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1921年 裕仁親王(昭和天皇)オランダ訪問記念メダル

日本国内で発行されるコインやメダルでは、海外と違って天皇肖像が使われることはありません。恐れ多いとかそういった理由だと思いますが、海外ではKingやQueenが当たり前のようにオモテ面に採用されています。

そういう国内常識から外れて海外では日本の天皇皇后が刻印されたメダルを結構見かけます。
その中でも先駆けだと思われる圧巻の1枚がコレ!
大正10年当時、昭和天皇が皇太子時代にオランダ訪問時に、オランダ側から贈呈された訪問記念銀メダルです。肖像がデーンと堂々とデザインされています。

Z.K.H. HIROSHITO.KROONPRINS VAN JAPAN (日本の皇太子裕仁殿下)

これはなかなか感動しました。サイズ90mm 228.5gでかなり大ぶりなメダルです。ズッシリときます。

↓は銅メダルですが、手で掴んでいる感じでサイズ感が分かるかと思います。

肖像面なんかはわりとハイリリーフです。エッジの感じからしてもプレスではなくて鋳物なんだと思います。

ウラ面は、日本の侍とオランダ人が握手しているデザインになっています。
背景には富士山と、日本に初めて辿り着いたオランダ戦リーフデ号が描かれています。
「ふるき よしみ 記念」 という単語も見えます。1609年は徳川家康がオランダに貿易を許可するとして朱印状を初めて発行した年ですので、それ以来の古い付き合いというのを表現しているのかなと思います。

AANDENK EN AAN EEUWEN OUDE VRIENDSCHAP (記念と古い友情に)

その後、日本が関東大震災に見舞われた際、オランダが復興支援の資金集めのためにこのデザインを流用したメダルを1923年に製作したことがあります。
そのメダルはこんな感じです。

このオランダ訪問記念メダルは、銀メダルおよそ20枚、銅メダルおよそ200枚程度製作されたようで、当時の随行員たちが持ち帰ったのだと思いますが、歴史の詰まったメダルだなと思いました。

銅メダルには、"ふるきよしみ"の刻印が無いんですよねぇ。銀メダルがより特別なモノに思えます。

銀メダルはケースに入っています。

ユトレヒト造幣局のメダル製作部門といったところでしょうか。。。

EDELMETAAL BEDRIJVEN Afd. Medailles UTRECHT (貴金属会社、メダル部門、ユトレヒト)

今回、銀メダル、銅メダルと拝見する機会があり、いやぁ、ずっと見ていられました〜。

参考資料:歴史街道連載「コイン&メダルにまつわる歴史の表と裏。第二話 昭和天皇」(JCCxダルマ提供)

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