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今、日本のビジネスパーソンが読むべき本とは?~ビジネス書大賞2019授賞式

7月4日木曜日、東京・六本木のアカデミーヒルズで、「ビジネス書大賞2019」の授賞式が行われました。

今年で記念すべき第10回の節目を数えるビジネス書大賞は、"ビジネスパーソンの成長とビジネス界の発展のために"「今、日本のビジネスパーソンが読むべき本」を選考する目的で設立されました。「audiobook.jp」や「新刊JP」を運営する株式会社オトバンクの会長・上田渉も、選考委員を務めています。

授賞式は、主催の株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 干場弓子取締役社長の挨拶から開始。そこでは、「人間としての我々の価値は何か、幸福とは何かという問いが中心になった」という今回の選考過程で議論された傾向がお話されました。根底にあるのはAIやテクノロジーの進化に伴う技術革新。根源的な問題意識に対し、それぞれ異なる視点から解釈を加えたという評価が今回の3作品の受賞に繋がっています。

読者賞:『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』

スコット・ギャロウェイ[著] 渡会圭子[訳] 東洋経済新報社

受賞理由:
『四騎士』によっていかに世界はコントロールされているか、その貢献・脅威を批判的な目線で記したもの。時代の変化が激しく内容が既に古くなっている部分があるとの評もあったが、最低限私たちが知っておくべきことを示している


経営者賞:『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』

フレデリック・ラルー[著] 鈴木立哉[訳] 嘉村賢州[解説] 英治出版

受賞理由:
組織のマネジメント形態の種類の進化を扱ったもので、会社という組織と私たちの働き方が合わなくなってきているという課題に対し一つの解答・大きな枠組みを示した。経営者側と従業員側で印象が分かれた本でもあった。自主的な読書会などを通じて広まったということも画期的だった


大賞:『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

新井紀子[著] 東洋経済新報社

受賞理由:
AIの可能性と限界を示しつつ、その限界を超えるはずの人間の能力について、読解力という観点から日本の中高生たちの現状を調査データと共に示して警告を発したまさに「衝撃の本」

各賞受賞者に対する表彰が行われた後、会場では今回の受賞を記念して、2つのトークセッションが行われました。

『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』

解説者の嘉村賢州氏と、早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授が登壇。本書の登場によって日本でも話題になりつつある「ティール組織」の概念について、様々な視点からトークが繰り広げられました。

「日本のティールの伝道師」と呼ばれる嘉村氏は、ティール組織を「生命体的な新しいタイプの組織」と説明。日本でティール組織という概念に大きな反響があったことに関して、「今の社会の中に心のどこかで働くという行為への疑問や違和感があったのではないか」と分析し、この本がそれに対する答えと具体的な実践事例を持ち合わせていたことが大きいと指摘しました。

また入山教授は、途中からスタンディングでお話するなど聴衆を惹きつける熱いトークで進行役を務めました。今後世の中は横の繋がりが増え「中心」がなくなっていく、という認識に立った場合、ティール組織こそがそんな社会に適応する働き方なのではないかとの話もありました。

認知こそされ始めたものの、実践している企業は日本にはまだまだ少ないティール組織の概念。セッション終盤には隣の人とティールについて話し合うという時間も設けられ、各所で活気のあるディスカッションが行われました。


『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

著者の新井紀子氏が登壇。進行役は、「Business Insider Japan」編集長の浜田敬子氏が務め、本書にまつわるものから新井氏個人の過去に至るまで、多くの示唆に富んだトークが展開されました。

数学者ながら、AI研究の第一人者としても知られる新井紀子氏。シンギュラリティ(技術的特異点)が2045年に起こるという言説が声高に語られる中でも、実のところ「AIがただのソフトウェアだということすら知らない人もいる」のが今の日本のAIに対する認識の実情なのだと言います。

新井氏の認識では、AIは「無視はできないが、シンギュラリティが起こるということでもない」というレベルのもので、2011年から2016年にかけて氏がプロジェクトリーダーを務めた「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトは、そのAIの限界を探るために行われたものでした。そしてその過程で見えてきたものが、日本人の読解力低下という現実だったのです。

様々なことに手を出しているように見えても、それは物事を断片的に見ているだけで、実は自身の中での問題意識は「高校くらいの頃から首尾一貫している」という新井氏。そのエネルギー溢れる話しぶりに会場も熱心に耳を傾け、非常にポジティブな雰囲気に満ちていました。

活字離れが叫ばれる世の中にあって、多忙なビジネスパーソンと本を再び結び付ける接点となった昨今のビジネス書ブーム。移り行く時代の流れを知り、新しい考え方を吸収していく上では、こうした読み物が非常に重要な役割を果たしてきます。

まだ未読の方は、オーディオブックで触れてみて

先にも紹介した通り、この2冊についてはオーディオブック版を配信中。皆さんもぜひ、「今年最も読むべきビジネス書」を音声版でも聴いてみてください!



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