深谷みどり

美味しいものと猫と書き物が好きです。 「屋根裏部屋の本棚」(https://att…

深谷みどり

美味しいものと猫と書き物が好きです。 「屋根裏部屋の本棚」(https://attic-bookshelf.com)にてオリジナル創作を公開してます。

最近の記事

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 温かなコーヒーの煙が落ち着いた雰囲気の部屋の中で揺れていた。  オフホワイトの壁にはめ込まれた大きめの窓には宇宙空間と天然の光と人工の光とがつくりあげた見事なイルミネーションが映し出されている。その夜景をこの部屋の主がどこか憂いに沈んだ様子で眺めていた。  彼の名前はカイ・ルーベルク。惑星ホゥリア開発の中心的存在”ルーベルク”会長の次男坊で、深い紺色の瞳が印象的な青年である。彼自身としては人類発祥の地である地球に住み着いて、一生を歴史や遺跡の研究で終えるつもりだったのだ

    • 魔王さまの教育係

      灯りを落とされた廊下に、ちいさな軋み音を立てて扉が開く。 そっと姿を現した長身の男は、深夜にもかかわらず、外出着をまとっている。きょろきょろとまわりを見渡し、素早く部屋から出て歩き出した。 しばらく歩いて、辿り着いた先は中庭だ。夜露に濡れることもいとわない様子で、庭に下りた男は、さらに庭の奥へと進んでいき、そうしてしゃがみこんだ。ふふ、と小さな笑い声が響いたとき、頃合かと見計らったわたしは口を開いた。 「魔王さま。こんなところで何をしてらっしゃいます」 すると男はびっ

      • キラキラヒカル

         夏が終わりに近づくと、わずかなモラトリアム期間が終了に近づいているなあと思うわけだ。  すなわち、夏休みの終了である。 「だーるー」  たまたま友達との時間が合わなくて、それでも残り少ない自由時間を勿体無く感じて街に出た。 一人で喫茶店に入るなんて気後れするけれど、スタバならまだ平気。 フラペチーノじゃなくホットラテにチャイシロップを入れてもらって、奥側の席を陣取って座る。 でも。 「だーるー」  いかん。声に出してた。  いくら正直な感想だからといっても、締ま

        • 秘密

          「占いを頼む」  ショッピングセンターの片隅に、黒髪をのばした女が座っている。  日焼けなど感じさせない白い肌に濃色のワンピースという組み合わせは、「占い師」という職業にはまり過ぎていた。少々浮いているのだが、占い師とはこうであれ、という願望でもあるのか、特に奇異の目を向けている者はいない。  しかしいまは商売場所にいるからいいが、たとえばこの職場に出勤する途中は注目されたりしないんだろうか? 俺はそんなことを考えながら、見上げてきた女の向かいに座った。 「またですか

          新しい手帳の威力よ。

          今週は月曜日から、わくわくと朝を迎えていました。 なぜかと申しますと、すでに購入していた2024年の手帳を使い始めたからです。ええ、2023年10月から開始するタイプの手帳を購入していたのですよ。 だからいち早く新しい手帳を書くことになり、とっても嬉しい、本当に楽しい毎日を過ごしていました。今日はその手帳の魅力について書いていきますね。 出会いはInstagramにて。 わたしが選んだ手帳は、LABCLIPが販売する10月始まりの手帳です。専門用語を用いて説明するなら

          新しい手帳の威力よ。

          ダイエットは猫にみならう。

          リバウンドしてしまいました。 わたしは一年前、「人生最後のダイエット」と称してパーソナルジムに通っていたのです。半年間のチャレンジのおかげで、14kgの減量に成功しました。まだ標準体重には到達してなかったのですが、確実に減量できて、本当に嬉しかったのです。友達に褒められたり、新しい服を購入したり。そのたびに、ダイエットにチャレンジして良かった、と心から思いました。 でも一年を経たいま、見事にリバウンドしています。 完全に14kg戻ったわけではありません。けれど10kg近

          ダイエットは猫にみならう。

          自己紹介

          せっかくnoteを始めたのだから、定期的に文章を公開していきたい。ならばまずは自分について知っていただいたほうがいいだろうと考え、記事を書いています。 いま、まさにどんな内容を書こうか、あれこれ考えているところ。 よろしくお願いします! <はじめまして>はじめまして、深谷みどりと申します。 ふだんはWordPressで作った個人サイト(懐かしい響き!)にて、オリジナル創作と日記を公開しています。つまり、自分の文章を公開する場所はすでにある。 それなのになぜ、このnot

          葬式代はまだ貯まらない。

          他力本願な生涯を送ってきました。 統合失調症になる前から、わたしの生涯とはそういうものだったのです。父親や両親の庇護のもと、わたしは強情な子供として育ちました。なにしろ両親がそろっていないという事実をみて、わたしを不幸な子供に決めつけようとした大人が多かったのですから、強情な子供に育つのも無理はないのではないかなあと思います。が、その自己認識こそが他力本願というものでしょう。 強情な子供は強情な大人になり、なぜか統合失調症になりました。 わたしに対し普通の人生を歩むこと

          葬式代はまだ貯まらない。