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お前のケツから頭を引っ張り出す音だ! ——私が『1兆ドルコーチ』オーディオブック版をオススメする理由

月が綺麗ですね──。
日本を代表する文豪・夏目漱石が
”I love you.”
を日本人的感性に照らし表現したとして名訳の誉れ高き一節ですが、
この風流なフレーズもひとたび「シリコンバレーのレジェンド」ビル・キャンベルの口を介すれば

“That’s the sound of your head coming out of your ass!”
=「お前のケツから頭を引っ張り出す音だ!

となってしまうわけです。

……。

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お前は一体何を言っているんだ……?


……はじめまして、audiobook.jp運営チームのIzakiと申します。
今回は皆さまに、話題沸騰中のビジネス書『1兆ドルコーチ』(ダイヤモンド社)のオーディオブック版について紹介させていただきます。

こちら、内容を一文で説明するならば、

「かつてシリコンバレーでスティーブ・ジョブズラリー・ペイジらを指導した伝説的コーチ=ビル・キャンベルの教えやエピソードを元Google会長エリック・シュミットらがまとめた一冊」

という感じでしょうか。

執筆メンバーが自身の経験や接点のあった人々へのインタビューをもとに編纂したものですから、ビジネス書には珍しくエッセイ調の雰囲気もあり、実際に人の声で聴くオーディオブックとの相性は抜群です。

普段は「活字派」「紙書籍派」の方々がオーディオブックにもトライする上での最初の一冊としても、本オーディオブックは胸を張ってオススメできます。

それだけではありません!
上記のほかにも、この作品の魅力はまだまだ沢山あります。
特に私が「このオーディオブックを是非皆さまにお聴きいただきたい!」と考えるに至ったポイントが、主に三点あります。

それでは、順に説明させていただきます。


1.シリコンバレーの常識を打ち破るビルのキャラクター

私が同じチームのおそら先輩に
「『1兆ドルコーチ』聴いた? まだ? じゃあ聴かなきゃ!」
と熱烈にお勧め(押し付け)頂いたとき、その脳裏をよぎったのが
「これまた随分お堅いビジネス書なのでは……」
という先入観でした。

しかし、それは聴き始めてすぐに否定されることとなります。

なぜなら、この作品のテーマである「ビル・キャンベル」という人物自体が、「お堅さ」の対極にある存在だからです。

たとえば、ビル・キャンベル、口が悪い。大変悪い。

「くそったれ」
「ぼんくらめが」
「なんだその足みたいな手」
「私が偉くみえるほどアホな奴」

などなど、スマートな人物の集まるシリコンバレーにおいて一切その空気に染まることなく、かつてのアメフトコーチ時代から顕著だった「ビル節」を遠慮なく吐き散らした人物なのです。

そして面白いことに、そうした「ののしり」を皆が楽しみにしていた、といいます。

シリコンバレーの人間は皆ドМなのでしょうか……?

否。
その理由は、「そこに愛があったから」だとエリック・シュミットらは述べます。

「君に気をかけている、大切にしている、ビジネス的な部分だけでなく人間として丸ごと受け入れている

ということをビルはその悪態によって示し、皆もそれを理解していたからこそ、彼の口から出るビル節を楽しみにしていたのです。

それは必ずしも言葉という形だけでなく、ハグや雑談や都度の賞賛、さらには病気のような仲間の個人的危機への献身といった形で惜しみなく発揮され、それは彼や接する周囲の人々だけでなく、組織全体の文化・パワーにも繋がったことがわかります(※)。

※「慈愛」に満ちた企業は従業員満足度とチームワークが高く、欠勤率が低く、チームの成績が高いことが学術的に証明されているという補足も本文中に紹介されております。

さて、ここで冒頭の話題に戻りましょう。

お前のケツから頭を引っ張り出す音だ!

ビルが口癖のように唱えたこのパワー・ワードも、「君を愛している」というメッセージを伝える彼独自の方法なのだと分かっているがゆえに、その言葉を受け取ったメンバーは皆安心し、励まされ、結果を出さんと努力するエネルギーや勇気をもって決断する力を貰えたわけです。

「データ主導型の意思決定プロセス」が重視される昨今のビジネス業界。

その最先端であるシリコンバレーにおいて、ビルが「パワー・オブ・ラブ」というスタンスで人々を鼓舞してきたという事実、そしてそのスタンスの下にGoogleやApple、Amazonといった世界的テック企業が育ったという事実は、日本人にとって示唆の大きいものだといえるのではないでしょうか。

上述した内容の詳細は本作品のChapter5に詳しく描かれております。
ご興味をお持ちいただいた方は、まずはChapter5からお聴きいただくのもアリだと思います。

2.日本人の琴線に響き、その虚構を打ち砕くビルの教え

ビル・キャンベルという偉人の独特なキャラクターとその思想の根幹を最も良く味わえるのが先述のChapter5ですが、個人的に一番のお気に入りはChapter4です。

Chapter4のテーマは「チーム・ファースト」。

ここでは、「問題の解決そのものより、問題の解決にあたるチームが大切だ」ということをビルが常に強調していたことが述べられています。

曰く、主語は「私」ではなく「私たち」に。

曰く、優秀なチームの集合知は個々のメンバーのIQの総和を上回る。

曰く、緊張・対立に気を配り、自分にとっての正しさより全員が受け入れているかを重視しろ。

いかがでしょう。
個人主義のアメリカ人らしくない、むしろ日本人である我々の方が実践しやすそうな、共感できるメッセージがいくつも現れます。

しかし、気を付けなければなりません。
上記は決して「政治」であってはならないのです。

たとえばビルは、「ずけずけと意見を言える」人間こそ必要だと主張したといいます。

なぜなら、それは信頼があってはじめて成せることであり、一方的、もしくはあいまいな意見交換による合意形成は、信頼醸成というプロセスの放棄に他ならないからです。

また、気まずさゆえに見て見ぬふりをされがちな、「人間関係」に端を発する感情的対立。

Googleにおいても確かに存在しており、データやプロセスによって最適解を導くことができない問題ゆえに厄介なテーマですが、ビルはそれもうやむやにさせませんでした。

チーム内に亀裂をもたらす人間関係の機微を早い段階で察知し、積極的に議論の俎上に上げ、メンバーがそこから目を逸らすことを決して許さなかったのです。

「政治がらみの物事はとても毒性が強い」ことを知っていたビルは、上記のような姿勢で問題にあたることによって、「Googleは素晴らしいことに、政治的駆け引きとは無縁な大企業になることができた」と述べました。

「忖度」という言葉が市民権を得て久しい我が国において、ビルの毅然とした態度や考え方は一つの参考になるのではないかと思います。

3.和村康市氏のナレーションの妙に酔いしれる

本オーディオブックのナレーターを務める和村康市氏。
その語りは間違いなくこの作品の魅力の一つとなっております。

注目すべきはその声色です。

温かみのある低音の中に、少しだけハスキーさのかかった声色。

ご本人にお話を伺ってはいないため真偽のほどは不明なのですが、もしかしてこれはビル・キャンベル本人に若干寄せているのではないか、と私には思えるのでした。

ご参考までに、以下は生前、ビル・キャンベルが亡きスティーブ・ジョブズに向けて行った追悼スピーチの映像です。
ティム・クックApple現CEOの紹介のあとに現れるしゃがれ声の人物が彼です。

なんとなく近しい雰囲気があるのではと思うのですが、いかがでしょう……?
(※感じ方には個人差があります)

是非オーディオブックと聴き比べてみて頂ければと思います。

なお、この映像は「訳者あとがき」にて訳者である櫻井祐子氏が話題にしているものでもあります。
既にオーディオブックを聴かれた方も是非ご覧ください。


以上、色々と書き連ねてまいりましたが、言いたいことはただ一つです。

とにかく、まずは聴いてみてください!

学びの多さ、読み物としての面白さ、オーディオブックとしての間違いない魅力は、私とこの3千字の駄文が保証します。


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