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「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」

原題:Mary Queen of Scots 
監督:ジョージー・ルーク
製作国:イギリス
製作年・上映時間:2018年 124min
キャスト:シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー 

 2019年春、スコットランド議会でニコラ・スタージョン自治政府首相は、スコットランド独立の是非を問い2度目の住民投票に向けた法整備を進めると説明があった。昔の話ではなく現代の話だ。

 ふたりの女王を描いているが作品としてはスコットランド女王の悲劇が本筋の作品。メアリー・スチュアートを調べるだけでも今後何作品も映画製作が可能など波乱万丈の上、美貌だけで世を渡ったのではない処世術を持ち合わせている。

 城と云われ想像するような煌びやかな世界ではなく採光とキャンドルの灯りの当時を描き、衣装含め作品にまとまりがあった。

 メアリー・スチュアートとエリザベス一世は関係は単に対立する女王図式には収まらない。どちら側から歴史を見るかでもその絵が悲しいかな変わることは度々ある。
 今回は「メアリー側」から描かれる。
 16歳でフランス国王フランソワ2世と結婚し妃となったが2年で夫は急死し、母国スコットランドに戻ることになる。イングランド王位継承権を持つメアリーが故に起こる一連の流れには更に宗教派閥カトリックも絡んでくる。

 主役はメアリーではあるが、女王の苦しみ、悲哀を演じるマーゴット・ロビーに印象を上書きされながら作品を観ることになった。「スーサイド・スクワッド」「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」の彼女と同じだと信じられないほど年齢を超えた役を演じる。

 纏ったガウンの下に自らの人生と真意を託すような色鮮やかなスカーレットのドレスで命乞いもせずメアリーは処刑を迎える。
 *生涯未婚であったエリザベス一世には当然子はなく、エリザベス一世亡き後イングランドの王位を継いだのはメリーの一人息子ジェームズ。現在のイギリス王室はスコットランドの系譜である。
★★★☆

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