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他人を見下すことができるほどの人間なのだろうか

バイト先には5人の社員がいる。
そして、私が入る時間帯には他に14人のパート・バイトがいる。
辞めていく人が多いため入れ替わりは激しいけども、大体そのくらいの人数に落ち着いている。
夕方から夜にかけての時間のため、圧倒的に学生が多いバイト先だ。
ちなみに、高校生は採用していないため大学生か専門学生しかいない。

スーパー銭湯のため、清掃業務も男女で分かれている。
そのため男性側を担当している人と雑談をすることが多いのだけど、どうも価値観が合わない人がいる。
大学3年生の、私が個人的に困ったくんと呼んでいる人だ。
困ったくんは男性従業員の中だと一番長く働いている人で、私よりも半年後に入ってきた人。
だから、それなりには会っているし話してきている。

困ったくんは、社員を見下している節がある。
社員がいない場所での発言から分かる。
明言はしないけど、のレベルではない。
明らかに言葉の節々からトゲを感じる。
「こんなところの社員」「落ちこぼれってことでしょ」「ここの社員やってるなんて、自業自得じゃん」「勉強してこなかったからでしょ」みたいな。
社員のことを見下してるんだな、とすごく感じる言葉だ。

困ったくんは都内の私大に通っている。
俗に言う、MARCHのひとつの大学だ。
だから、学力はそれなりにあると思う。
一般入試で頑張って勉強した、みたいな話は聞いたことがあるから。
推薦入試や指定校での進学組を嫌い、ボロクソに言っているのもたまに聞く。
だからこんな価値観をしているんだろうか、と思うことはある。

ちなみに、そんな大学に通っている彼だけども成績は良くない。
良くないどころか、単位を落としまくっている。
1限に遅刻したり出席しなかったり、課題も出さなかったり。
勉強もしないけど、そもそも出席回数が足りなくて単位が取れていないらしい。
必修の授業を2年連続で落としたと聞いたときは呆れてしまった。
「最初から4年で卒業するつもりはない」と言っていたが、この調子だと5年かけても卒業できるかどうか怪しい。

「あわふじさんは単位落とすとかないんですか」と言われて「落としたことないけど」と答えたら、「さすが国立大生、真面目だ」と言われたことがある。
別に、国立大生の全員がそうというわけではない。
出席回数が足りずに単位を落とす人、単位を取れずに留年が決まっている人、そんな人は国立大でも普通にいる。
そんなの個人の問題でしかない。

そんなことを思うから、困ったくんが社員を見下しているのが気になるのかもしれない。
バイト先にいる社員は、転職してきてこの仕事をしている人が多い。
鉄道会社からの転職、教育職からの転職。
そのため、年齢も30後半〜50代の人がほとんどだ。
学生でしかない私よりも、いろんな経験をしてきて今の仕事に落ち着いている人たち。
他の仕事を経験したのに、今の仕事を選んでいるのだ。
どうして、そんな人たちを見下せるのだろう。

別に年長者だから敬うべきとか、そんなことを言うつもりはない。
年長者でも尊敬できない人はいるし、年下の人でも尊敬できる人はいる。
でも、私から見たら社員はみんな尊敬できる人。
学生のバイトでもしっかりと一個人として、対等に接してくれる大人たちだ。
社員とバイトという関係ではありながらも、きちんと話を聞いて雑談にも応じてくれる。
気を遣ってくれる優しい人たちなのも分かる。
経歴とかは何も関係ない。
ただ、人間性が尊敬できるのだ。

どうして、そんな人たちに囲まれているのにそれを感じ取ることができないんだろう、と思う。
何で「学力」とか「経歴」とか、そういうものでしか人を見れないんだろうか。
困ったくんから感じるものはそれだ。

自分を正しいと信じて疑わない傲慢さというか、その言葉が回りまわって自分を刺すことになるかもしれない危うさに気づいていないところとか。
世間的に言われる「いい仕事」に就いていないのを「自己責任」「自業自得」と切り捨てることの意味が分かっているのだろうか。
自分が「いい仕事」に就けなかったときに、その言葉が自分に跳ね返ってくることに気づいているのだろうか。
その考えが、自分が選べる道を自分で狭めて苦しむことになるとは、考えたことはないのだろうか。

余談ではあるものの、困ったくんはバイト先で少し疎まれている人だ。
外面はいいものの裏で文句はかなり言うし、言うだけ言って仕事をしないこともある。
なにより、ずっと一人で何か喋っていて動きがうるさい。
これが割と精神的にやられる。
私も他の人から疎まれている節はありそうだが、彼の行動には少し参っている。
まあ、バイト以外で関わることはないから別にいいのだけど。

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