見出し画像

『休眠特許』で三方良し

 日経電子版の記事【川崎の和菓子店、森永製菓の休眠特許活用で新商品】は、森永の知的財産権を無償でライセンスされた企業が、子供達の教育環境改善などに取り組む団体に寄付する「エンゼル・スマイル・プロジェクト」に関するリポートです。



 そもそも、会社の技術リソースである知的財産権、特許は、文字通り新しいプロダクトに繋がるアイデアであり、是非とも有効活用したいものです。――もし、自社で使われなくなった特許が、休眠状態で死蔵され、外部からはもとより、社内でもその存在が忘れ去られてしまっているとしたら、これほどもったいない事はありません。

 ①まずは、自社の技術リソースを棚卸し⇨②第三者機関などとも協力して見える化し⇨③知的財産権のプラットフォームを通して利用企業とのマッチングを図る、などの施策を講じないと、特許の活性化は難しいのかも知れません。

 その際重要な事は、自社の特許の仕分けである事は間違いないと思われます――

▶特許の仕分けの例

(1)活用中の特許
  ●自社のメリット・・・プロダクトの独自性を担保できる。

(2)開放特許(無償)
  ●自社のメリット・・・その特許を使ったテクノロジーをデファクト
           スタンダードにして、市場を確立・拡大
したい。
           (ガラパゴス化の回避)
  ●利用企業のメリット・・・開発のための時間と経費を節約して、最先端の
             プロダクトを開発できる、など。

(3)開放特許(有償)
  ●自社のメリット・・・知的財産権の有効活用が新たな収入源となる。
           (マネタイズ)
  ●利用企業のメリット・・・利用コストにもよるが、オープン
             イノベーションの有効な手段
の一つ。

(4)開放特許(条件付き)
  ●自社のメリット・・・例えば利用企業に寄付をしてもらうなど、
           ESG活動の有効な手段となる。
  ●利用企業のメリット・・・特許を利用しつつ、ESG活動にもなる、など。



 『休眠特許』の有効活用は、オープンイノベーションやESG活動へと繋がり、特許を保有している企業、利用する企業、そして社会の三者にベネフィットのある『三方良し』であると言えそうです。『休眠特許』が見える化され、プラットフォーム化されて、世間に還元されていくような施策は、極めて重要であると思います。



#COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?