助けられたともいえる。


ガガとの類似性

ガガ様の歌詞が魅力的なのは、クイーン同様、性(または若さ)のエネルギーを表現するところにもあるが、常識をぶち壊すところにも魅力がある。


一般にラブソングだな、相手の女性のことをうたっているんだ、男性のことをうたっているんだ、と思うと、違うというところ。


つまり、それを超えて、自由になることを示す。


勿論、リスナーの思ったように聞けばいい。

子供が聞けばそのように。


しかし、そうじゃない人もいる。

男性に魅力を感じない女性もいるし、その逆も然り。別に色恋沙汰が好きでない人だっている。かなり大人だったり、子供だってそう。


そういう人でも聞ける曲なのだ。


むしろ、言葉に意味はなく、サウンド(もしくは周波数)が好きかが大事なのかもしれない。


因みにJ・K・ローリングさんのハリー・ポッターにも、隠語が存在するという。15年くらい前に世界ふしぎ発見でやっていた気がする。

その、彼女も、もとは原作「アリス」の挿絵のジョン・テニエルがそうだったということだったともやっていたような。当時はよく意味が分からなかったが。

つまり、意外にも子供向けの作品にも入っている。しかも大人でもどこかわからない。


でもこれは、実際よくあること。


フレディはよく、

Can't you see

という詩を使う。

ねぇ、あなたには見えないの?

という意味。


僕の気持ちがわからないの?という張り裂けそうな気持なのか、自分には見える世界があり、他人には見えない、それで自分が人よりかなり儲けられるのかもしれないが。


サンタなどもそうで、大人の暗号のようなものだ。

子供には見えない、大人の世界がある。

絶対音感や、音の感受性、美の感受性なども。

ある人にはわかるが、素人には分からない。


私達が、ジョーズやスーパーマンやスターウォーズ、ETなどを見ても、ジョン・ウィリアムズの作った音楽の先鋭的なクールさにはきづきにくい(特に後世の人間には。真似され尽くしているし)。


ウイルスなどもそうで、医療関係者には見える世界があり、避けることができる。


まとめ

とにかく、私は、この曲は、エリザベスⅠ世と、現女王を結びつける曲であり、古典と現代が融合したサウンド、イギリスの栄光を思い起こさせる素晴らしい曲で、女王のハートをもつかんでしまった曲だと思った。


隠語もクールに滑り込ませるところが洗練されている。

隠語とは、生活の一部、もしくはアイデンティティーともいえる。

シェークスピアなどもあまりちゃんとは読んでないが、同じなのかもしれない。


だから、この言葉をこの曲の最後にしている、と思えば、ちょっと納得がいく。


ガガ様の曲の、フレディとの類似性を調査していくうちに、こんな考えに至ったので報告します。


まるで15世紀ルネサンス時代のボッティチェッリの「春(プリマヴェーラ)」や「ヴィーナスの誕生」のように、上層階級の人しかわからない小ネタがちりばめられているということ。

それでいて、庶民でも、もしくは子供でもその魅力を楽しむことができる。


私達は、そういうものが見られる時代に生まれているので、ぜひ魅力を再開拓していきたい。

特に新鮮なうちに。






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