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彼女じゃないのにプロポーズとかしないでください③おしまい

引野さんが紹介してくれた1DKの部屋で引野さんの居ない新生活が始まりました。

なんと引野さん、オーナーに家賃を数千円値下げ交渉してくれたおかげで少し余裕のあるスタートダッシュを切る事が出来ました。
ありがとう引野さん、お元気で!

やっと本当の一人になれる。
そう思っていましたが、夫はまだ距離感を詰めてきます。
都合のいい時や自分が乗り気の時は夫と会い、それ以外は塩対応。
それを夫は気づいていて、一方的に怒られる事もありましたが、結局好きになった方が負けで、私にはその気持ちや言葉が届きません。

夫の事が好きだった自分は気付いたら消えかけていました。
考え方が面白くて話上手で聞き上手で、私の事を夢中に知りたがってくれて、色んな場所に連れて行ってくれて買ってくれて。
一過性の気持ちだったのかもしれません。
変わった仕事をしていてちょっと有名だから興味を持っただけで、時が経てばその気持ちも薄れてしまっただけの話かもしれません。

そんな事よりその時は仕事や自分の自堕落な生活や見た目に悩む方に囚われて、他人のことや人の気持ちを自分に取り込む事なんて全く考えていませんでした。

それなのに、夜寝ている所を急に家に来てインターホンを押されたり電話されたりすると嫌いの気持ちが沸沸と心を占領されて行きます。

「今知り合いの占い師の人に◯◯ちゃんの事を占って貰ってる。良かったら今から占い師の所に来れない?」

と仕事終わりの帰り道に電話が来たことがありました。
どんな感情から先に言葉にしたら良いのか分からなくて電話を切りました。

気持ち悪い。
面白いけど、笑えるけど、気持ち悪い。
そこまで私の事好きになる理由は何?

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