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『リユース市場』勝者の条件~ユーザーの「面倒臭い」をクリアする~

 日経電子版の記事【メルカリの台頭、ブックオフ潤す  中古市場拡大 消費者、手軽さに回帰】は、リユース市場における中古品買取のネットとリアルでの相違が、リアルに優位に働いている、という「なるほど」と思わせるリポートです。

  


 そもそも、フリマアプリなどネットでの中古品買取では、①(個人間での価格交渉なども含め)出品の煩わしさ、②出品者が責任を持って梱包・発送する煩わしさという2大「面倒臭い」が存在し、それが理由で、どんなに買取価格が高かろうとも、ネットは使わずリアルを使う、というユーザーは多数いると考えられます。まして、売りたい商品が多量の場合は、ネットを使うという選択肢は大きく狭まり、リアルを使うことになるのではないでしょうか?――ネットによるリユースが、2大「面倒臭い」によって大きな売上を取り逃している事は間違いありません。

 逆に言うと、この2大「面倒臭い」がクリアできれば、買取価格の高いネット・リユースは、リユース市場の勝者、大げさに言えば絶対王者になれる、とも考えられます。――しかし、これは、ネットとリアルの良いとこどりをした、きわめて都合のいい、「どうやってコストを賄うんだ!?」という課題な訳です……



 しかし、コストを前提に思考停止していては一歩も先へ進まないので、コストの事は置いておいて、ネット・リユースが2大「面倒臭い」をクリアするには、例えばどんな仕組みが考えられるでしょうか?ユーザーの立場で贅沢を言ってみると――

▶2大「面倒臭い」をクリアする仕組みとは?

(1)『会員登録』・・・まずは、ユーザーは、ネット・リユース業者に会員
          登録する。
 ⇩
(2)『出品依頼』・・・売りたい商品が出たら、ユーザーは、出品依頼の
          メール(品名・数量・引き取り希望日時等)を打つ。
 ⇩
(3)『商品回収』・・・ネット・リユース業者、または代行業者による
          回収。
          【問題点】① 回収商品の傷まない汎用性のある
                コンテナが必要。
               ② 回収コスト。
 ⇩
(4)『商品査定』・・・AIを活用した査定で、販売価格を予測。そこから
          逆算して、リユース業者による買取価格を決定。
          【問題点】③ 商品集配センターのコスト。
               ④ 予測販売価格に対する買取価格の
                掛率は?
 ⇩
(5)『契約成立』・・・ユーザーが買取価格に納得したら契約成立、代金
          振込。
          【問題点】⑤ 契約不成立のコスト。
 ⇩
(6)『出品手続き』・・・リユース業者は、自ら買い取った商品を自ら
           出品手続きする。
          【問題点】⑥ 出品コスト。
 ⇩
(7)『売買成立』・・・買い手が現れ販売。
          【問題点】⑦買い手が付かない場合の値下げコスト。
 ⇩
(8)『商品発送』・・・梱包・発送。
          【問題点】⑧ 梱包・発送コスト。



 結局のところ、2大「面倒臭い」をクリアするために、ユーザーが担っていた作業を代行してネット・リユース業者が行おうとすると、集配センターという場所が必要で、かつ、取引の各段階でその都度コストがかかってくることになります。その分を予測販売価格に対する買取価格の掛率に反映させてしまえば、価格的にはリアル・リユースと同じになってしまい、ユーザのベネフィットが向上したとは言えません。このコストに対処するには、どうしたらいいのでしょうか――

▶出品・発送代行コストをどうするか?

① 上記(4)~(8)の工程を全てロボットによって自動化する。

② 買取価格を、現状のネット・リユースとリアル・リユースの中間に
  設定する(将来的には向上させる)。

③ 従来通りのユーザーが自ら出品・発送するシステムと併用にする
  (ユーザーによる選択)。

④ 上記(2)・(3)など一部のプロセスをアウトソーシングする。

⑤ シェア拡大を最優先とし、ある程度のコストカットが出来た時点で
 サービスをローンチし、アジャイル開発を継続する



 さすがに奥の手は思い付きませんが、思考実験した感触では、決して荒唐無稽な話でもない、とも思えてきます。ネット・リユースの2大「面倒臭い」を永遠の課題として片付けてしまう事は、逆にリスキーな事に思えます。



#COMEMO #NIKKEI

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