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青木宣親になるまでに C×S△5回戦

9回表。1点ビハインドで後のないヤクルトは、代打・坂口智隆のセンター前ヒット、同じく代打・荒木貴裕の送りバントで坂口が進塁したあと、上田剛史がセンター前ヒットで1・3塁とする。ここで代打・青木宣親。

打つしかないところで打ち切る強さは、バッターとしての高い技術だけではないだろうと、こんなときいつも思う。百戦錬磨のベテラン選手は、手元までボールが見えているようだ。

青木の同点タイムリー、続く山崎晃大朗のライト前ヒットで1アウト満塁となったところで、4番・村上宗隆を迎える。

打ったのは外角フォーク。ボールはキャッチャー前に落ちた。2-2-3のダブルプレー。逆転のチャンスは潰えた。

NHK BSの解説・和田一浩は、終始バッター心理を丁寧に説明していた。素人の私でも分かりやすかった。

「全く頭になかったボールを思わずスイングしてしまったんでしょうね。悔しそうですけど、こういうのは残るんですよね」

4番を任された以上、4番としての結果を出したい。でも、ここぞという場面で決められなかった。和田一浩が思わず口にしてしまうほど、心底悔しそうな村上の表情を、カメラはずっと映し続けた。
村上は4番という大役につぶれるメンタルでは決してない。村上は、役割を与えて力を発揮できる人だと思う。

ただやはり、プロ3年目の、二十歳なのだ。青木宣親とは違うのだ。

青木宣親が、今の青木宣親になるまでに、積み上げたたくさんの経験がある。むねは今、その経験を積み上げている最中だ。そのことをしっかり胸に刻んで日々野球をすれば、それが経験として積み上げられていく。
今日の悔しさをなかったことにしたとして、この経験を飛び越していきなり青木宣親になることは、できないよ。
ベンチもそれを分かって、村上宗隆という野球選手に合わせた経験をさせている。それが“4番”だというだけのことだ。

勝ちたかったけど、この悔しさも、経験だから。だから、次。わけほ。

R2.7.19 sun.
C 3-3 S
マツダスタジアム

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