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「マンガ脳の鍛えかた」感想

ざっくりあらすじ

週刊少年ジャンプ40周年記念に、ジャンプ人気漫画家37名による総計15万字のインタビュー集。


面白かった部分抜粋


・本宮ひろ志(代表作:サラリーマン金太郎)
「まず仮説を立ててそれで描く。その後にその仮説を証明する資料だけを集める。」

・徳弘正也(代表作:ジャングルの王者ターちゃん)
「状況をリアルにしておかないと、ちょっとしたズレから生まれるささいな笑いは描けない。」

・森田まさのり(代表作:ろくでなしBLUES)
「ろくでなしBLUES」が欧米で出版された際に現地の標準仕様で左開きで、絵が左右反転に印刷された。それを見たときに自分の絵の下手さにショックを受けた。それ以来裏から確認してどちらから見てもおかしくないようにデッサンを治すようになった。

・矢吹健太朗(代表作:TOLOVEる)
「体の柔らかい部分を強調するために、触っている手を硬めに描く。」

「胸が押されているシーンではいつもより大きめに描く、そのほうが潰れている感じが出る。」

「脚とか腕のように一見真っ直ぐに見えるパーツでも直線は使わない。体の微妙な筋肉とか骨格を意識するとどこでも曲線になるはず。」

「リトは中性的な外見にする。男性的にすると生々しくなってしまう。裸になるときも筋肉の描きこみを減らす。
女子との密着度が高いシーンでは、女子をリアルに描きリトはギャグタッチに描いて全体のバランスを取る。」

「女性キャラを描くのが苦手だった。」

・空知英秋(代表作:銀魂)
「意識的に無駄なものをセリフに入れることで、せりふをリアルにする。」

・天野明(代表作:家庭教師ヒットマンREBORN!)
「動きを描くのが本当に苦手なんだとおもいます」

・村田雄介(代表作:アイシールド21)
「パースを正確にするより、気持ちよさ重視で描く。」

・小畑健(代表作:ヒカルの碁)
「最初はネームまで書いてもらうことに戸惑いがあったが、
ほったさん(ヒカルの碁の原作者)のネームを見てその面白さにひれ伏した。
それまでは自分の作家性みたいなものを出したほうがいいと思っていたが、そういうものは必要ないと思った。
おもしろいものができるのならば、それが一番いい。おもしろく見せる絵を書くのが自分の役割だと思った。」

雑感

矢吹健太朗さん、天野明さんがそれぞれ「女性キャラ」・「動き」に苦手意識を持っているのが意外だった。
2人が圧倒的なクオリティの作品を生み出せるのは、外側からの評価(高い評価)と自己評価(低い評価)がずれているから、自分の作品に簡単に満足せず鍛錬を繰り返すことができるためだと思った。

小畑健さんが、最初自分がネームを描かないことに悩んでいたが、堀田さんのネームの凄さに圧倒されて、面白く見せる絵を書くことに集中することを決めたエピソードが素敵だなと思った。
諦めるという言葉はネガティブな意味で使われることも多いが、語源は「明らかにする」ということらしい。
ネームを描くのを諦めて、自分が集中するべきことを明らかにしたからこそ、今の小畑健さんの素晴らしい作品があるんだなと思った。

以上

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