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ミシガン大学の研究者はどう読むか。新刊「未来の学校のつくりかた」狩野剛さん

狩野さんは僕が「いいなあ」と憧れる子育て人生を送っている。まずバングラデシュにJICA職員として駐在され、ご家族でバングラデシュに3年。子どもたちは現地の学校で学び、バングラデシュのパワーを体験しただろう。その後、ITと国際開発に関する研究をするために、米国・アナーバーのミシガン大学博士課程へ。草原のような気持ちのいい場所に、コテージのような家族寮が立ち並び、子どもたちが存分に走り回っている。バスケットボールのコートから砂場から、バーベーキューセットまで自由自在。大学側の小学校では、世界数十カ国からの留学生たちの子どもたちが元気に学び、学費はしかも無料。(公立小学校だから当たり前だけど)

僕は、昨年、狩野ファミリーをミシガンに訪ねて、こんな環境で子育てできたらなんて楽しそうなんだろう、と感心した。コテージには大きい地下室がついていて、三好大助のように、そこをアトリエにして創作活動してもいいだろうし、世界中の留学生が集うアナーバーで友人をつくれば、世界のローカル事情についてのおしゃべりが尽きることはないだろう。車で小一時間行けばデトロイトで、全米有数の課題先進地域では様々なNPOが奮闘しているだろう。そこにもたくさんの物語が落ちているはずだ。あまりに感激した僕は勢いで、狩野さんが所属するミシガン大学院情報大学院を受験。見事に玉砕したのだった。そんな狩野さんが、新刊を読んで感想をくれた。これからも狩野ファミリーが家族でどんな時間を過ごしていくのか、目が離せない。

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税所さんは「面白がる力」と「瞬発力」が極めて高い。私が静岡から都内に通勤すれば、「その暮らし、面白いっすね!」と遊びに来てくれ、仕事を辞めて家族で渡米すると話をすれば、「そのキャリア、面白いっすね!」とアメリカまで会いに来てくれた。
他者のストーリーに本気で共感し、面白がり、自分ごとのように吸収する。そんな税所さんがよりすぐった教育改革者たちのストーリー、面白くないわけがない。

昨今、コロナ以降の教育として、テクノロジーの活用法が議論されることが多い。本書では、そんな小手先ではない「子供にとって何が最善なのか」という教育の本質を問い続け、未来への指針を提示し続けている人たちの、5つのストーリーが記されている。

教育が紡ぐ未来への希望。原点に立ち戻ろう。

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狩野 剛(University of Michigan, School of Information, PhD Candidate)

米国ミシガン大学にて、講師・研究助手をしながら博士号取得を目指している。研究分野は「ITと国際開発(特にIT人材育成)」。新卒でITエンジニアとして働くも、開発途上国が好きすぎて、その両方を専門とするキャリアを構築することを志す。その後、国際協力機構(JICA)に転職し、東京・バングラデシュに勤務しながら、ITと国際開発のプロジェクトを企画・運営。2019年には一般社団法人 ICT for Development を立ち上げ、ITと国際開発に関する情報サイト・オンラインコミュニティを運営。宮崎大学・神戸情報大学院大学の客員教授も勤める。

狩野さんたちが運営するITと国際開発に関する情報サイト


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