見出し画像

【ベース伊藤昂志 編】AUTUMN BLUESメンバーインタビュー/1stアルバム「想いから沈む心へ」配信記念

2020年2月16日(日)にファーストアルバム「想いから沈む心へ」を配信開始したフラストレーションパンクロックバンドAUTUMN BLUES。

結成から1年半(約半年の活動休止期間があったので事実上1年の活動期間)を経て完成した今回のアルバムは、作品レビューにも書かれているように、若者の葛藤を歌い上げる青春パンクのアフターストーリーと位置づけられる大人のための「青秋パンク」を十二分に堪能できる1枚となっている。

また今回のアルバムは、昨年にボーカル島田が立ち上げた自主レーベル「Behind Back Vinyl」からリリースするなど、楽曲制作以外の精神性の部分を含めても、インディーズバンドとして独自の路線で活動を行っているのが伺える。そしてメンバー全員が社会人として働きながらバンドをする、いわゆる「社会人バンドマン」で構成されているのもこのバンドの特記すべき所だろう。

今回のインタビューシリーズでは、既述したステータスの上で各メンバーがどのような想いや考えを持ちバンド活動を行っているのかを紐解いていく。

第1回目となる今回は、AUTUMN BLUESのリーダーでもある伊藤昂志(いとう たかゆき)に話を聞いた。

インタビュアー:パインアップル森安

・・・

ー 昂志君と直接会うのは初めてですね。ちょっと前に電話で話した事はありましたが。

修三(※ボーカル島田) と森安さんが飲んでる時に1回電話したんですよね。確か、あれ、どこでしたっけ?

ー ノクチ(※溝の口)のたまい本店かな。すごく雪が降ってる時。

あー。そうだ(笑)。電車止まっちゃってて、修三が「バイクで迎えに来てくれー」って俺に電話してきて(笑)。

画像7

ー そうそう(笑)

雪降ってるから歩いて帰れや!!って言いましたね(笑)

ー でも結局迎えに来てくれたよね。めちゃくちゃ優しい子やぁ~って思った(笑)。

・・・

『俺は一番後ろのスタートラインにいつも立っている』

ー 初っ端からふわっとした質問で申し訳ないんだけど、昂志君はバンドのリーダーじゃない? でも意外と世の中の人って「バンドのリーダー」という立場の人間がどう言う事をしているのか知らないと思うんだよね。せっかくだから教えてもらおうかなと。

リーダーって言ったら少し堅苦しくなっちゃうんですけど、友達みたいな感じで、良き相談相手のようなポジションかなと思っています。

みんなそれぞれ役割があるとして、その上でそれぞれ歩く速度っていうのがあると思うんですよね。目的に向かっていく道順も違うと思うし。でもそれって自分で判断できるものじゃない。

第三者から見て「あ、ちょっと遠回りしちゃってるなぁ」とか「その遠回りが良い遠回りなのか悪い遠回りなのか」とか、主観的にはわからない情報をもらうというのが誰にとっても重要な訳で。その部分を最終的に調整していくのが俺の役割ですね。

画像7

ー 各々の個性・良いところを最大限に生かしてあげたいと。なるほどね。ちなみにリーダーの視点からボーカルの修三君とフラット君(※ドラムス鈴木)はどのように映ってるんですか?

AUTUMN BLUESの中での島田修三という人間は「とにかく一番前を走っている人間」。そして「その姿を近すぎず遠すぎずの中間距離から追っていく」のがフラットだと思っています。

修三が一つの目的地点に対して誰よりも先に到着したいと考えながら走り続けている。それに対してフラットは、修三より少し後ろに下がった中間の位置から付いていこうとしている。そして付いていけるようにこれからも努力をしていってほしいとも思っています。

ー 昂志君自身はその中でどの位置にいるのかな?

俺は一番後ろのスタートラインにいつも立っています。

「しっかりフラットは修三の背中を見て走っていけてるかな?」。「修三はゴールまで続いている一直線から脱線したりしてないかな?」とか。それをスタートラインから見渡して補正しているというイメージです。

『色々話しちゃったけど、結局は”ノリ”でしかない』

ー 昂志君の視点から、AUTUMN BLUESの結成秘話とかがあれば聞いてみたいんだけど。

一言で言うなら、“ノリ”ですね(笑)

画像7

ー ノリなんだ!!(笑)

俺と修三って「最終的に面白ければ良いじゃん!」って感覚を持っていて。俺も音楽なんて一切やったことなかったですし、楽器なんて触った事すらなかった。そこで「ちょっと今から楽器始めてみたら面白いんじゃね?」ってなって(笑)。

で、修三は元々ベースをずっとやっていた人間なんですけど、なんか急に、弾けもしないレフティーギターを大金はたいて買って来て(笑)。なんか訳わかんないけど面白いから「バンドやっちゃう?」って二人で話して。それで、「せっかくならドラムも入れてバンドやった方が面白いよな?」ってなって、今に至りました。

― そんな背景があったんだ。面白い。

色々話しちゃったけど、結局は“ノリ”!! “ノリ”でしかない!!(笑)

ー 二人の間に生まれた「なんか知らないけど面白そうだしやっちゃえ!」という精神からAUTUMN BLUESは形成されたと。

そうですね。でもこの感覚はずっと持っていきたいと思っていますね。「面白けりゃ良いじゃん!」って。

画像7

ー 確かにめちゃくちゃ大事な感覚だよね。とはいえ昂志君は言ってもベース歴1年とかじゃない?練習期間・上達期間をすっ飛ばしていきなりバンドを組んでライブをするというのは多少なりとも最初は戸惑いもあったかと思うんだけど、なにが奮起材になったの?

これに関しては、修三の影響が一番大きかったと思う。あと俺、ビートたけしさんが好きで。昔たけしさんが「芸事をやる人間が上手くなってからステージに立とうと考えていてはいつまで経っても上達しない」とおっしゃっていて。下手くそなら下手くそで、ステージに立って失敗した上での悔しさをバネにしていくというか。

ー なるほど、さすがたけしさん。めちゃくちゃ格言だね。一方で、修三君からの影響と言うのは?

これ、記事にするかどうかは後で考えてもらいたいんですけど、あいつと昔一回だけ揉めたことがあって(笑)。バンドとは全く関係ない大学時代なんですけど。

ー 揉めたの?

揉めましたね(笑)。過去を振り返ってもその一回限りなんですけど。

あいつ英語結構喋れるんですよ。で、その当時俺も英語を学びたいと思って修三に相談したら、「外国人と話したら良いんだよー」とか言い始めたから、「いや俺はそういうのじゃなくて英会話教室とか通おうと思ってるんだよね」って言ったら「そんなんじゃ覚えないよ」って。

いや、それはわかってるんだけど、俺は基礎を学んでから応用を学んでいきたいタイプだから、「お前の価値観、人に押し付けんなよ」って言って。修三は黙り込んじゃって。唯一の喧嘩(笑)。

画像7

ー そんなことがあったんだ(笑)。

でもそんなことがあったから、さっきのたけしさんの言葉もそうですけど、今回修三が「一緒にやろうよ」って言って来たときに「下手くそで恥さらしても良いじゃん」って吹っ切れた考えを持てた。

で、そのタイミングで本当ありがたいことに、高校時代からライブハウスで観てたHAUSHINKAってバンドからイベントのお誘いがあって。ステージに一回立ってみて面白ければバンドやっていこうと思って。そんなこんなで、上手くなる前にまずはステージに立ってみた、という経緯でしたね。

ー なるほど、背景が良くわかりました。ありがとうございます。

仕事も遊びも“やるときゃやれ”

話は少し変わるんだけど、昂志君も仕事をしながらバンド活動をしてるじゃない?「いわゆる社会人バンド」と言われるカテゴリーなのだけれど、「仕事とバンドの両立」というテーマに関してどんな考え持ってたりする?

「社会人バンド」という括り自体が俺の中にはなくって。まず「社会人」と「バンド」というものは違う。別個で考えています。

メンバーにも良く言うんですけど、「プライベートと仕事は絶対に優先しろ」と。バンドに合わせて自分のプライベートや仕事を調整するなと。社会人は社会人、バンドはバンドでしっかり分ける。「学校と遊び」みたいなもの。学校ではしっかり勉強するけど、放課後になったらみんな真剣に遊びをやるじゃないですか?だから俺にとってバンドは「遊び」。遊びなんだけど真剣にやる。仕事も遊びも“やるときゃやれ”

そのメリハリさえしっかりできていれば、別に「社会人バンド」というカテゴリーじゃなくて「社会人」と「バンド」という両立で楽しくやっていける。俺はそう考えていますね。

画像7

『”6割の努力と4割の運”で爆発的に売れる

ー AUTUMN BLUESの活動を通して、昂志君自身が目指しているものって何かあったりするの?

「社会人」として毎日泥まみれ煤まみれになってる人達がキャバクラとかに行って、お店の女の子なんかに「俺AUTUMN BLUESの昂志と一緒に仕事してるんだぜ?」って話のネタにしてもらえるポジションになりたい。その人達が少しでも見栄を張れるような話のネタを提供したい。

だから、今後ヒットしたり、例えばバンドだけでご飯を食べさせていただけるという状態になった場合でも、俺はバンドだけに固執しないで今やっている仕事も継続していきたい。勿論他のメンバーに関してはバンドだけに専念してもらいたいですけどね。

いま会社を経営している背景もあるんですが、「あのバンドで有名な奴が俺たちと一緒の職場で働いてるんだぜ?」とか、そんな事を色んな人達が言ってくれるポジションになりたいですね。メンバーのご飯もあるから、バンド活動は真剣に楽しんでやる。でも正直、俺に技術なんて誰も求めてないんですよ。「喋れて面白い奴」「あいつ、なんかいつもいるけどおもろい奴だよな」っていうポジション。それで良いんです。

― 逆に、AUTUMN BLUESって今後どうなっていくと思う?

客観的に聴いていても楽曲が良いんですよ。詞も含めて。耳に入ってきて、しかも残る。その武器を持っている前提を持って現実的な話をしてみると、”6割の努力と4割の運”で爆発的に売れますね(笑)

ー おおっ!(笑)良いね~!好きよそう言う気持ち。

運がすごく良くて、周りに沢山知ってもらえたとしても、結局それは4割でしかない。逆に6割だけをしっかりやっていたら、小さなライブハウスを埋める事はできるかもしれないけど、爆発するには少し足りない。結局は努力と運を足し合わせないといけなくて。

ー なるほどね。運が降りかかってきた時のためにしっかり6割の努力をしておきたいと。

例えば「自分たちを好きになる可能性のある方がライブを観に来てくれたという運」が降りかかってきた時、6割の努力を怠っていると「曲は良いけど演奏は下手だよね」っていう結果で終わってしまう。だから6割の努力をしておく必要があるんです。

画像10

『聴いてくれる人がどれだけいるのか。それこそが自分達がバンドをやっている意義』

ー 事実上1年間の活動を振り返っての総括を聞いてみても良い?

人間、始めた当初はどんなものでも伸びるんですよ。勉強でも仕事でも。髪の毛だってそうじゃないですか。坊主にした最初は伸びるのが早いって感じる。この1年でしっかり伸びる事はできた。だから2年目以降は伸びてきたものをもっと伸ばす期間。出来あがった土台をもっともっと広げていく。技術力も、内外のコミュニケーションも、バンドの呼吸もそう。

ー これからはより前に進んでいくフェーズという事だね。一個聞きたいのが、インディーズバンドとしていわゆる営業活動も自分達でやっていると思うんだよね。これは語弊があったら申し訳ないんだけど、世の中のバンドって「俺達は営業なんてやらないよ。楽曲だけ聴いて評価してくれ」って斜に構えている人も個人的にはいると思うのね。楽曲を作る事以外の活動をバンドメンバー自らが行う事についてどう考えてる?

例えば、新規でライブを観に来てくれる人が5人いるとするじゃないですか?そしたらいくらでも頭下げますね。

ここに関してプライドなんて持っていても一切意味がない。聴いてくれる人がどれだけいるのか。それこそが自分達がバンドをやっている意義じゃないですか。自分達の楽曲を聴いてくれる、ライブを観てくださる方々のために頭を下げる事は、全く間違いではないと思います。

画像11

ー アーティストである部分と、自分達を知ってもらうという部分はきちんと切り分けないといけないという事だね。

最初はやっぱり知ってもらわないと意味がないので。もし今後沢山の方々に知ってもらえて、お客さんが自発的にライブに足を運んでくれるようになっても、感謝の気持ちと低姿勢、そのスタンスは絶対に忘れちゃいけない。

『俺』

ー これまで共演してきたバンドの中でお気に入りのバンドっていたりする?

みんなカッコいいんですよ。例えばさっきも話したHAUSHINKAはハチャメチャやるんだけどめちゃくちゃ纏まりがある凄いバンドだし、The BBBは「俺みたいなベーシストって必要ないんじゃね?」って思わせるくらい、ツインギターのスリーピースで自分達のスタンスを貫いてるし、黒船ジェネレーションに関してはライトセーバーでギター弾いてますからね(笑)。何かひとつ突出しているもの、頭一つ出ているものを持っているバンドばかりなので、みんなカッコいいですよ。

かつ、今仲良くさせてもらっているバンドはみんな人柄が素晴らしい。仲良くしたいと感じさせてくれる。みんな尊敬していますし、みんな好き。

ー AUTUMN BLUESが他のバントに比べて頭一つ出ているところはどんなところだと思う?

AUTUMN BLUESが他のバンドに比べて頭一つ出ているところは・・・・・・「おれ」

画像8

ー おっ、、「俺」?!(笑)

「おれ」!!

ー なに!(笑)どういう事?!(笑)

トータルで見てみて、「俺」!(笑)

ー (一同爆笑)

だって、どのバンドにいたって、俺みたいな人間欲しいはずだもん(笑)。演奏は下手よ?!演奏は下手だけど欲しいはずだもん!(笑)人とも楽しく喋れるし、楽しそうに音楽やってるし、なんか上手くまとめるし、相談されたらされたで上手く相談乗れるし、上手くアドバイスしてると思うし。自分で言うものは恥ずかしいけどね?!どのバンドに対しても「俺」?! かな~?

ー ちょっと待って!おもろすぎるわ!(笑)

修三は歌上手いし、作詞作曲も出来るし、ギターも弾けるし、フラット君もドラム上手いし速いしようやってるなぁ~って思うけど、でも、、、「俺」!!

画像9

ー いいねー! あ~笑った。。。笑い疲れたから次の質問で終わりにしよっと。。ズバリ、昂志君にとって「フラストレーションパンク」とは?!

「フラストレーションパンク」とは『AUTUMN BLUES』です!

ー ありがとうございましたー!

ファーストアルバム「想いから沈む心へ」

画像1

【配信レビュー】2018年に結成されたフラストレーションパンクロックバンドAUTUMN BLUESのファーストアルバム。処女作となる今回のアルバム『想いから沈む心へ』は、「想いを強く持てば持つほど心の奥深くに沈んでいく焦燥と悲観」をテーマにした1枚である。アルバム全体を通して「社会人の肩書きを持った現在と、何事にも縛りがなかった有意義な過去とのギャップ」を歌い、自己解決の出来ない社会的な負の感情に対し肯定を示している。特有のアルタナティブ性質の楽曲とピッチシフトしたギターサウンドを用いる事で、より一層アルバム全体の儚さを際立たせているのも大きな特徴。若者の葛藤を歌い上げる青春パンクのアフターストーリーとも位置付けられる大人のための「青秋パンク」を是非堪能してもらいたい。

ストリーミング配信ストア一覧 → https://linkco.re/tgP76Xq8

【文・インタビュー】パインアップル森安
1990年生まれ。アメリカ生まれ日本育ち。ライターとディスクジョッキーを主な生業とし、メディアではなかなか取り上げられない新規のカウンターカルチャーに積極的に関わっている。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
スキありがとうございます!!是非シェアよろしくお願いいたします!
4
フラストレーションパンクロックバンド【AUTUMN BLUES】公式noteアカウント。主に運営スタッフによるライブを始めとした活動のレポートなどをアップしていきます。ボーカルギター島田修三/ベース伊藤昂志/ドラム鈴木貴之
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。