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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

原題:Once Upon a Time... in Hollywood
監督:クエンティン・タランティーノ
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2019年 161min
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、アル・パチーノ

 テレビスターのリック・ダルトン(ディカプリオ)とスタントダブルのクリス・ブース(ブラッドピット)の衰退と友情の物語、簡単に要約するとこうなる。

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 LAストリートでのロケ撮影現場では「軍事作戦」と表現された街の再現は、場所によっては撮影の直前に事前に準備した偽の建物正面をクレーンで設置している。CGの多様で「何でも叶えます」の魔法世界は見飽きた感があり、その意味では今回の60年代再現は街並み、クラシックカー、服装と細やかな配慮は十分に時代の空気を伝えていた。

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 実用性重視のボックスカーばかりの日本車事情とは違い、60年代に走る車のフォルムの美しさ。物を積み運ぶための車ではなく、走ることが楽しい車がそこにある。

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 声がかからなくては仕事にならない俳優業、悲観的に地位が落ちていくことを心配する冴えない役をディカプリオは演じる。

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 一方、公私共のパートナーながら性格、生活も対極にあるスタントマンのクリス。安定から遠い生活でありながら自由人である姿も含めブラッドピットが演じる。
 ブラッドピットがプライベートの大変さを乗り越えて若さを取り戻したように役柄の所為だけではなく生き生きと見えことが印象的だった。

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 女優シャロンテート(マーゴットロビー)のことをこの作品で知る。その事実を別にして、彼女は最近作品ごとにアイススケーター、女王、と一つの役に縛られず演じ光っている。

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 ポランスキー監督側は、一切了解なしに悲劇が作品に使われたことに抗議をしている。実際、チャールズマンソンの犠牲になったのは身籠っていたシャロンステートだったと聞くと、監督が「もし彼女が生きていたなら」という意図でで描いたとしても身内は無許可であるからこそ一層承服は出来ないのだろう。申し訳ないが、ハリウッドの傲慢さが垣間見える。

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 役者も揃い、その60年代を知らない人にも伝わる「時代の空気」は見事だったが、ラストシーンはいただけない。
 正当防衛であろうとあそこまでの過激さは必要なのか。過剰防衛が「これは映画だから」で許されるようには受け取ることが出来ない。見方を変え、実際のシャロンら4人に起こった惨劇が言葉に絶する事件だったとしても、それを再現する必要性を感じない。
 ★★

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