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「悪の法則」

原題:The Counselor
監督:リドリー・スコット
制作国:アメリカ
製作年・上映時間:2013年 118min(*2013年11月15日)
キャスト:マイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピット、ブルーノ・ガンツ

 一回目は映画館で鑑賞済み、今回ネット配信で二回目を観る。以下のレヴューは二度目以降鑑賞者向けのつもりでご参考ください。

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 リドリー・スコット監督、マイケル・ファスベンダーの組み合わせで映画館へ行った。設定舞台上ある程度の残虐さは覚悟だったが、それを超えて容赦ない描写がある。二回目でも受け止め辛いが中南米のカルテル組織は映画を超えた世界がニュースで伝わることを踏まえると決して過剰演出ではないところが悲しくもある。
 タイトルを無理に変えることなく一人のカウンセラーと呼ばれた弁護士のままにしてくれた方がよかったのは今に始まったことではない邦題の酷さ。
 寧ろ「sin is a choice」を活かせなかったのか。

 殆ど役者の設定説明ないままに話が展開する為、勢揃いの役者陣に惹かれて観にいらした方には内容を追いかけることに精一杯で、役者勢揃いの華々しさとは異なって一般向けとは言い難い。

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 豹がうさぎを追いかけ狩りをするシーンがある、これがこの作品の全て。
 ライナーは女は何を考えているか分からないと低評価を付け見下し根っからのハンターであるマルキナの本質を見誤る。結局は彼の家には手名付けられた二頭の豹と手名付けられなかった女豹が居た。

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 ガンツ氏の生前の姿をこうして作品で観ることになった2020年。
 結婚を意識している彼女へのプレゼントとしてダイヤモンドを択ぶこの前半のシーンはある意味通奏低音。
 宝石商が語るダイヤモンドについての話は同じく人にも当て嵌まり興味深いシーン。警告のダイヤモンドと称される品を見せながら「ダイヤを贈ることは闇に落ちないと宣言することだ」と静かに警告を添えるが彼の内には全く届かない。

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 メークから全身のタトゥーまで誰が見ても豹と分かる手抜き過ぎるきらいがあるマルキナ像はもう笑いを取っているシーンにしか見えない。只、もう少し真面目に見ると:カウンセラーの相手に興味を持ってローラと会うが主義があまりに違い、興味をそそられたのはローラの指にある婚約指輪3カラット超のダイヤモンドだけ。このダイヤモンドがなければローラは狩りの対象から外れたかもしれない。

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 引き返す地点は幾つかあったにも拘わらず闇の深さ(カルテル)を見くびり一線を超え、結果破滅に向かうカウンセラー。

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 ほんの少しの手違いと誤解、そして、今回はそこにしたたかな狩り(マルキナ)が加わり悪の連鎖を生んでいく。
 作品初めの豹はマルキナでありほぼ生きる道無しに見える追われるウサギはカウンセラーだ。
 成功者の颯爽としたスーツを着こなした弁護士から全ての救いの手立てを無くし絶望に打ちひしがれる姿をマイケル・ファスベンダーが好演する。

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 この衣装の意味はほぼ最後に分かる。

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 映画『ANNIE/アニー』(2014年公開)を最後に表舞台から引退したキャメロン・ディアス。この『The Counselor』は2012年9月撮影開始されていることを併せるとこの作品も彼女の中では役者人生の終わりは感じていたのだろう。
 今年グウィネス・パルトローがホストの「In goop Health: The Sessions」にゲスト出演した際「一瞬立ち止まって、自分の人生をじっくり見つめてみたの。映画の撮影に入ると全てを作品に捧げることになる。毎日現場に12時間いるような生活が何カ月も続きその日の撮影を終えても他のことをする時間はない。それで気づいたの。私は人生の多くの部分を他の人たちに渡していたんと。自分の人生を取り戻して自分でその責任を負いたいと思ったのよ」とキャメロン・ディアスは語っている。
 観るだけの私たちが勝手に出来上がった作品について語る、申し訳ない。
★★★(*Hulu鑑賞)

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