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航空機の運航に関する考え方

 まず前提条件として、パイロットの飛行準備は前日までに終了していることが多いのです。勿論、当日にならないと天気や、実際に登場する飛行機の状態等は分かりませんが、それは数学的にいうと変数Xと同じ扱いをすることができます。その意味するところは、飛行機の運航は人々が想定しているよりもはるかに方程式化できるということに他なりません。

 実際、飛行機が飛行する際は否応なく物理の法則に従わざるを得ないことは万人が意見の一致するところです。戦闘機でさえこれを打ち破ることはできないのです。しかしながらこの普遍性のお陰で、基本的な方程式のフレームが決定します。個人的にはマクロスやガンダムのように夢に生きたいところではありますが、地球で飛行する限り残念ながら無理でしょう。

 冗談はさておき、ではパイロットは何をしているのかというところが議題となろうと考えますが、基本的に仕事内容としてはこの変数Xを如何にして想定し、条件付け、対応し、フライトを終えるか、これに尽きるのです。先程方程式化できると記述しましたが、基本的な考えとして飛行機というのは同じレート、同じ諸元で飛行している限り、中の人がベテランであろうが新人であろうが同じパフォーマンスを発揮します(物理法則に従う限り)。というよりもそのように設計されていると言った方が本質的でしょう。となると疑問になるのが如何にしてパイロットの技量、人的価値は推し量られるべきなのか?ですが、ここで先程述べた方程式の中に定義づける変数Xの存在が重要なのだと考えております。

 変数Xとはまた小難しいと感ずる方も多いかとは思いますが、個人的にはこれほどシンプルな表現もないかとは思います。極論をここで述べてしまえば、ベテランは新人と比較して、同じ状況に対して判断する際の根拠となる変数Xの数が多く、更にはそこに付随する経験の多さからくる判断の正確性が高いということに他ならないと定義づけることができるでしょう。これによりパイロットとしての人的価値が判断され、評価されているのではないでしょうか。これはこの記事をお読みくださっている皆様方からすると、それは自明の理であろうと感ずることでしょうが、今暫く稚拙な文章にお付き合いいただければと思います。

 では、私の考え方を披歴したところで飛行機の運航に関わる部分について述べて参りたいと思います。この記事の冒頭部分でパイロットの飛行準備は前日までに終了していることが多いと記述しておりますが、それは前日の時点で先に述べた変数Xを組み込んだ方程式をある程度解き終わっている事を意味します。勿論自身が搭乗する飛行機(例を挙げればB737等)の基本的な諸元は把握しています。これにより基礎的な方程式が組み上がった状態となるわけです。この状態に対して、変数を組み込んでいきます。それは外気温が標準大気よりも高いことによる推力の低下かもしれませんし、雲の影響で想定していた巡航高度よりも高い高度を飛行することによる燃料消費の増減かもしれません。これら諸要素を解き終わった時点での解答が、各種法律に照らし合わせた際に規定値内であれば初めてパイロットはGOサインを出すことができるのです。逆に言えばこの過程を経ずに判断している状態であれば、遅かれ早かれ確実に想定外の事態に遭遇し、対処不能となり、航空事故にいたることでしょう。これが飛行機の運航の9割が事前準備で終わっているという言葉の意味です(8割だったかもしれません…)。実際に飛行機に乗り込み、諸元を設定して飛行し、着陸して部屋に戻るまではあくまで事前の計画をなぞるだけというのが理想的なのです(勿論現実は計画通りにいかないことが多いですが。これは筆者の精進が足りないと反省しております…)。なので一般の方々が思われているであろう、“自由に空を飛ぶ“というのは間違いではないですが、その裏にはこんな背景もあるということを承知していただければなと個人的に思います。

 さて、本題と話がずれましたが飛行機の運航に関する前提条件は以上となります。次からはこの前提条件を踏まえた上で、各セクションごとにどのような判断をしているのかを、私の備忘録(最近忘れやすいのです)も兼ねて記述していこうかと考えております。

 私もまだまだ未熟者ですので、ご意見や批評等あればご自由にコメント欄等にコメントをお願い致します。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。