見出し画像

【芸術蒐集癖 Vol.2】天明 里奈/I tear me III -skin-

茶道をしていると「漆」を使った茶道具に触れることが多い。艶を出したり、マットな風合いだったり。漆黒だったり、赤や飴色。蒔絵も加えるとその表現の幅はとてつもなく広い。

漆工芸家と直接お付き合いするまでは、漆をただ塗るだけみたいな安直なイメージしかなかった。でも、ホコリが入らないようにクリーンルームばりの気を使い、本塗りをするまでの数えきれないほどの下地処理。

本塗りだって、さらりと塗っているのかと思えば、塗っては乾かしを繰り返す。漆は厚塗りするとシワがよってしまうため、ものによっては何十回も塗り重ねている。一つ、仕上げるにも膨大な労力と時間を必要とする。

手間を惜しまずに作り出されたものは本当に美しい。さらに、経年変化によっても景色が変わるのも魅力だ。(おそらく作り手はそこまでを意識して作っているに違いない。)

そんな使うことを前提とした「茶道具」としての漆作品ではなく、素材としての「漆」はアート作品にも使われることを初めて知ったのがこの作品。

「漆」と言われなければ、絵の具を使っているのではと感じる。でも、絵の具には見られないツヤ感が何とも言えない。

麻布や和紙を貼った上に漆を塗る「乾漆」という古典的な技法を使った作品。天明さんは人体をモチーフに漆を使って作品作りをしている。この作品は「鎖骨」をモチーフにしており、言われてみればワンピースからそっとのぞかせる何ともセクシーな鎖骨だ!笑

天明 里奈/I tear me III -skin-(2012年)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?