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ディープインパクトとオルフェーヴルの不定期万冊 第7回 ひかわ玲子『アーサー王宮廷物語』

 劉邦「オル公…一線を越えやがって」

暴走機関車トーマス野郎。

 オルフェーヴル「うぎょー! 楽毅様、好きぢゃー!」
 楽毅「うぷっ! むぐぐっ…!」
 ディープインパクト「オルちゃんは無節操だねぇ。池添さんが泣くよ」
 オルフェ「ケンちゃん、俺を許して」
 楽毅「…それで、今日の本は何だい?」
 ディープ「日本のファンタジー小説家ひかわ玲子さんの『アーサー王宮廷物語』シリーズです」
 オルフェ「この小説の最も惜しい点は、作品自体の発表が遅過ぎたところです」
 楽毅「遅過ぎた?」
 オルフェ「はい、明智紫苑がバーナード・コーンウェルさんの『小説アーサー王物語』シリーズを初めて読んだのは、90年代後半でしたが、紫苑はコーンウェル版アーサーや塚本靑史さんの『白起』を読んで衝撃を受けた結果、宮城谷昌光さんの作風が苦手になってしまったのです」
 楽毅「それって、まさか私のせいなのか?」
 オルフェ「紫苑は楽毅先生が主人公のあの小説を駄作だと見なしています」
 ディープ「オルちゃん、失礼だよ!」
 楽毅「……」
 オルフェ「それはさておき、コーンウェル氏のアーサー王三部作は良い意味でマリオン・ジマー・ブラッドリーさんの『アヴァロンの霧』の上位互換みたいな内容ですし、ひかわ玲子さんはご自身のアーサー王小説を発表するのが遅過ぎました。多分、よほどマーケティングに難航したのでしょう」
 ディープ「主人公が未成年の女の子という設定なので、コーンウェル版やブラッドリー版とは対照的だね」
 楽毅「日本の文学で本格的にアーサー王伝説を題材にした作品といえば、夏目漱石の『薤露行かいろこう』があるね」
 オルフェ「そのタイトルは楚漢戦争の田横さんに由来しますけど、田横さんは司馬遼太郎さんの『項羽と劉邦』では妖怪みたいな不細工に設定されていますね? 酈食其れき いきじいちゃんの人を見る目を表すため以外に理由はありますか?」
 ディープ「オルちゃん、いくら何でも『妖怪』はひど過ぎるよ」
 楽毅「まあ、ひかわさんのアーサー王三部作は若い人たちのアーサー王伝説入門編としてはちょうど良いね。コーンウェルさんのはある程度アーサー王伝説についての知識を身に着けてからの応用編だな」
 オルフェ「音楽では、ゲイリー・ヒューズさんのアーサー王2部作がおすすめです。ストーリーは正直言ってコーンウェル版の劣化コピーですけど、音楽としては良作です」

 オルフェ「残念ながら、公式チャンネルがまとめたものではないリストなんですけどね」

【Gary Hughes - Excalibur】



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