見出し画像

「パピヨン」

原題:PAPILLON 
監督:マイケル・ノアー
製作国:アメリカ・セルビア・モンテネグロ・マルタ
製作年・上映時間:2017年 133min
キャスト:チャーリー・ハナム、ラミ・マレック、イヴ・ヒューソン、ローラン・モラー、トミー・フラナガン、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン

 映画「卒業」のように観ていなくてもキャステイングをはじめ凡その話の
筋を知っている映画作品がある。今回作品「パピヨン」も然り。
 1973年パピヨン役をスティーブ・マックイーン、ドガ役をダスティン・ホフマンが演じた作品のリメイク。

 終映間際駆け込み鑑賞になったのは、作品自体への懸念ではない。1973年版を知らない立場であるからこの作品と比較する気もない。只、私自身がこうした人が人を苦しめる類の作品が苦手な為、観たい映画でありながら中々映画館へ行けなかった。

 1931年パリ、金庫破りが生業であったシャリエール(=パピヨン)が無実の罪濡れ衣で終身刑を受ける。1944年遂に脱走に成功するまでの話。

 戦争ではない状態で同国民でありながらも囚人がもはや人権も奪われ家畜以下に扱いを受ける収容所生活は凄惨極まりない。刑務官の「ギアナの処刑場は人間を壊すための刑務所だ」台詞通りが展開する。
 本当に人は環境と立場で如何様にも変容する。

 フランス領ギアナのデビルズ島の位置を確認した。わざわざ本国フランスから此処まで囚人を移動させる自国に害を及ぼすものは国外への植民地時代発想が残る感覚もいただけない。

 断崖から飛び降りるしか自由への扉が開かれない時、もうそこには怯むこころは存在していない。そもそも、永遠に続く生き地獄の方がつらいことなのだろうから迷う選択肢はないのだろう。

 約8万人の人がギアナ領に送られたとある。実話であることが重い。
 チャーリー・ハナム、ラミ・マレック、お二方の演技は可もなく不可もなくというところだが、脱走失敗で渡った先コロンビア海岸風景他セットが妙に低予算さながらの造りに見え残念。
 リメイク作品の場合、前作を踏襲せずとも原作から新たな発想で臨んでもよかったのではないかと考える。S.マックイーンとC.ハナムの独房生活演技の比較は必要ない。焼き直しよりも、獄死者を出す独房生活をどう耐え抜いたのか、更に踏み込んだアンリ・シャリエールが体験させられた世界も観たかった。
★★★

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?