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揺れる

本当に気に入った1着というのは、色違いで揃えたくなってしまう。

僕はそういうタイプで学生の時から同じ物を色違いで買うことがあった。

カットソーに始まり、シャツ、ボトムス、ニットなど時にはシーズンで色違いを買ったりもしてきた。

ただ、色違いで買うといってもカットソーを除いて基本2色まで。

それ以上は自重してきた。
買っても現実的に着まわすのが難しいという建前のもと。

もちろんそう何色も良い色が出なかったりするので、よっぽど良い色が出ればという部分はあるけど。

しかし今シーズン、僕は初めて同じ物を3色揃えることになる。


ご紹介します。

AURALEE「SUPER LIGHT WOOL SHIRTS」

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2シーズン前にBLACK、昨シーズンはBROWN、そして今シーズンはこのTOP BROWN。

良すぎるんだこの色が。

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2シーズン前に初めてこのシャツと出会った時僕の心はわしづかみにされた。

パターンは至ってシンプル。というかシンプルの極み。

言葉が正しいか分からないけれど、本当に余計なデザインがない。

まずは前身頃から。

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フレンチフロント、シングル胸ポケ。

ボタンは黒蝶貝。


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台襟は前3cm、後3.5cm。

前は普通だけど後は少し低め。その分襟の開きが綺麗で上品な印象。

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続いて後身頃。

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ヨークは至って一般的な大きさ。

どちらかと言えば少し広めでカジュアルよりか。

両肩にタックを入れたサイドタック。

運動量が確保され一番着やすい。


続いて袖。

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袖のタックは一つのみ。

剣ボロはあるけど意外にもガントレットがない。


ここで確信する。このシャツはドレスシャツではない。

ドレスなら最低でも袖のタックは二つはあるだろうし、ガントレットボタンも付けるはず。

その方が袖のボリューム感が抑えられ、スッキリとした印象になるから。


あくまでもカジュアルに着れるようなコンセプトで作っている。


なのに何故。

どうしてここまでドレス映えするのだろうか。

今シーズンのトップ染めの杢糸を用いた奥ゆかしい色味はもちろん素晴らしい。

ただ僕が思うこのシャツの一番の魅力はそこではない。これだけ色が良いと言っておいて何だけど。


「揺れる」


ここに、このシャツ真骨頂がある。

梳毛ビエラのしなやかで、軽く、ふんわりとした風合いが生むドレープ。

動くたびにゆらゆらと揺れ動くその様は、風に揺られふわりと動くレースのごとく、何事にも縛られない優雅さが漂う。

一言で言ってしまえば絵に描いたようなエレガントさがある。

それは見た目だけではなく気持ちの良い肌触りもそう。

纏うとその生地の動きに魅了され、その素材の肌触りに病みつきになる。

精神的にも身体的にも本当に気持ちが良い。

AURALEEが目指す気持ちの良い服をまさしく体現しているシャツですよ、これは。


西川美和の「揺れる」はご存じでしょうか。

映画が有名ですが、映画の補完的位置づけで小説もあります。

この映画のオダギリジョー、男の憧れ。

真木よう子、ただひたすらに綺麗。

渦中の香川照之、流石のサイコパス演技。

中高と勉強そっちのけで小説を読み漁っていた僕はあろうことか先に小説を読んでしまったのですが、人間心理の揺れ動くさま、心の機微の描写が秀逸です。

高校で読んだときはピンときませんでしたが、それなりに年齢を重ねた今だとついつい重ねてしまい、心を揺さぶられたました。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが「劣化し歩くたびに足元が揺れるつり橋」がある意味で舞台になるのですが、それと人間の感情を「水面」に例えた表現がいいんですよね。

橋は一歩でも衝撃を与えると足元の揺れが全身に伝い今にも落ちてしまいそうな、水面は一滴でも雫が落ちると波紋が広がっていき揺ら揺らと表面を揺らす。

それでも左右に、時にはゆっくりと時には激しく揺れるその橋を渡る歩みを止めることは出来ないっていう部分がね、なるほどと思わされたりする作品なので是非。


さてまたしても話が脱線し、あろうことか服の紹介ではなくなりつつありますがこのシャツもそんな風に「揺れる」ということが伝えたいわけです。(無理矢理)

腰、肩、肘、腕、ある一点から生まれた波は各所に伝わり揺らぎを生み、美しく優雅な「揺らぎ」を、そして皆様の心も揺さぶってくれるでしょう。

是非揺られてみてください。

3着目を買った僕が自信を持っておすすめします。

ブレブレですが見てくださいこのドレープ。

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良い。良すぎる。

絵に描いたようなラグジュアリーさがありながら、袖を通すと肩肘張らずリラックスして着れる。

一度着ると病みつきになります。見事にハマって抜け出せないこの沼。

ちなみに合わせたボトムスはAURALEEのフランネルスラックス。限界まで縮絨をかけてありますが同じく揺れます。

こちらも素晴らしいので是非。

明日は実際に着てお待ちしております。


池本

AURALEE / SUPER LIGHT WOOL SHIRTS














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